第1,367話「夢見るマノン⑥」
ルウによる、魔道具研究の宝石――パワーストーンの授業が続いている。
「では、皆、パワーストーンの話を続けよう。次に俺が話をするのは、ムーンストーンだ」
ここで「はいっ!」と、再びマノンが手を挙げる。
「ルウ先生」
「おう!」
「ムーンストーン……月長石は、天に美しくはかなげに輝く、月の満ち欠けに従う不思議な石ですわ」
「ああ、マノンの言う通りだな。ムーンストーンが好みかい?」
「はい! パワーストーンは全てが大好きです! ……特にムーンストーンは恋人たちの未来を、ミステリアスに照らすパワーストーンですから、当然、大好きですわ」
マノンはにっこり笑い、ゆっくりと座った。
先ほどと同じく、大好きですわ……の後に、こっそりルウの名を呼んでいた。
またまた、マノンが満面の笑みを浮かべているのは無理もない。
彼女の言う通り、ルウが認めた通り、
ムーンストーン……月長石は、愛する『想い人』同士にとって、
重要な働きをするパワーストーンなのである。
「では、ムーンストーン……月長石の話をしよう」
「……………」
「ムーンストーンは、月長石という別名以外にも、セレニティスという呼び名もあった。南の神々の中に在った月の女神の名だ」
「……………」
「ムーンストーンは、別名の月長石から分かるように長石の一種だ」
「……………」
「ちなみに長石とは様々な岩石に含まれている造岩鉱物だが、10種類以上あるぞ」
「……………」
「ムーンストーン――月長石は、特にカリウムを多く含む正長石に属する宝石だ」
「……………」
「ムーンストーンの色は、美しい乳白色だ。この乳白色に、これまた美しい青き光沢がある」
「……………」
「正長石などを、半球形にカットにした際、層が重なって生じる光の反射等により、表面にブルーやホワイトなどの強い光が現れる。これをシラー効果という」
「……………」
「このシラー効果の現象であらわれた幻想的な色彩が、穏やかで優しい月の光のように見えるから、ムーンストーン――月長石と呼ばれるという説を俺は特に推したい」
「……………」
「そして、ムーンストーンの宝石言葉は、恋の予感、純粋な恋、そして健康、長寿、富……などだ」
「……………」
「ムーンストーンは、愛する想い人へプレゼントするには、最適のパワーストーンだと言う者も多い」
「……………」
「なぜなら、ムーンストーンには恋の望みを叶え、限りない豊かさを与える効果があると言われているからだ」
「……………」
「ムーンストーンには、未来が見えるとも言う。愛するふたりの幸せな未来が待つと望みたいものだな」
「……………」
「また、ムーンストーンを身につければ、心の平穏に大きな効果があると言われている」
「……………」
「ムーンストーンのスペック説明は以上だ。次にムーンストーンの伝承を話そう」
ノートにメモを取る生徒たちは軽く息を吐いた。
今回もルウの話す伝承を聞く事が出来る。
という、期待の吐息であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スペックの説明は終わり……
生徒たちのお待ちかね、ムーンストーンの伝承が、ルウから語られる。
「では、ムーンストーンの伝承を述べようか」
「……………」
「昔、ある者が素晴らしい色彩の大きなムーンストーンを所有していた」
「……………」
「そのムーンストーンは、カットされた曲面から、常に美しい青色の 閃光を放っていた」
「……………」
「その閃光の中には白い大きな模様があった」
「……………」
「模様は月の満ち欠けにより、大きさをいろいろと変えていた」
「……………」
「満月になると模様は最大となり……」
「……………」
「新月になると、最も小さくなった」
「……………」
「噂を聞きつけたある国の王は、高額でそのムーンストーンを買い取った」
「……………」
「善政を行った王だから、所有者が自ら献上したのだという話もある」
「……………」
「王はお抱えの高名な宮廷占術師にムーンストーンを託した」
「……………」
「ムーンストーンを託された宮廷占術師は王国の未来を占った」
「……………」
「ムーンストーンは、月の満ち欠けとともに、王国の輝かしい未来を次々に示した」
「……………」
「その王国はムーンストーンによる未来予知により、いっそう栄えた……という事だ」
「……………」
「いままで紹介したパワーストーン同様、ムーンストーンは美しく神秘的な宝石だ。機会があれば使ってみるがいい。お前たちの恋が素敵に成就する事を切に願うよ」
ルウがそう言うと、講義を受講する生徒たちはこれまた、
「激しく同意!」とばかりに、大きく頷いたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!
《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》
(ホビージャパン様HJノベルス刊
宜しければ、第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。
HJノベルス様公式サイトでは試し読みが可能です。
お気軽にどうぞ!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス刊)
既刊第1巻~5巻大好評発売中!
コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
またこちらの「Gファンタジー」様公式HP内にも特設サイトがあります。
コミカライズ版第1話の試し読みが出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版がご愛読可能です!
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
新作を公開しました。!
⛤『騎士をやめて花嫁修業しろと言われた私は、公爵家お嬢さま御付きの騎士メイドとなりました!』
更に他作品のご紹介を。
⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』
⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》
⛤『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》
他の作品もありますので、何卒宜しくお願い致します。




