第1,294話 「リーリャの里帰り&ロドニア小旅行②」
リーリャが里帰りする為……
ルウの転移魔法が行使され、ヴァレンタイン王国王都セントヘレナのブランデル邸から、遥か離れたロドニア王国王都ロフスキの王宮まで、一気に跳んだ。
さすがルウ。
転移魔法の制御は完璧であった。
寸分たがわず、指定された王宮の部屋に到着したのである。
懐かしい魔力を感じる。
隣室に家族の気配がするのだ。
リーリャはゆっくり扉を開けた。
扉を開けた向こう側には……
懐かしい家族の優しい笑顔が揃っていた。
思わずリーリャは叫ぶ。
心の底から……
久々に身内と再会した歓びと愛を込めて。
「お父様! お母様! お兄様! お姉様方っ!」
対して、父ボリス、母ラダ、兄ロディオン、姉ふたりアンジェラ、イザベラも……
久々にリーリャの無事な姿を見て、熱く応える。
「「「「「リーリャ!!」」」」」
ヴァレンタイン王国王都セントヘレナで発生した未曽有の災厄、大破壊……
大破壊が発生して間を置かず、連絡はすぐ行われたのである。
ルウと家族、そして悪魔従士達による邪竜大群の完全な撃破……
つまり災厄の撃退とリーリャの無事は、ロドニア王家へすぐに知らされていたのだ。
リーリャの使い魔、カーバンクルのクッカが送り届けた彼女直筆の手紙により、翌日午前にはボリス達王家へ。
ちなみに、ヴァレンタイン王国の正式外交ルートからも、2日後の夕方には魔法鳩便で伝えられた。
手紙を見て……
愛娘リーリャを含めたブランデルの家族が全員無事だと知り、ボリス達は大いに安堵した。
しかし、やはり違う。
否!
全く安心感が違うのだ。
書面だけと、実際に会ってリーリャの顔を見るのとでは大幅に。
「お父様ぁぁ!!」
リーリャは思い切りダッシュし、父の胸に飛び込んだ。
「お父様! お父様! お父様! お父様ぁぁ!!」
父ボリスに甘えるリーリャを……
その場に居る全員が、温かく見守っていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
事前に連絡してあったので、ボリス達はルウ達を歓迎する手配を万全に整えていた。
ルウ達は指定された席に座った。
通常は使用人が給仕をするが……
秘密保持と完全なプライベートの為、家族以外は皆無である。
まずはボリスが挨拶をする。
「リーリャ、よくぞ無事で帰って来た。元気そうで何よりだ。そして我が婿ルウとその妻達よ。リーリャを守り、良くぞ未曽有の大災厄を退けてくれた。改めて礼を言おう」
対してルウは、
「いえ、降りかかる火の粉を払ったまで。それよりヴァレンタイン王国への多大なるご支援を頂きまして、ありがとうございます。俺は公式な使者ではありませんが、この場で御礼を申し上げさせて頂きます。いずれヴァレンタイン王国からは正式な御礼が伝えられるでしょう」
「ふむ、しかと言上を聞いた。では、以降を家族同士、ざっくばらんな懇親会としよう」
ボリスの言葉で『儀式』は、終わった。
続いて、ルウから家族の紹介である。
第一夫人のフラン、そして『妻』としてリーリャが儀礼上まず紹介され……
ジゼル、ナディア、オレリー、ジョゼフィーヌ、モーラル、アリス、ラウラ、アドリーヌ。
そして、アールヴのミンミまで全員が名を呼ばれて起立し、一礼した。
前回は訪問した際は、妻でなかったラウラ、前回不参加で圧倒的な存在感を放つ、アールヴの魔法剣士ミンミが特に注目される。
ボリスからも改めて家族が紹介される。
妻にしてリーリャ達の母ラダ。
正式に皇太子となった兄ロディオン。
そしてリーリャのふたりの姉アンジェラとイザベラ。
給仕担当の使用人なしという事で、食事形式はルウの発案が採用された。
何と!
ざっくばらんなビュッフェパーティ形式である。
乾杯をした後は、席の移動も自由という無礼講にもなった。
まずは各自が好きな飲み物をマグカップに注ぎ、乾杯。
乾杯の音頭はロディオンである。
セリフは極めてシンプルなものであった。
「ロドニア、ヴァレンタイン、両王国の悠久の平和。そして益々の繁栄を願って……乾杯!」
乾杯が終わると、早速ボリスとロディオンがルウを手招きしていた。
フランが微笑む。
「うふふ、多分、ボリス王は大破壊の武勇伝を聞きたいのでしょう。こちらは適当にやりますから、旦那様はリーリャと一緒に行って来てください」
「分かった!」
「フラン姉、ありがとうございます。お父様とお兄様のところへ行って参ります」
4人の話は長くなるに違いない。
英雄譚がことさら大好きなボリスは、ルウから大破壊の顛末を根掘り葉掘り聞くだろう。
また、以前ロディオンが修業した鋼商会の近況を聞かれる事も必至なのだから……
ルウとリーリャが、ボリス、ロディオンの席へ行くと……
入れ替わりにやって来たのは母娘3人、ラダ、アンジェラ、イザベラである。
「うふふ、こちらは女子同士で、思い切り盛り上がりましょ!」
「ミンミさんは、初めまして……ですよね?」
「炎の飛燕の高名は、ここロドニアまで鳴り響いておりますわ」
ビュッフェで用意されたのは当然ロドニア料理である。
このような時、元ロドニアの王宮魔法使いラウラは気が利く女子。
それにフラン達、ラダ達の『料理の好み』両方を知るのは、彼女しか居ない。
「はい!」と手を挙げ、すかさず料理を取りに行く。
そんなラウラを手伝う意思を見せ、すぐ一緒に動くのはモーラル、オレリー、アリスだ。
そしてジゼル、ナディア、ジョゼフィーヌ、アドリーヌ、そしてミンミはラダ達への対応にあたる。
さすがブランデル家、抜群のチームワークといえよう。
こうして……
ロドニア王宮で開かれた身内だけの懇親会は、和気あいあい。
大いに盛り上がり、夜遅くまで続いたのである。
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