第1,387話「女傑3人⑲」
テオドラの身体が「ぶれた」ようになり、消えた!
どしゅ! がん! どかかっ!
そしてほぼ同時に、肉を打つ鈍い音が鳴り、
人狼3体はあっという間に倒れ……絶命していた。
自身の強さを、誇大とも思えるくらいにわめいていたのだが……
やはり人狼ごときは、悪魔とも渡り合えるテオドラの敵ではなかった。
1体どころか、3体まとめて、あっさりの瞬殺である。
しかし、テオドラは当然という雰囲気。
何事もなかったかのように淡々としていた。
『マルガ様、ウッラ姉、ただいま、人狼3体を排除……否、討伐を完了致しました。問題がなければ、進軍を続行したいと思いますが、いかがでしょう?』
周囲に始祖は勿論、眷属どもも居ない。
魔力感知にも反応はないので、気配を消し、潜んでいる事もない。
念の為、魔導光球の反応を、マルコシアスが改めて計る。
『ウッラ、問題なし! 周囲に敵の気配は皆無だ』
『はい! マルガ様! 了解です! ……テオドラ、進軍続行だ!』
『了解です! 行くぞ! ケルベロス!』
わお~ん!!
心得た!
とばかりに、ケルベロスが気持ち良く吠え、進軍は再開された。
どひゅん!
無表情でこくんと頷いたテオドラは、いきなり猛ダッシュ。
いきなりギア全開! テオドラは全速で駆け出した。
ケルベロスも負けじと追随。
こちらも全開で、後に続く。
そんなふたりを見たマルコシアスとウッラは、にこやかである。
『ウッラ、テオドラの奴、成長したなあ』
『はい、マルガ様。普段の私の教育、そして修行の賜物です』
『ははは、何を言うか、嘘をつけ』
『あはは、バレましたか?』
『ふっ、当たり前だ』
『はい、前にも言いましたが、テオドラはルウ様、モーラル奥様とともに世界各地を転戦、特にニンフ救出の件では、良く貢献し、大きく成長しました』
『ふむ、そうだな……さて、そろそろテオドラ達を追いかけるか』
『はい、今回はテオドラの顔を大いに立ててやりましょう』
『うむ、行こう。早く追いつかないと、テオドラの奴、容赦なく進んでしまうぞ』
テオドラの噂話をし、
顔を見合わせ、またも笑顔で頷き合った、マルコシアスとウッラ。
『ふむ、ウッラ、特別サービスだ。私が転移魔法で運んでやろう』
『え? 本当ですか?』
『ふむ、傍へ来い、ウッラ』
『は、はい!』
ウッラはそろそろと、マルコシアスの傍へ。
『よし、行くぞ! 転移!』
瞬間!
マルコシアスとウッラの姿は、煙のように消え失せていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
噂話をされ、
くしょん!
と、くしゃみが出そうだが、失われた魔法帝国ガルドルドの遺産、
戦闘用自動人形のテオドラには、噂話=くしゃみの機能はついていなかった。
それよりも人狼に続き、またもテオドラは敵に遭遇していた。
「あはは、可愛い女子が来たねえ」
「うんうん、始祖様のおっしゃる通りだ」
「破邪葬送の魔法は、僕達にはいまいち効果が弱いよ。それにしても狼犬が、少し邪魔だねえ」
魔導光球の淡い光に照らされ、そんな事をのたまうのは、
法衣を来た長身痩躯のイケメン男子3人組である。
風貌はどことなく……ルウに似ていた。
そんなイケメンを見ても、テオドラは平然としている。
動揺など全くない。
ケルベロスは、長身痩躯のイケメン男子3人組を見て唸り声をあげていた。
テオドラが言う。
イケメン男子3人組の正体も見抜いているようである。
「貴方たちは、夢魔……全員インキュバスですね? ルウ様に似せて、擬態までして、どういうつもりなのですか?」
そんなテオドラの質問に対し、長身痩躯のイケメン男子3人組はせせら笑う。
「そんなの決まってるじゃないか! 君達を取り込むんだよ。魅惑の魔法を使って、始祖様に捧げるんだ」
「僕達、普段は始祖様の命令で、人間女子を魅惑の魔法で虜にして、ここまでさらって来て、始祖様へ捧げているんだ」
「うふふ、始祖様の命令で、君達3人が慕うルウとかっていう人間の魔法使いに擬態したよ。既に魅惑の魔法を行使した……想い人には攻撃なんて出来ないだろ?」
好き勝手言い、せせら笑って挑発する長身痩躯のイケメン男子……
ものインキュバス3人組。
対してテオドラは、冷たい笑みを浮かべる。
「愚かな……ちょっとルウ様に似せただけの薄汚いまがい物めが……そんな事をして、私達3人を怒らせるだけだと、何故分からない」
しかし、インキュバス3人組は全く聞いていない。
テオドラを含め女傑3人を完全に舐め切っているようだ。
「はははは、何言ってる?」
「僕達インキュバスに、女子が敵うわけないよぉ」
「もしかして、もう惚れちゃった?」
「……馬鹿めが。魅惑の魔法など、私にはまったくきかん!」
テオドラはそう言うと、いきなり神速ダッシュ!
どごおっ!!
がんんん!!
ばぎゃっ!!
あっという間に渾身のパンチを顔面に入れ、
インキュバス3人組を撲殺していたのである。
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