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第1,365話「夢見るマノン④」

スターサファイアのアミュレットを見せ、ルウへ迫り、満足したマノンは、

自分の席に戻っていた。


ルウによる、魔道具研究の宝石――パワーストーンの授業が続いている。


「では、皆、パワーストーンの話を続けよう。次に俺が話をするのは、ダイヤモンドだ」


遂に来たあ!

ダイヤモンドぉぉ!!

地上で最も硬いとも言われ、美しい輝きを持つ、ダイヤモンド……

数多あるパワーストーンの中で、最高レベルの宝石のひとつである。


またも、「私達にぴったりな宝石だぞ!」と

マノン達生徒全員が、目をキラキラ輝かせ、ぐぐっと身を乗り出した。


「ダイヤモンドは金剛石(こんごうせき)とも呼ばれている。炭素のみで構成される宝石であり、透明で無色のもの、青色、黄色、紅色などの色みがかかっているものもある。また漆黒のブラックダイヤモンドもシャープなイメージで人気があるな」


「……………」


「ダイヤモンドの語源には、屈しない、征服不可能という意味などがあり、(いにしえ)の時代には『アダマス』――打ち勝ちがたいとも呼ばれていたんだ」


「……………」


「そしてダイヤモンドの宝石言葉は、純粋、清浄無垢、永遠不変、また平和、世界制覇などの言葉もあり、様々だな」


「……………」


「古来より……ダイヤモンドは、すべての毒に打ち勝つ解毒剤となり、精神を正し、理由のない恐怖を追い払う効果があると言われた。つまり正気を保つ、常に平常心だという事だな」


「……………」


「また、護符としては最高の効果を持つ宝石とされ、奇怪な悪霊、夢を追い払い、

敵が振るう剣を押さえるとも言われた」


「……………」


「ここで、ことわざをひとつ言おう。毒を以て毒を制すということわざだ」


「……………」


「つまり、ダイヤモンドが毒を押さえるのは、同じくらいの毒を有するからだ……そんな考え方もあったそうだ。まあ、これは参考レベルと考えておけば良いと思う」


「……………」


「そしてダイヤモンドには、世界の各地域により、いろいろな効果があると(うた)われた」


「……………」


「ある地域では、怒りをしずめ、夫婦の絆を守ると謳われた」


ルウがそう言うと、オレリー、ジョゼフィーヌ、リーリャが「うんうん」と、

満足そうに頷いた。


マノンも一瞬、口をとがらせたが、表情は柔和だ。


「またある地域では、よこしまな欲望をしずめ、貞節をしっかり守ると謳われた」


同じく、オレリー、ジョゼフィーヌ、リーリャが「うんうん」と、

満足そうに頷いた。


今度はマノンも頷いている。


「ある地域では富と権力を得られると謳われたが……これには注意が必要だ」


注意が必要?

どういう事なのか?


しかし、ルウはすぐに説明を入れる。


「富と権力を得る為には質の良いダイヤモンドを所有する事が必要だとされている。逆に、クオリティの低いダイヤモンドを持つのは、逆効果になるぞ」


「……………」


クオリティの低いダイヤモンドを持つのは、逆効果になる!?


結構な数の生徒の表情が暗くなる。


しかし、ルウは笑顔でフォローを入れる。


「だが……安価でも、クオリティが低くても、自分にゆかりのあるダイヤモンドは大事にすべきだと俺は思う。例えば肉親の形見とか、大切な人がプレゼントしてくれたものは、その思いが守護の力に代わる……個人的な意見だが、俺はそう思うよ」


ルウの言葉を聞いた生徒全員は、晴れやかな表情で大きく頷いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ルウの説明は更に続く。


「現世の研究では、ダイヤモンドは精神力の強化、論理的な思考を促進、隠された才能をサルベージし、世に出し、輝かせる働きがあるとされている」


「……………」


「また肉体的には、神経、感覚器官、脳、そして心の働きを良くするとされてもいる」


「……………」


「つまり、一般人は勿論、特に魔法使いの卵たるお前達生徒には有用な宝石だと思う」


「……………」


「機会があれば、身に着け、試してみる事をお勧めしよう」


「……………」


生徒たちは、無言で集中し、教科書と付け合わせし、丹念にメモを取りながら、

ルウの講義を一生懸命に聞いていた。


ここで、「はい!」とマノンが挙手をした。


「マノン!」


ルウが指名すると、マノンはすっくと立ちあがった。


「ルウ先生」


「ん?」


「私は呪いのダイヤモンドの伝説を耳にした事がありますわ。大変怖いものだと聞きました」


「……呪いのダイヤモンドか。だが、はっきり言って、呪いのダイヤモンドは存在しない」


「え?」


「正確に言えば、ダイヤモンドに限らないという事さ」


「な、成る程」


「そもそも呪いは、基本的には怨念を魔力に変換したものだ。そしてダイヤモンドに限らず、あらゆる宝石、品物に、所有者、第三者が宿らせる、または、自然に宿る可能性がある」


「な、なぜ、わざわざ品物へ呪いをかけるのですか?」


「一番多いのは盗難防止、もしくは悪意を持った嫌がらせ……だな」


「分かりました! では、呪いの品物を扱う時は?」


「ああ、解呪(ディスペル)の魔法を習得する事が必要だ。もしも商売品を扱う場合、呪いがあったら、販売が出来ないからな」


「了解です! ありがとうございました、ルウ先生!」


満足そうに頷いたマノンは、席へゆっくりと座ったのである。

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