第1,295話 「リーリャの里帰り&ロドニア小旅行③」
ルウ達ブランデル家の到着直後から開始され、延々と続いたロドニア王家との懇親会は終わった。
時間にして、4時間にも及ぶ長き宴である。
少し前にボリス達ロドニア、アレフィエフ王家の家族達は、就寝の挨拶をし、辞去している。
現在、ルウ達は『会場』の隣室に移って、まったりとお茶を飲んでいた。
隣室では、王宮の使用人達により、後片付けと翌朝の食事の支度がされている。
明日はボリス達と朝食をともにした後、ヴァレンタイン王国へ戻るのである。
1泊2日の慌ただしいスケジュールである。
しかしリーリャは全く不満な様子はなく、満面の笑みを浮かべていた。
久々の肉親との再会。
突き上げるような『歓び』がリーリャの心身をたっぷりと満たしている。
加えて、懐かしい故郷の料理の味も、彼女の気持ちの高揚をしっかりと後押ししていた。
「ううっ!」
まるで小さな子犬のように可愛く唸ったリーリャは、
「わう! 旦那様っ!」
「ひしっ」と思い切りルウへ抱き着いた。
「おいおい、どうした、リーリャ」
ルウが驚く。
だが、リーリャは構わずルウの胸に顔をすりすりする。
リーリャは嬉しかった。
そして、とんでもなく幸せだったのだ。
死がふたりを分かつまで……
否!
未来永劫、生まれ変わっても限りなく愛し合う『想い人』がそばに居る。
全てを分かり合った、大切な家族も自分を慈しみ支えてくれる。
一歩間違えば、闇に染められ、地獄の底へ堕ちていた自分、そして肉親達が、
伸ばしてくれた温かい手を掴み、引き揚げて貰ったのだ。
「旦那様ぁ! 旦那様ぁ!」
リーリャは時たま、わけもなくルウに甘えたくなる。
彼女は実感している。
ルウが居るからこそ、頑張れる。
そして頑張っているのを見て欲しい、認めて欲しいと。
と、そこへ!
「わあ、リーリャぁ!」
「ホントに甘えん坊さんですわっ!」
「あ、戦友軍団の登場ですねっ! うふふふっ」
オレリーとジョゼフィーヌが乱入。
抱き合っているルウとリーリャへ強引に?割り込んだ。
平民のオレリーと貴族のジョゼフィーヌは、王族のリーリャと同じ。
ルウと家族に巡り会い、それまでの人生が一変した。
愛と将来の夢と希望を胸に、日々頑張っている。
そしてこの生まれも育ちも全く違う3人は今や同じルウの妻であり、同級生且つ
『大親友』なのだ。
「旦那様ぁ!」
「旦那様ぁ!」
「旦那様ぁ!」
こうして、3人の美しい少女は……
就寝するまでず~っとルウに甘えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リーリャ、オレリー、ジョゼフィーヌが、ひたすらルウに甘えている時。
他の妻達も、ひさびさにゆっくりと懇親していた。
そもそもルウの妻達は多忙だ。
ブランデル邸に暮らしていても、こうして妻が一堂に会する事は滅多にない。
面白いのは、同世代趣味嗜好で派閥らしきものが出来る事だ。
ルウに甘えている2年C組トリオが然りである。
という事で、第一夫人フランの下には年上のラウラと同輩アドリーヌが。
3人の話題は、ルウの次に愛する魔法の事。
先日、フランソワーズを訪ね、占術復権を目指すフランとアドリーヌはラウラにも協力を求めている。
「将来ロドニアに魔法学校が出来たあかつきには、ぜひ占術を重点科目へ」と強烈にプッシュしている。
対して、ラウラも占術は大好きらしく、笑顔でふたりの話を聞いている。
ジゼルとナディアは、意外?にもアールヴのミンミの下へ。
普段、冒険者ギルドマスターとして、官舎暮らしのミンミとコミュニケーションを取ろうとしているようだ。
だが、ふたりの興味は全く違っている。
相変わらず強者へ憧れるジゼルは、ミンミの武技と魔法について。
来年魔法大学に入学する考古学者志望のミンミは、神代から歴史を重ねるアールヴ族の英知について。
親友同士、連携して、聞き出していた。
そしてもうひとつ。
モーラルはアリスとじっくり話し込んでいた。
ソフィア、テオドラ、ウッラ、パウラ、エレナ、リゼッタ、更にアルフレッドの名が会話に出て来るから……
どうやら、使用人の差配の件等々でいろいろ相談しているようである。
そんなこんなで、また結構な時間が経った。
ルウが魔導時計を見れば、すでに午後11時をたっぷり回っている。
下手をすれば日付けが変わってしまう。
「よし、みんなタイムアップだ。そろそろ寝ようか」
穏やかなルウの呼びかけに対し、
「「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」」
会話に盛り上がっていた妻達は全員、素直に笑顔で応えたのである。
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