第1,364話「夢見るマノン③」
「はい、今の件は全員納得しましたので、次のパワーストーンに関し、講義をお願い致しますっ!」
晴れ晴れした表情で、マノンは講義の続きを求めた。
やる気満々のマノン。
対して、ルウは笑顔で応える。
マノンをますますやる気にさせる為だ。
「了解だ、マノン。では、皆、次のパワーストーンの話をしよう」
ルウは軽く息を吐き、
「次に俺が話をするパワーストーンは、サファイアだ」
来たあ!
サファイア!
天空の『青』を示す美しい宝石である。
「私達にぴったりな宝石だ!」と
マノン達生徒全員が、目をキラキラ輝かせ、ぐぐっと身を乗り出した。
「サファイアは青玉と呼ばれている。分類上はルビーと同じ種類の鋼玉であり、赤いものをルビー、青色など、赤色以外のものをサファイアという」
「……………」
「つまりサファイアは、サフィルス――『青』という語源から、色は青なのだという一般的なイメージはある」
「……………」
「だが、青以外にも、様々な色のサファイアがあるという事だな」
「……………」
「ピンク、紫、黄色など、いろいろだ」
「……………」
「そして、サファイアの宝石言葉は、純潔、貞操、誠実、不変、徳望……だ」
「……………」
「そもそもサファイアは、古の時代から、天の使徒が祝福した聖人の宝石とあがめられ、使徒の主たる創世神様の恩恵や慈愛を受け、魂の再生をもたらすと信じられていたんだ」
「……………」
「つまり、もう少し簡単にかみ砕いて言えば、サファイアは邪悪な考え、不安を取り除く。つまり精神を安定させ、純粋さをもたらす効果があるという事だな」
「……………」
「それゆえに、サファイアは、聖人は勿論の事、賢者、そして創世神教会の司祭などの聖職者にこそ、最もふさわしい宝石なのだと考えられていた」
「……………」
「実際、その証として数多の聖職者達は、美しいサファイアをひどく重宝し、自ら指輪を始め、装身具として身につける事が多い」
「……………」
「サファイアの中には、カボション・カットした時、含有物により、六条の星光を放つものがある。これをスターサファイアという」
「……………」
「スターサファイアは、男性の愛を獲得出来る宝石だと言われている」
「……………」
「もしもお前達に、意中の相手が居るとすれば、スターサファイアを身につけ、愛を告げれば良いと思うぞ」
「……………」
ルウがそう言うと、
何故かマノンは、にっこり笑い、
自身が首からさげたアミュレットを、手を伸ばし、きゅ! と握りしめたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ルウの授業は更に続いている。
「次にサファイアにまつわる伝承をひとつ述べよう」
「……………」
「皆も知っていると思うが、全知全能たる創世神様の秘密を含む、地上と天界全て、つまり全宇宙の秘密をまとめた書がある」
「……………」
「『神の神秘』という意味を持つ名の、とある大天使が記した禁断の書だ」
「……………」
「この禁断の書は、創世神により創られた、最初の人間へ与えられた」
「……………」
「だが、この禁断の書には原本があると言われている」
「……………」
「その原本こそが、今、学んだサファイアの石板に記されていた。そう伝えられている」
「……………」
「禁断の書の原本の行方は定かではなく、最初の人間に与えられたものも失われてしまったが、その一部が、いくつかの古文書には、伝承として記されている」
「……………」
「人間が天の使徒となる方法、または悪魔を従える召喚術、絶対的な王として君臨する支配の術があるというものだ」
「……………」
「その術が存在した証として、元人間だという天の使徒が存在したらしいし、古の魔法王ルイ・サレオンは数多の悪魔を自在に使役し、世界に対し、絶大な権勢を誇ったという」
「……………」
「謎めいた禁断の書と、更にその原本が、美しいサファイアの石板に記されていた。俺達、魔法使いのロマンは尽きない……という事だ……サファイアに関しては以上だ」
ここで、
「はい!」
とマノンが挙手をした。
質問があるらしい。
「ああ、マノン、質問かな?」
と、ルウが尋ねると、マノンはすっくと勢いよく立った。
「先ほど、ルウ先生がお話しになった、スターサファイアについてお聞きしたいのです」
「おう、スターサファイアか? 何かな?」
「はい! ごらんになってくださいませ、ルウ先生」
「ん?」
「ルウ先生、しっかりと! 見てください! 私はここに……スターサファイアを身につけておりますわ!」
ルウに対し、挑むように胸を張るマノン。
そのマノンが見せる胸元には、
美しく大きなスターサファイアで造られたアミュレットが、
きらきら輝いていた。
「改めて質問致します、ルウ先生。スターサファイアの強大な魔力なら、世界ナンバーワンの術者の愛を獲得出来るものなのでしょうか?」
美しく輝くスターサファイアに勝るとも劣らないほど、
マノンの瞳は美しく輝いていたのである。
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