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第1,361話「とある休日の午後、アドリーヌ私室」

とある休日の午後、アドリーヌの私室。

アドリーヌは、魔法女子学園から渡された書類の束に熱心に目を通していた。

書類は、主に来春入学の新入生の指導要綱である。


少し前に異動の内示があった。

来春4月1日付けで、アドリーヌを、新1年C組の担任に任命すると。


内示に際し、簡単な事情説明があった。

現1年A組担任、主任教師シンディ・ライアンが魔法女子学園を退職すると。


聞けば、夫キャルヴィンが王都騎士隊の隊長を辞し、王都郊外にある楓村の管理官に着任。

一子ジョナサンも含め、一家全員で移住するというのだ。


楓村とライアン伯爵家のつながりが出来たのは、ジョナサンが楓村の少女エミリーを助けたのが発端だとも聞いていた。

その後、ジョナサンはエミリーと婚約したとも。


教職員会議であいさつをしたシンディは、笑顔であり、暗さはみじんもなかった。

自分なりに教師という職業を全うしたという気持ちなのだろう。


いずれ教師の職を辞す時、自分も同じ気持ちになりたいとアドリーヌも思ったのだ。


……とはいっても、自分が教師を辞すのはだいぶ先になるとも、考える。


当初は、占術師になれなかった為、生活して行くゆえに、仕方なく就職した魔法女子学園であったが……

様々な出会いがあり、自分が置かれた環境は大きく変わった。


最も大きかったのはルウとの出会い、そして伴侶として結ばれた事である。

ルウは半ば勘当されていた、アドリーヌの実家コレット辺境伯家との関係修復にも尽力してくれた。

加えて、実家の経済的なフォローもしてくれたルウ。

当主の父、次期当主の兄とも折り合いが良く、最高の相手といえる。


プライベートは順調だ。

仕事も、現在の副担当から『昇格』という形で、ひとクラスまるまる任される担任となる。

それも何と新入生、ステファニーのおしゃまな妹、アニエスを見て感じたが、相当苦労するに違いない。


それゆえ一層、気合が入って書類に目を通すアドリーヌ。

……約1時間が経ち、少しひと休みと思い、アドリーヌは魔導ポットから温かい紅茶を淹れた。


私自身も変わるけど……

新人教師として魔法女子学園に赴任した時と、周囲も変わるなあ……

そうアドリーヌは考える。


シンディ先生は学園を退職し、楓村へ旅立つ。


フランシスカ先生は、否、頼もしい妻達のまとめ役フラン姉は、

シンディ先生の後任として、副担任を経て、新2年A組の担任へ。

いずれ代理が取れ、正式に校長に就任すると言われている。


そのフラン姉のライバル、ケルトゥリ教頭は、出世レースから一歩後退した形。

最近は達観した雰囲気が漂っている。

なんとなく、ふいっと退職するような気がしてならない。


何かにつけて、良く叱られたけど……もしもケルトゥリ教頭が居なくなると、寂しくなるだろう。

アドリーヌは、少し切なくなったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


紅茶をひとくち、ふたくち飲み、アドリーヌの回想は更に続く。


現在ペアを組んでいる先輩は、現2年A組担任のクロティルド先生。

彼女は、旦那様とあるやりとりをした後、自分の大好きな魔道具研究を極めると心に決め、更に仕事熱心になった。

学級委員長のマノンさん、同副委員長のポレットさん達とも信頼し合っている。

そして私も……

2年A組の生徒達から頼られているから、異動するのは寂しいなあ……


赴任当初、上がり症で失敗した自分を、突き放した冷たい先輩だと思ったけど、

あの対応は、今ならば愛のムチだったと理解出来る。

一時期、旦那様に片思いぽかったけど……吹っ切ったみたい……


ルネ、カサンドラのボワデフル姉妹先生は旦那様と一緒に冒険者をやっていたけれど、冒険者をやめて婚活すると聞いたっけ……

クロティルド先生同様、旦那様に好意を持っていたのがありあり。

でも叶わぬ恋と見切りをつけたみたい……


そのボワデフル姉妹先生に刺激を与えたのがリリアーヌ先生。


聞けば、キングスレー商会の幹部社員マルコ・フォンティさんと交際の末、婚約したとか。

早ければ来春結婚と噂されている。


来年の春になったら、私達はどうなっているんだろう。

私は新入生達に突っ込まれてしどろもどろだったりして……

いや、そんな事にはならない。

私は変わったんだ。


それに私はまだ夢を捨ててはいない。

占術師になる夢を……

教師という職業を極める事を目指しながら、子供の頃からの夢、占術師を目指しても良いよね?


私には旦那様を始めとして協力してくれる家族が居る!

フラン姉も最近人気が下降気味の占術復興に向けて頑張ろうと言ってくれたし。

来年には、占いが大得意の天才フランソワ―ズ先生も入って来る!


占術は盛り上がる。

そんな予感がする!

多分、予感は確信へと変わるだろう。


その時。


「アドリーヌ姉! お夕飯(ゆうはん)ですよぉ!」


生徒で可愛い妹でもあるオレリーの、自分を声が聞こえた。


恥ずかしがり屋だったオレリーも、今や堂々たる生徒会長。

前任のジゼルとは違う形で生徒達から頼られている!

彼女は、旦那様に出会って大きく変わった。


もしかして……私も、そういわれているかな。


「は~い! 今、行きまあす!」


アドリーヌは元気に返事をし、自室の扉を開けたのである。

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