第1,388話「女傑3人⑳」
あっという間に渾身のパンチを顔面に入れ、
テオドラは、インキュバス3人組を撲殺していた。
と、ここでいきなり!
独特な形状かつ大きな魔力の渦が現れる。
何と何と!
マルコシアスとウッラがぱっと、何もない空間から現れた。
当然、マルコシアスの転移魔法で、テオドラとケルベロスの後を追って来たのある。
一見人間風のイケメン男子3人が、目の前に倒れているのを見て、
マルコシアスとウッラは眉をひそめた。
しかし、生命反応がない人間風のイケメン男子3人が、
すぐに人間ではない……忌まわしき夢魔である事を見抜き、ふたりは笑顔となる。
ふうと軽く息を吐き、ウッラが言う。
『おい、テオドラ、何だ? こいつらは? どこぞの夢魔だ?』
『はい、ウッラ姉、愚かにも私達を魅惑の魔法で篭絡しようとしたインキュバス3人組です』
『はあ? 魅惑の魔法で篭絡しようとしたあ? インキュバス3人組ぃ?』
『はい! 私達を誘惑し、始祖の餌にしようと考えていたようです』
テオドラの言葉を聞き、テオドラの眉間に寄ったしわがますます深くなる。
『馬鹿な! 私達には魅惑の魔法など効果がないという事を分かってもいなかったのか?』
『はい、こいつら、普段は始祖の命令で、人間女子を魅惑の魔法で虜にして、ここまでさらって来て、始祖へ捧げているとほざいていました』
『成る程! 最低最悪な憎むべき女子全体の敵……と言っても過言ではないな。だがルウ様に面影が似ているのは何故だ?』
『はい、始祖の命令で、攻撃をためらわせる為、私達3人が慕うルウ様に擬態して、待ち受けていたようです』
姑息な方法のいくつもの積み重ね。
呆れたウッラは、いまいましげに、吐き捨てるように言う。
『愚かな! 本当に愚かな!』
『はい、本当に愚かな奴らです。それゆえ、あほ面へ渾身のクリティカルヒット! グーパンを思い切りぶち込みました』
淡々と言うテオドラではあったが、最低なインキュバスに対しは絶対に容赦しないという趣きで、
目には絶対零度にも匹敵しそうな冷たさが宿っていた。
『うむ! 良くやった! 全く似ずとも! ルウ様に擬態するなど、絶対に許せない! 人間でも魔族でも、ここだけは触れていけないという心の琴線がある。竜でいえば、まさに逆鱗だな!』
『はい! その通りです!』
こういったシーンで締めるのは、ふたりの姉御役、マルコシアスである。
『ふむ、テオドラ、良くやった。だが、こんな屑どもは、私達の足止めにもならぬ。それより始祖は近い。そろそろ眷属でも上位の者が出張るはずだ。気を付けて行こう』
『『はい!』』
ウッラとテオドラは元気よく返事をし、魔獣ケルベロスを加えた女傑3人は、
再び進軍を開始したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
インキュバスを一蹴した一行は更に進む。
塔の最上階まで登り切り、城の本館内へ侵入。
始祖が最下層へ移動したので、その後を追い、下へ下へと降りていた。
並び方は変わっていない。
ケルベロス、テオドラが先行し、ウッラとマルコシアスが背後を固める。
低い唸り声をあげ、弾むように走る冥界の魔獣、
小柄な身体をじぐざぐ、鋭角に切り込みながら不規則に走る、
人知を超えた戦闘用自動人形。
完全に人間離れした走りと動きで後を追う、美しき半魔。
そして、目を見張る速度で走り、底知れぬスタミナを誇るしなやかな天狼。
まさに最強の布陣と言って過言ではない。
3人と一体は、更に階下へ降り、また更に階下へ。
どんどん下り……遂に1階へ到着した。
と、ここでテオドラが念話……心で叫ぶ。
『大きな反応があります! 始祖は近いです! 全員注意してください!』
果たして!
またもおぞましい個体が一行を待ち受けていた。
その個体は……おぞましく、ひどく嫌らしい声で一行をあざ笑ったのだ。
「ひひひひひひ、現世にさまよい出た冥界の魔獣に、ガラクタの戦闘用自動人形、できそこないの半魔、そしてはぐれ悪魔か……まさに多士済済じゃ。我が配下を簡単に退けたのも納得じゃな」
骸骨のような顔と頭、やせこけ、ひからびた肢体に豪奢な法衣をまとっていた。
その手には、邪悪な魔力を発する節だらけの魔法杖が握られている。
しかし、テオドラは全く臆さない。
淡々と言い放つ。
「貴方は……ノーライフキングね」
「いかにも! ワシは名もなき不死王! ノーライフキングじゃ!」
、
補足しよう。
この世界におけるノーライフキングとは、
魔法使いや僧侶が不老不滅の為にアンデッドとなったものを指す。
自然に不死者となったのではなく、生前に持っていた魔術や呪術で不死者化したものだ。
生前同様、強大な魔力を誇り、高い魔法抵抗力、また再生能力を持つ。
「お前達のしつこい探索、追跡も……ここで終了じゃ! ひひひひひひひひ!」
ノーライフキングは、歯の全くない口で、再び嫌らしく笑ったのである。
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