第1,390話「女傑3人㉒」
「く、くそっ! 生意気な! ならば! これでどうだあ!」
大いに悔しがったノーライフキングは、急激に体内魔力を高めた。
対して、テオドラは言う。
「ほう、今度は魔法を使うつもりですか?」
「そうだ! ワシが最も得意とする魔法よ!」
「いつでも……どうぞ」
「ひひひひひ、ワシほどの術者ならば、体内魔力さえ十分に高まれば、無詠唱、超高速で発動が可能じゃ……きええっ!」
ノーライフキングがおぞましい奇声を発すると同時に、広範囲に凍気を含む大量の魔力が満ち、
大気の温度が急激に低下する。
びしびしびしびし!びしびしびしびし!びしびしびしびし!びしびしびしびし!
びしびしびしびし!びしびしびしびし!びしびしびしびし!びしびしびしびし!
テオドラ、ケルベロス、ウッラ、そしてマルコシアスの周囲で、吹きすさぶ暴風雪が生じ、何者でも凍り付く! ……はずであった。
しかし!
魔法は発動しない……
「な、何!!?? ワ、ワシの! ま、魔力が!!?? へ、へ、減って行くぅぅ!!??」
驚き、戸惑うノーライフキングが叫んだ通りである。
周囲に満ちていた凍気を含む大量の魔力は、急激に少なくなって行く!!
「こ、こ小娘!!?? ガ、ガ、ガラクタの戦闘用自動人形!!?? お、お、お前!!?? な、な、何をしてるぅう!!??」
テオドラに対し、罵倒の限りを尽くす、ノーライフキング。
だが、テオドラは答えない。
無言である。
「………………………………」
「き、き、貴様ああ!! き、き、吸魔を!!?? 我が魔力を吸収しておるのかあ!!!」
ノーライフキングの言う通り、テオドラには大気から魔力を得る以外に、
敵から魔力を吸収する能力、吸魔能力がある。
この吸魔能力も、ルウとモーラルにより大幅にビルドアップされていた。
以前よりも、遥かに大量の魔力を吸収する事が可能だ。
ここで、テオドラは初めて言葉を戻す。
「はい。ですが………」
「ですが?」
「貴方の魔力……全く美味しくありません。いいえ、はっきりいってまずい! 腐ったどぶ水のようですよ」
淡々と、しかし言葉は辛辣に、吐き捨てるようなテオドラ。
「な、何だとぉぉ!!」
「なので……私には不要です。特別にサービスして、魔法でお返しします」
「な、何!?」
「行使するのは、練習中の魔法ですが、魔力を相当、消費します」
「な、何だと!?」
「でもノーライフキング、貴方から頂いた魔力量でちょうど、足りますね」
「ふ、ふざけるなあ!!」
「ふっ……愚かですね! 小賢しい不死者よ!」
「ほ、ほざけ!! こ、小娘!! ガラクタめえ!!」
「ビナー、ゲブラー……嘆きの槍が、約束の地より放たれ、汝の血と肉と骨を喰らい、不死の魂をも、飲み込むであろう!」
「な、な、ま、まさか!!?? そ、その魔法は!!??」
「復讐!」
テオドラの言霊がノーライフキングへ投げ掛けられる。
それは、禍々しい漆黒の魔力波となり、凄まじい速度で、
一直線に飛んで行く。
そう!
テオドラはルウ直伝、不死の悪魔をも、魂を破壊して倒す禁呪、
かつて、大悪魔メフィストフェレスを消滅目前に追い込んだ究極の魔法のひとつ、復讐を習得していたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「い、いやだああっっ!!」
魔法を熟知したノーライフキングであるが故に、禁呪復讐の凄まじい破壊力も知っている。
飛んで来た禍々しい漆黒の魔力波を、
ノーライフキングは、素早く身体をよじり、何とか、避けようとした。
しかし、漆黒の魔力波は、ノーライフキングの身体を包み込む。
全身、そして心に激痛が走る!
「ぐわあああああああああああああああ!!!!!」
絶叫し、悶え苦しむノーライフキングを見て、
テオドラは淡々と言う。
「いかがですか? 我が主であり師であるルウ様直伝の魔法、復讐で、貴方の魂が破壊される感覚は?」
「くうおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
だが、何と何と!
「かあああああああああっっっっっ!!!!!!!」
気合一閃!
ノーライフキングを包む、漆黒の魔力波は四散してしまったのだ。
「ひひひひひひひひ!!! どうだあ!!! 小娘ぇぇ!!! 我が偉大なる力、ノーライフキングの魔法耐性ぉぉ!!」
必殺の魔法、復讐が通用しなかった!!??
しかし、テオドラに動揺の色はなかった。
それどころか笑っていた。
苦笑していたのである。
「あら、やはり完全に習得出来ていませんね」
テオドラの余裕の態度、つまり、練習中の魔法だから、通用しない場合もある。
そのケアも万全であった。
勝ち誇るノーライフキングはテオドラと、必殺の魔法、復讐に気を取られ、全くの無防備。
「覚悟!!」
気が付けば、ノーライフキングの目の前に美しきダンピール、ウッラの姿が!!
「な!!??」
ルウから授かった、聖なるオリハルコン製、破邪の魔剣が唸り、ノーライフキングの身体はまっぷたつにされていたのである。
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