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第1,319話 「生涯唯一の嫉妬⑩」

 ルウは悪しき魔女キルケーが造った、現世と亜空間をつなぐ扉を派手に破壊。

 改めて、己の制御(コントロール)が効く魔法扉を生成し直した。


 ルウが指を鳴らし……

 音もなく開いた魔法扉から、ルウ達は亜空間内へ入った。


 亜空間内は広大な空間が広がっている。

 不可思議な事に……美しい世界であった。


 何と! 

 真っ青な空、真っ青な海が広がっているのは、それまでルウ達が居た南の海……

 現世の風光明媚な風景とまったく変わらなかったのである。


 そして眼下には、さして大きくない島がたったひとつだけ、蒼き大海に浮かんでいた。

 中央部分に白亜の巨大な城館があるのが見て取れる。

 城館の周囲は深い森があり、そして海岸線には険しい岩礁と美しい砂浜が混在していた。


 その真っ青な大空に浮き、腕組みをしたルウ。

 すぐ傍らには、同じくモーラルとテオドラが浮いている。


 ルウが遥か彼方の島を見つめ、言う。


『あれが、キルケーが住むというアイアイエー島か』


『はい、旦那様。そうみたいですね』


 あっさり同意するモーラル。

 更にテオドラが、「びっ!」と手を挙げる。


『ルウ様、モーラル奥様、従士の私がさくさくっと斥候(せっこう)に行って参りましょうか?』


 しかしルウはゆっくりと首を横に振った。


『いや、俺達3人、この場で待とう。派手に扉をぶち壊したから、そろそろ「出迎え」があるだろうさ』


 全く慌てない、泰然自若という趣きでルウが言うと、


『はい、旦那様、急接近する一群が! 我々に対する排除と殺意の激しい波動を感じます』

『ええ、私も強き波動を感じました……来ますよっ!』


 モーラルとテオドラが表情を引き締めた。


 アイアイエー島の上空にあった鳥の群れらしき物体が、あっという間にルウ達へ迫って来た。


 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!

 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!


 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!

 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!


 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!

 ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!ぎゃう!


 遥か遠くから聞こえて来たのは、まるでゴブリンが泣きさけぶような奇声。


 否! おぞましい殺意の雄叫びをあげながら、

 現れたのは、まともではない異形の鳥どもである。


 相変わらずルウは動じない。

 不敵に笑う。


『成る程、放つ波動でもしやと思った。コイツらは冥界で見た事がある。ハルピュイアだ。多分キルケーが冥界から勝手に連れて来たんだ』


『はい、旦那様、確かにハルピュイアです』

『私は、初めて見ます!』


 モーラルとテオドラはそう言うと、いつでも戦えるよう身構えた。


 ハルピュイアとは、冥界に住まうとされる鳥のような合成魔獣(キメラ)である。

 醜い人間の顔に、背にはコンドルの羽根、脚には鷲の爪を持つ。

 敵を見ると執拗に何度も攻撃する。


 基本的に食欲が旺盛であり、食糧を見ると意地汚く貪り食らう。

 その上、食い散らかした残飯に汚物を撒き散らして去って行くという、不潔で下品な性癖なのだ。


『ふっ、モーラル、テオドラ。俺に任せろ』


『はい! 旦那様!』

『御意です! ルウ様!』


『せっかく、俺達を「歓迎してくれる」んだ。華々しく「葬送の花火」を打ち上げてやろう。冥界の魔獣なら、在るべき領域へ帰し、きっちり仕事をして貰う』


 みるみるうちに、ルウの体内魔力が上がって行く……

 傍に控えるモーラルとテオドラが圧倒される凄まじき魔力だ。


 ルウは、神速で言霊を詠唱する。


『我が魂より出でし、燃え盛る(エシュ)よ! 更に猛き(シャルヘベット)となれ!』


 ルウが行使しようとするのは、『破壊炎』

 高貴なる4界王のひとり、火界王パイモンが最も得意とする火属性、最高位の精霊魔法だ。

 一般的に知られる火の最高魔法といわれる『爆炎』

 威力がその数千倍はあると、失われし古文書には記されたと伝えられる。


 以前パイモンがルウの目の前で、毒竜ヒュドラを倒す為行使したものを、ルウが習得し、時たま使う。


破壊(ヘレス、ハシュマダー)!』


 『決めの言霊』をルウが発すると、超困難度の火の最高位魔法はあっさりと発動した。


 ごごごごわあああああああああああああああっっっっっ!!!!!


 一瞬にして!

 真っ青な大空に、巨大な紅蓮の猛炎が出現し、吹き荒ぶ。


 異界から呼び出された膨大な魔力の猛炎が、歯向かう敵全てを焼き尽くすのだ。


 『破壊炎』の威力は絶対的であった。

 ルウ達を襲おうと、向かって来たハルピュイアどもは、一瞬にして燃え尽きていたのである。

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