第1,385話「女傑3人⑰」
マルコシアスは、テオドラの魔力が及ばない距離に移動。
移動を確かめてから、テオドラは、マルコシアスの生成した巨大な魔導光球へ、
破邪葬送の魔法を放った。
魔導光球はテオドラの魔力を吸収。
一層まばゆく煌く。
この巨大な魔導光球を100分割して、
吸血鬼の始祖と眷属が潜むであろう広大な本館内へ放つのである。
破邪と葬送の魔力を帯びた光球を邪なる者は嫌う。
先ほどテオドラとケルベロスが探索した際、実行して証明済みだ。
致命的なダメージを与える事は叶わずとも、
低位の者ならば、害虫が除虫菊及びその煙を嫌がるように、
魔法とスキルで闇に潜ませた身を、無理やりあぶりだし、あらわにさらす事となるのである。
この光球はまさに狩猟でいう『勢子』なのである。
テオドラによる魔力充填が終了し、マルコシアスが頃合いと見て言う。
『ふむ、ウッラにテオドラ。では早速、本館へ魔導光球を放つぞ。』
対して、ウッラとテオドラが応える。
『はい、それで、しばらく様子を見ましょう』
『攻撃の指示を頂ければ、破邪葬送の魔力効果がない私とケルベロスで突入します』
『うむ! では放つぞ! ……光球よ、行け! 仇なす者を探し出せ!』
どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!
どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!どひゅん!
マルコシアスが念じると、生成された巨大な魔導光球が100発の小光球に分裂し、
凄まじい速度で本館へ飛び込んだ。
真っ暗だった本館が、魔導光球の煌きで昼間のように明るくなる。
破邪と葬送の魔力が、本館へ染みわたって行く。
テオドラの探索時と同じである。
本館に潜んでいた始祖の眷属どもは大いに驚き、光球を嫌悪した。
ぎゃああああああああああああああああ!!!!
『よし! 今だ! 行きますよ! 大量の光球に敵は動揺している! ケルベロスよ、来いっ!』
意気込んで出撃しようとするテオドラだが、身体を張って、ウッラが止める。
『待て、落ち着け、テオドラ』
『ウッラ姉!』
『功を焦るな……マルガ様が魔力感知で本館を探る。突入はそれからだ』
『わ、分かりました。このまま、ケルベロスとともに待機します』
『うむ! テオドラよ、ウッラの言う通りだ。我が魔力感知で本館を探る。しばし、待て』
『はい!』
テオドラも成長したものだ。
以前ならば、私は己の考えで動きますとスタンドプレーに走っていたのに……
ルウ様と数多の戦いをともにして、貴重な経験を積んだに違いない。
素直に従い返事をするテオドラを見て、ウッラは感慨深げに頷いたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ぎゃああああああああああああああああ!!!!
ぎゃああああああああああああああああ!!!!
ぎゃああああああああああああああああ!!!!
本館内から、始祖の眷属どもから発せられるおぞましい悲鳴が、数多響いていた。
轟く悲鳴の中、
ウッラ、テオドラ、マルコシアスはじっと待つ。
特にマルコシアスは「じっ」と目を閉じ集中。
本館内を丹念に、魔力感知で探っていた。
魔導光球により、眷属どもの所在だけでなく、本館内の様子も捉えている。
特に始祖と側近どもの所在を明らかにしようとしているのだ。
…………………………………………………………………………
集中に集中を重ね、ついに始祖の所在が見えて来たらしい。
マルコシアスはにやりと笑った。
『見えたぞ! ウッラ! テオドラ! ケルベロス! 始祖め! 側近どもとともに、本館内を高速で移動している!』
『おお! 見えましたか!』
『成る程! 我々に所在をつかませない為ですね!』
うお~ん!!
『よし! 放った魔導光球100全てを、始祖に向け追尾させる! 雑魚には目もくれさせん!』
『はい!』
『はい!』
うお~ん!!
ここでウッラが、クランリーダーとして指示を出す。
『よし! マルガ様! 始祖を追尾しますよ! 破邪と葬送の魔力の影響を避け、私とともに後方にて、ルート指示をお願いします!』
『ウッラ! 了解だ! 私は後方に控えるぞ』
『テオドラ! ケルベロス! 破邪と葬送の魔力を苦としないお前達が先陣だ!』
『了解です!』
うお~ん!!
『ケルベロス、先頭に立って雑魚を頼む! テオドラ! お前は始祖を追え!』
『了解です!』
『さあ! 決戦だ! 全員出撃!!』
『はいっ!』
ウッラの大号令とともに、全員が、本館へ突入!
いよいよ大詰めを迎えたのである。
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