第1,391話「女傑3人㉓」
「な!!??」
ルウから授かった、聖なるオリハルコン製、破邪の魔剣が唸り、ノーライフキングの身体はまっぷたつにされていた。
しかし、ノーライフキングは不死の魔人である。
再生能力も凄まじい。
但し、まっぷたつにしたのは破邪の剣。
身体が再生する速度も通常よりも全然遅い。
ぶくぶくぶくと不気味に泡立ち、ノーライフキングの身体はどんどん再生されて行く。
しかし!
これはウッラの作戦である。
思い出して欲しい。
ウッラがノーライフキングを叩き斬ったのは、
ルウの魔法が付呪された破邪の魔法剣である。
ただでさえ、テオドラが行使した必殺の魔法、復讐が、
絶大な破壊力を与えているのだ。
更に魔法効果のある破邪の剣を使えば、倒せないわけはない。
そう!
始祖の眷属……側近らしいノーライフキングから情報を得る為、
わざと倒さずに生かしたのだ。
その証拠に……
再生するノーライフキングの周りを囲むように、
ウッラ、テオドラ、マルコシアス――3人の女傑と、ケルベロス――1体の魔獣は立っていたのだ。
「ノーライフキング。あの世へ行く前に知っている事を喋って貰うわ」
とウッラは、びしっ!と破邪の剣を突きつける。
「白状しなければ、超が付くぐらい激まずな魔力ですが、全て吸魔します」
と、テオドラは淡々と言うが、いかにも嫌そうに眉間にしわが寄っていた。
「……正直に言わないと、……燃やすよ」
どすのきいた声で、シンプルに言い放つマルコシアス。
だが!
「ひひひひひひひひ!!! 残念じゃったな!!! このまま、ワシを滅ぼすが良い」
こういったノーライフキングの反応は想定内である。
長き時を不死者として、魔法の探求を行ったノーライフキングは、命に対して、ひどく執着が薄いのだ。
しかし、ノーライフキングは衝撃の発言を発する。
「実はな、お前達が、討伐しようと狙っておる吸血鬼の始祖とは……このワシなのじゃ」
対して、拍子抜けというか、女傑3人の反応は冷ややかである。
「何だと! 始祖の正体が貴様!? バカな事を言うな!」
とウッラ。
「ノーライフキングが、吸血鬼の始祖などと聞いた事がありません」
とテオドラ。
「ふむ、何か理由があるのか? 冥途の土産に話してみるが良い」
とマルコシアス。
「ひひひひひひひひ!!! ワシと配下を全て倒した礼じゃ! 全て、話してやろう!」
死にかけた?ノーライフキングは、いかにも面白そうに笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お前達、吸血鬼の始祖、もしくは真祖の定義は知っておろう」
ウッラ、テオドラ、マルコシアスは、ノーライフキングの話をひと通り聞く事にした。
「最初に血を吸った、あるいは与えた者、すなわち、全ての吸血鬼の根幹を指す存在じゃ」
「…………………………………………」
「魔法、何らかの超自然的な力等々により吸血鬼となった者、あるいは初めから吸血鬼として生まれ落ちた者等が該当するのじゃ」
「…………………………………………」
「ワシは、原初の時代に生まれた魔法使いじゃ。ある日、誰も知らぬ禁呪を使い、吸血鬼の始祖となった。真祖と呼ぶも者もおった」
「…………………………………………」
「無限という時を得て、日夜魔法の研究に没頭するワシの前に、強大な力を持つ悪魔が現れた」
「…………………………………………」
「その悪魔こそ、最高レベルの死霊術を行使する大悪魔、悪魔元帥ネビロス様じゃった」
「…………………………………………」
「ネビロス様は、ワシへ言った。吸血鬼の始祖のままでは、吸血に無駄な時間を取られてしまうとな」
「…………………………………………」
「ワシはどうしたら?とネビロス様へ問うた」
「…………………………………………」
「もっともっと時間が欲しいと!」
「…………………………………………」
「すると、ネビロス様は禁呪で、ワシをノーライフキングにしてくださった! おかげでワシは更に魔法を探求する事が出来た。最高レベルの死霊術も習得させてもろうた!」
「…………………………………………」
「しかしだ! ワシの最高傑作たるドラゴンゾンビを始めとした不死者どもも、お前達に呆気なく倒されてしもうた!」
「…………………………………………」
「次に生まれ変わったら、もっと強い不死者を造る! 最初からノーライフキングで永遠の時を生きるとしよう」
「…………………………………………」
「さあ! とどめを刺すが良い! また会おうぞ!」
何と!
ノーライフキングは、悪魔元帥ネビロスの手で造られた存在であり、
元は、吸血鬼の始祖そのものであった。
頷いたウッラは、破邪の魔法剣をノーライフキングに突き入れ、とどめを刺したのである。
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