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第1,309話 「未来への改革⑥」

 妹ケルトゥリの前で姉リューディアは更に熱く語る。

 話は、どんどん核心へ近づいているようだ。


「ケリーよ、お前にも分かるだろう。この世界は、常にめまぐるしく変化しているのだ」


「確かに、そうね」


「うむ、刻一刻と変わるその中で、一族を導く我々指導者は『機を見るに敏』を徹底せねばならぬ」


「……………」


「情報とは足の速い、いわば生ものだ。そして数限りなく多い。私達は世界のありとあらゆる新鮮な情報を取得し、素早く取捨選択し、一族に有効なものを最大限に活かしていかねばならぬ」


「……………」


「大破壊などの災厄だけではない! あらゆる事態に対し、知恵を尽くし最善の行動をする。スピーディーにな!」


「……………」


「それゆえ、旧態依然としたままではいけない。伝統にこだわりすぎる今のイエーラではいけない。排他的なこのままではアールヴは滅びるしかない」


「排他的なこのままでは、アールヴは滅びる……」


「ああ、このままではな、座して死を待つ事となる。だから改革を行う! 未来を切り開く為に!」


「未来を切り開く為に……改革を」


「そうだ! ケリーよ」


「……………」


「私が行おうとする改革は壮大なのだ。計り知れないぞ」


「……………」


「金、時間、人手、どれもがいくらあっても足りない」


「……………」


「だが……そう、時間をかけてはいられない」


「時間をかけては……あ!」


 リューディアの言葉を繰り返したケルトゥリは、何かを思い出したらしい。


「ふ、気付いたか」


「え、ええ……ルウ……様との兼ね合いね」


 いつもの癖でルウを呼び捨てにするところを、何とか尊称で呼んだケルトゥリ。

 リューディアは、気が付いているらしいが、敢えて注意せずスルー。


「ああ、ルウ様は短い寿命しか持たぬ人間族……あの方の命は短いからだ」


「……………」


「シュルヴェステル様が生きた7,000年はさすがに規格外だが……我々、アールヴに与えられた寿命は2,000年から3,000年。対して人間族に与えられた時間はせいぜい約100年にすぎぬ」


「……………」


「私は所詮ソウェル代行だ……シュルヴェステル様は、死の間際、ルウ様にソウェルを継ぐように厳命された。アールヴ族の未来の為に」


「……………」


「だがルウ様はお優しいがゆえに、旅立たれた。シュルヴェステル様の真意を理解出来ぬ愚かな長老どもがいさかいを起こすのを避ける為に……」


「……………」


「ケリー、私はな、あの方がご存命のうちに、必ずソウェルとなって貰う。そしてあの方の意思を反映したイエーラを作り上げる!」


「……………」


「絶対にな!」


 ダメ押しとばかりに言い切るリューディア。


 鋭い眼差しと口元をきゅっと結ぶ姉を見て……

 ケルトゥリはそっと息を吐いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 リューディアは、自分をクールダウンさせたようだ。

 気持ちのたかまりが収まって行く。


「では……話を戻そう」


「……………」


「ケリー、このフェフの都は、まだ単なる器にすぎない。絵を描く前の真っ白なキャンバスの如しだ」


「……………」


「お前にも分かるだろう。絵画とは、キャンバスへ絵を描かないと完成しない。つまりこの都フェフが完成するには、中で機能する数多のシステムが必要なのだ」


「……………」


「お前に任せようと考えている魔法学校もその機能のひとつだ」


「……………」


「他にもいろいろ描きたい絵はたくさんある。これからだ。お前やミンミの力が必要なのだ」


「……………」


 ずっと無言で、腕組みをし、意思表示をしないケルトゥリ。

 そんな妹の気持ちを見抜いたように、姉は笑う。


「ふっ、お前がルウ様と同じ職場で働きたいのは良く分かる」


「……………」


「だが、そろそろ潮時だろう」


「……………」


「ケリー、お前はあの人間の魔法学校において、校長、そして理事長にはなれぬ」


 リューデイアは、きっぱりと言い放った。

 ケルトゥリは無言。

 否定も肯定もしない。


「……………」


「近いうちに、現理事長アデライドの娘フランシスカが校長となり、いずれは跡を継ぐだろう」


「……………」


「改めて断言しよう。お前が今の役職、教頭より上へ行く目はない」


「……………」


 ケルトゥリは、引き続き黙っていた。


 自ら今の状況を姉に話した覚えはない。

 魔法で心を読まれた気配もない。

 情報収集に重きを置くという通り、リューディアは既に各所へ情報網を張り巡らせているのだ。


「しかし、お前に任せる学校はお前自身の学校だ。一から十まで、お前の色に染め、思うがままに腕を振るう事が出来る!」


「……………」


「お前にとって、デメリットはない!」


「……………」


 デメリットは、ある!

 先ほど、リューデイアは理解してくれたではないか。

 ケルトゥリの、ルウへの恋心を。 

 

 この都へ来れば、ルウと離れ離れとなってしまう。

 会える事は会えるだろうが、機会はずっと減る。


 しかし、リューディアは言う。


「安心しろ。私に二言はない。何故ならば、この都へ、ルウ様をソウェルとしてお迎えすれば、ケリー、お前の懸念はなくなる」


 リューディアには、何か考えがあるようだ。


「その為に、お前にもこれから大いに協力して貰う!」


 ニッと笑ったリューディアは、複雑な顔付きのケルトゥリを、まっすぐに見据えていたのである。

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