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第1,304話 「未来への改革①」

「な、何、これ!?」


 魔法女子学園教頭、麗しきアールヴ女子ケルトゥリ・エイルトヴァーラは、目の前の光景を見て、呆然としていた。

 目の前に広がる故国イエーラの様子が全くといっていいほど、変貌していたのである。


 かつて……

 この辺りはうっそうとした旧く深き森が広がっていた。

 その森の奥に森の民とも呼ばれるエルフとも呼ばれるアールヴ族が棲んでいたのだ。


 アールヴの長、前ソウェル、シュルヴェステル・エイルトヴァーラは重い病にかかり、死を覚悟し、後継者に幼い頃引き取った人間族の青年ルウ・ブランデルを指名した。

 しかし、ルウは保守的な長老達が異種族を後継者とする事に大反対する事を見越し、辞退。

 あてもなく旅に出てしまった。


 ケルトゥリの姉リューディア・エイルトヴァーラは、数多居るシュルヴェステルの弟子中で、ルウに次ぐ実力を有していた。


 身内のように面倒を見た、おとうと弟子ルウの希望もあり、彼が辞退したソウェルをいやいや継いだ。

 但し、リューディアは「半分」拒否した。

 あくまでもルウの代わりとして、『ソウェル代理』となり継いだのだ。


 そもそもリューディアは、師シュルヴェステルに心酔していた。

 シュルヴェステルは、アールヴ史上最強のソウェルと謳われた傑物だ。


 そのシュルヴェステルが自分を遥かに超える大器として認めたルウに対しても、リューディアは、種族を超え、深い尊敬の念を持っていた。


 それゆえ、リューディアは、いずれルウにソウェルを継いで貰う事を諦めていない。

 否、ルウから何度断られても、けして諦める事はないだろう。


 閑話休題。


 『ソウェル代理』となったリューディアは、長老たちを全員追放。

 イエーラを大改革すると宣言した。


 そのリューディアからから、ケルトゥリは「新たな都を作る!」と常々言われていた。


 しかし、アールヴは自然の中で生きる妖精族の末裔である。

 あくまでも、『森』を活かした大きな町を作るのだろうと、ケルトゥリは思っていた。


 ケルトゥリの目の前に広がる街壁は、魔法を使ったとはいえ、完全な人工物である。


「こ、これが、リュー姉様が作り上げた、アールヴの国イエーラの新たな都フェフ!? まるでヴァレンタイン王国王都セントヘレナ……いえ、中に森が見える!? 狩場の森だわ」


 ケルトゥリがそうつぶやくのも無理はない。

 目の前に広がるのは、街壁……


 地の魔法で生成したらしき堅牢そうな岩の壁である。

 周囲10数キロにわたって左右に広がり、ぐるりと中にある大きな街を取り囲むように造られていた。

 等間隔で、内側に物見塔が据え付けられている。


 表面が滑らかなクリーム色の岩壁は、見上げるような高さであった。

 間違いなく30mはあるに違いない。


 街壁からは。強い魔力も感じる。

 対物理、魔法対応の障壁も……高位の防御魔法で張り巡らせてあるようだ。


 ケルトゥリが改めて見やれば、鋼鉄製らしき正門があり、門番らしきアールヴの戦士が10名ほど立っていた。


「ふふ、身内といえど、都の中へ直接転移は……させないか。用心深いリュー姉様らしい」


 姉がケルトゥリへ与えた魔法水晶は本人の魔力にのみ反応する。

 つまりケルトゥリ専用の魔法水晶である。

 それも転移先がこの都フェフ、そして自宅の部屋のみという限定的な魔道具だ。


 苦笑したケルトゥリは、ゆっくりと歩き出したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ケルトゥリは、姉リューディアから、理由不明の急な呼び出しを受けた。

 学園に申し入れ休暇を取り……

 姉から渡されていた転移の魔法が付呪(エンチャント)された魔法水晶を発動。

 自宅から瞬時に、帰国したのである。


 門番の魔法剣士にこれまた姉から渡されたミスリル製の身分証を提示すると……

 魔法剣士は直立不動で敬礼、躊躇なく市内入場の許可をくれた。


 ケルトゥリは、少し緊張しながらフェフ市内へ入った。

 果たして……どのような街並みなのかと。


「成る程。人間の街と全く同じ……というわけでもないのね」


 そんなケルトゥリのつぶやきに対し、「当たり前じゃない!」という姉の反論が聞こえて来るような風景である。


 ひと言でいえば、深い森を活かした大きな公園、または別荘地のような趣きである。

 アールヴ族は、基本、大声で騒いだりしない。


 その為、街は静かであった。


 ケルトゥリが少し歩くと……

 大きな噴水のある広場にさしかかる。

 奥からわずかに喧騒が聞こえて来る。

 どうやら隣接したエリアに市場があるようだ。


 この広場を越え、更に奥に歩けば、姉が住むソウェル専用の屋敷がある。

 そこで待つ姉は、自分に一体何を話すというのだろう。


「はあ……」


 再び息を吐いたケルトゥリは、少しだけ歩みを速めたのである。

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