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第1,384話「女傑3人⑯」

テオドラとケルベロスが斥候、偵察から帰還した。


しかし、斥候―すなわち敵の状況や地形などを探る事。

偵察―すなわち敵などの情報を能動的に収集する事。

にとどまらず、『気配消し』のスキルを用いて潜んでいた、

始祖の眷属どもを、300体以上倒したのである。

最後は、テオドラとケルベロスを怖れ、残っていた者達も全て撤退してしまった。


多分、始祖と眷属は、テオドラとケルベロスを侮っていたに違いない。


ウッラ、マルコシアスは、テオドラとケルベロスを労わり、しばしの休憩をとった。


さて、ここからどう出るのか?


合流した女傑3人とケルベロスは、打合せを開始した。


進行&まとめ役は、テオドラから改めて詳しい報告を受けた、

『リーダー』のウッラである。


「テオドラとケルベロスが始祖の眷属半分以上を倒してくれた。この後の作戦について、意見を頂きたい。まずはマルガ様」


「ふむ。数は減ったのだが、眷属どもの中で、始祖の側近クラスは居たのか、どうか、くさすわけではないが、テオドラ達が倒したのは雑兵ばかりかもしれぬぞ」


「成る程。テオドラ、どうだ?」


「はい、ウッラ姉。マルガ様のおっしゃる通りかもしれません。ご報告した通り、魔導光球に破邪葬送の魔力を仕込み、追い立てたところを倒しましたが、ほとんどが雑魚だったような気がします」


「そうか。ならば側近クラスは始祖とともに本館奥に潜んでいるやもしれぬなあ」


「はい! 塔の最上階、本館につながる出入り口の奥からは、強い魔力が放出されておりました」


「そうか!」


「ウッラ姉、始祖と側近に通用するかは不明ですが、本館内へも魔導光球を複数放つ事を提案致します」


「うむ。私は『あり』だと思うぞ、テオドラ」


「ですね! 許可を頂ければ、再びケルベロスとともに、本館へ突入します」


「うむ! マルガ様はどう思われますか?」


「ああ、私も賛成だし、テオドラの心意気を買おう。但し、今回は私とウッラも出撃、後詰で続こう」


「マルガ様、了解です! テオドラ、ケルベロス、頼むぞ!」


「はい!」

「うおん!」


作戦は決定した。


テオドラとケルベロスが先行。

後詰が、ウッラとマルコシアス。


作戦の最終確認を行い、4人は、塔内へ侵入。

本館に居るであろう、始祖討伐へ向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


塔内の会話は心と心の会話―念話で行う。


『では、私とケルべロスが先行致します……ケルベロス、行こう』


テオドラが声をかけると、ケルベロスはじっと彼女を見た後、

先ほど同様、無言で先頭に立ち、軽快な足さばきで、階段を昇り始めた。


そのテオドラとケルベロスの少し前方、

天井近くの空中を、魔導光球10以上「ふわふわ」と飛んで行く。


その魔導光球が淡く照らす上方への階段は、ところどころ崩れ落ちている。


ウッラが飛び越えられない箇所の報告も、テオドラによりされており、

既にマルコシアスが抱えて飛ぶ事が決まっていた。


4人は、警戒しながら進むが、抵抗はなく、眷属どもがスキルを使い、

潜んでいる気配も皆無であった。


あっという間に、4人は塔の最上階へ到着した。


入った時から、塔内は静まり返っていたが、最上階も同様。

物音ひとつない。


本館への出入り口からは、やはり濃い魔力が流れ出ていた。


マルコシアスが顔をしかめる。


『ふむ、あの魔力……強すぎる。ダミーで、罠の可能性もあるな』


『そうですか』

『どうしましょう?』


『!』


ここでケルベロスが無言でアイコンタクトを送って来た。

しかし無言でも3人の女傑には分かる。


頑健さを誇る魔獣ケルベロスは、自ら突撃役を申し出ているのだ。


しかし3人は、全員首を横へ振る。


『『『却下!』』』


くううん……


申し出を却下され、ケルベロスは悲し気に鳴いた。


しかし、この却下はケルベロスを嫌ってとか、無能扱いしているわけではない。


むしろ逆。

自分達の為に身体を張るケルベロスを思いやっているのだ。


テオドラが言う。


『では、私が魔導光球のみ送ります。もしも罠ならば、何らかの反応があるはずです。ただ本館は全然広いので、もっと数があればと思います。私の照明魔法では最大50個の生成が限界です』


ここでウッラがはたと手を叩く。


何か思いついたようである。


『マルガ様』


『ん? 何だ、ウッラ』


『マルガ様も照明魔法の魔導光球、使えますよね?』


『ああ、当然使える。生成100個は行ける。但し破邪や葬送の魔力は込められんぞ。効力がないダミーの魔導光球となる』


『構いません、合わせ技で行きましょう』


ウッラが言うと、マルコシアスはすぐ気づいたようである。


『合わせ技? おお、そうか! 私が光球を生成し、テオドラが破邪、葬送の魔力を込めるのだな。そうすれば100個以上の魔導光球で探索……勢子が可能だ』


ビンゴ!

当たりである。


但し、ウッラは念の為、注意するのを忘れない。


『でも魔力感知で気配を探り、始祖どもの位置をキャッチするのはマルガ様の役目ですよ』


『了解だ! テオドラ、話は聞いていたな?』


傍らに控えていたテオドラは、念話を共有している。


『はい、マルガ様。いつでも準備OKです!』


『よし……ルークス』


ぽうわっ!!


マルコシアスが早速魔導光球を出現させたが……

テオドラが呼び出した魔導光球に比べ、とんでもなく大きい。


しかしテオドラは、すぐマルコシアスの意図に気付く。


『マルガ様、これって効率化の為大きくしたのですか?』


『うむ、そうだ。さすがだな。この光球に100個分の破邪葬送の魔力を込めてくれ。それなら発動が一度で済むだろう』


『はい、助かります』


『ふふふ、悪魔の私はテオドラの破邪葬送の魔力に当たらないよう少し下がっていよう』


マルコシアスは、テオドラの魔力が及ばない距離に移動。


移動を確かめてから、テオドラは、マルコシアスの生成した巨大な光球へ、

破邪葬送の魔法を放ったのである。

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