第1,296話 「リーリャの里帰り&ロドニア小旅行④」
翌日土曜日の夕方……
ルウと妻達は、リーリャの里帰りの為、赴いていたロドニア王家王宮から、帰って来た。
今回の小旅行は、ロドニア王家とブランデル家の懇親によりリーリャの里心を癒したとか、ルウから支援の礼を伝えたという、当初の目的を達成しただけではない。
普段は滅多に顔を合わせないアールヴのミンミと、ルウの妻達10人が一堂に会し、心底懇親した事にも大きな意味があるのだ。
ルウの背後でにこやかに談笑する妻達の表情に互いの仲が更に深まった事がはっきりと見て取れる。
大広間には、ルウ達の帰還を待ちわびた使用人達が勢ぞろいして出迎えていた。
アルフレッドこと通称レッド、妖精『赤帽子』が進み出た。
主ルウへ向かい、恭しくお辞儀をする。
「ルウ様! お帰りなさいませ! 奥様方ともども、ご無事で何よりです」
「お疲れ様だな、レッド。今帰ったぞ。留守中に異常はないな?」
「はい、何も異常はありません。ルウ様の召喚したケルベロスと、フランシスカ奥様が召喚したオルトロスが庭先でにらみをきかせたお陰で、怪しい奴は、屋敷へ一歩たりとも近寄る事が不可能ですから」
「そうか、ありがとう」
召喚魔法に目覚めたフランは、冥界の魔獣オルトロスを召喚した。
以降、地道に訓練を続けていた。
召喚対象の制御、及び効力範囲内の拡大には特に力を入れていた。
そして今回、術者たる自身が遠国に離れていても、召喚制御と効力をキープする難度の高い魔法に挑戦していたのだ。
レッドの報告通りであれば、フランの魔法は見事に成功した証となる。
熱心に魔法の指導をしてくれたルウには、大いに感謝したいとフランは満足そうに頷いていた。
微笑むレッドは更に言う。
「はい! ですから、ルウ様達の留守中は、私達使用人も少々楽をさせて頂きました。ホテルセントヘレナのスイートルーム宿泊に引き続き、本日のお昼までは命の洗濯をさせて頂きました。ご配慮、感謝の極みであります」
「はは、命の洗濯か」
「はい! という事で、気力体力充分の私達が、万全の態勢で打ち上げ会を兼ねた夕食の準備をさせて頂きました……皆様、お着がえしていただいたら、約1時間後、お食事開始となります」
「分かった!」
ルウはそう言うと、妻達へ向き直る。
「各自、一旦私室へ戻って、着替えてくれ。レッドの言う通り、大広間で打ち上げを兼ねた夕食会を行う。集合は1時間後だ」
ルウが振り返り、指示を出せば、
「「「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」」」
妻達は、異論なしとばかり、元気に返事をしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1時間に少し足らない時間が経ち……
着替えを終えたルウと妻達は大広間に降り、全員が揃った。
レッドが声を張り上げる。
「では、皆様お席の方へ!」
レッドが「さっ」と手を挙げると、ソフィア、テオドラの自動人形姉妹。
ウッラ、パウラのヴァムピーラ姉妹。
そしてエレナとリゼッタのニンフコンビ。
整然と息の合った動作で、次々に夕食の支度にかかる。
その間、ルウ達は席に座る。
ルウが一番奥に座り、左側にフラン、右側の流動的な席にはリーリャが座る。
フランの席は定位置だが、リーリャが上座に座るのは、身分云々ではない。
今回の旅行の打ち上げにあたり、お礼の挨拶をする為だ。
時間が来た。
支度が終わり、夕食が開始される。
ブランデル家では使用人も一緒に食事を摂る。
さすがに別のテーブルになっているが、同じ部屋で同時に食事を摂る事が使用人達のモチベーションのアップにもなっていた。
さてさて!
ルウがひと言。
「皆、お疲れ様。今回は万事が上手く行き、普段は多忙なミンミとも話せて良かったと思う。ミンミ! 普段官舎暮らしで寂しい思いをさせて申しわけない」
ルウがまずミンミを立てれば……
話をふられたミンミも「すっく」と立ち、深く頭を下げた。
「旦那様、こちらこそです! 皆、ギルドの仕事があるとはいえ、屋敷の事が全く出来ず申しわけない! こんな私だが今後とも宜しくお願いします!」
ぱちぱちぱち!
すかさず第一夫人のフランが拍手。
間を置かず妻全員が拍手した。
人数が多いからこそ、このようなコミュニケーションは必須なのである。
ミンミはもう一度礼をし、ゆっくりと着席した。
さあ、いよいよリーリャが全員へ今回の礼を告げる番だ。
元気に「すっく」と立ち上がる。
軽く息を吐き、元気に話し始める。
「 皆様! 今回はお忙しい中、私の里帰りの為、お時間をお取り頂き、ありがとうございました。お陰様で旦那様のおっしゃる通り、万事が上手く行きました。私自身も元気を貰う事が出来ました」
更にリーリャは言う。
「でも! 今改めて思いました! 私が帰るべき場所はここブランデルの屋敷なのだと! 旦那様、皆様の愛情に包まれ、リーリャは明日から、一層頑張る事が出来ると実感しております。今後とも宜しくお願い致します!」
ぱちぱちぱち!
ぱちぱちぱち!
ぱちぱちぱち!
妻の中で一番年下のリーリャは、ブランデル家のムードメーカー。
彼女の明るく晴れやかな笑顔を見て、その場の全員の心が軽やかになったのである。
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