第1,293話 「リーリャの里帰り&ロドニア小旅行①」
とある週末、金曜日の18時。
王都貴族街区にあるブランデル邸の大広間は、ルウと妻達の全員が集合していた。
妻は第一夫人のフランを筆頭に、ジゼル、ナディア、オレリー、ジョゼフィーヌ、モーラル、リーリャ、アリス、ラウラ、アドリーヌ。
そしていつもは、冒険者ギルドマスター業務の為、多忙で不在のアールヴ妻ミンミまでが居る。
実は……
今日から1泊2日の予定で、リーリャの里帰りを兼ねたロドニアへの小旅行が実施されるのだ。
男子1名、女子11名という大人数で目立つのと、諸事情の為、今回は王都ロフスキの市内観光はなし。
ロドニア王宮内において、クローズドなリーリャの家族と懇親のみとなる。
ロドニアの王都ロフスキまでは、普通に行けば、馬車で片道約2週間の旅程である。
だが、当然そんなに時間はかけられない。
ルウが行使する『転移魔法』で瞬時に王宮へ移動するのだ。
見送る使用人達は上機嫌である。
先週末にルウの全額負担で、王都ナンバーワンホテルセントヘレナの豪華スイートルームにおいて1泊の慰安旅行を実施しているからだ。
アルフレッドこと赤帽子だけは、ただひとり、ルウと飲み明かすというスペシャルサービスを選んだが……
元使用人の妖精妻アリスを筆頭に、ソフィア、テオドラの自動人形姉妹、ウッラ、パウラのダンピール姉妹、そして南の国の妖精コンビ、エーコーのエレナとナーイアスのリゼッタは……
たっぷりと羽根を伸ばして来たと、満面の笑みで語っていた。
まもなく……
出発の時間となる。
ルウが全員へ告げる。
「さあ、そろそろ出発するぞ。全員準備は良いか?」
「「「「「OKですっ!!!」」」」」
打てば響けとばかりに戻って来た、妻達の返事に頷いたルウ。
アルフレッドこと赤帽子へ向き直る。
「レッド、留守を頼む。留守の間の警護役はウッラとテオドラだな?」
「はい! ルウ様のおっしゃる通りです」
「うむ、庭には、ケルベロスとオルトロスを『番犬』として置いて行く」
「了解です!」
ついで、ルウは傍らのリーリャへ告げる。
「転移先はこの前の部屋でOKだな?」
この前の部屋とは、ルウとリーリャが結婚の許可を貰いに赴いた際、
リーリャの父ボリスが用意してくれた部屋の事だ。
食事用の大広間に居間、それ以外に寝室が5間ある7間続きの部屋だ。
当然、厨房、風呂とトイレ付きである。
「はい、旦那様。私の使い魔クッカが持ち帰った手紙によりますと、お父様とお母様が、居間も寝室仕様にしてくれています。寝室が都合6間ありますから、全員が一緒に食事と宿泊が可能ですわ」
「よっし。ありがたいな」
「はい!」
「じゃあ、転移魔法を発動する。全員、呼吸法でリラックスしてくれ」
「「「「「す~は~す~は~す~は~す~は~す~は~す~は~す~は~」」」」」
「5,4,3,2,転移!」
妻達の呼吸音の中で、カウントダウンから、ルウの短い言霊が発せられ、瞬間。
全員の姿はあっという間に掻き消えていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ヴァレンタイン王国王都セントヘレナのブランデル邸から、遥か離れたロドニア王国王都ロフスキの王宮までは一瞬だった。
「うふふ、さすが旦那様。ぴったり転移出来たようです。部屋がお父様の指示通り、寝室仕様になっていますから」
リーリャの言った通りである。
ルウ達は、全く趣きが異なるロドニア王国建築の一室に居た。
普段は、居間として使っている部屋だが、ベッドが4つ置かれていた。
そして隣室は大広間。
人間の気配は5つ。
リーリャの両親、国王ボリス・アレフィエフ、妻レダ。
リーリャの兄、皇太子ロディオン。
同じく姉のアンジェラとイザベラ……に違いない。
事前に連絡していたから……
愛するリーリャが、里帰りするのを今か今かと待っていたのだろう。
そして、歓迎の食事会の準備も万全にしているに違いない。
「リーリャの家族に対面するぞ。全員準備は良いな?」
「「「「「はいっ!」」」」」
ここで、またもリーリャの出番だ。
ルウがにっこり笑い、告げる。
「よし、リーリャ、ノックをして、皆さんへ声をかけてくれるかな」
「はいっ!」
とんとんとんとんとん!
「「「「「!!!!!」」」」」
リーリャのノックは癖があるようだ。
隣室の家族達はすぐに気付いたようである。
驚き、息を呑む気配が感じられた。
リーリャは軽く息を吐き、
「お父様! お母様! お兄様! お姉様がた! リーリャです! ただいま帰って参りましたっ!」
元気に、はっきりと言い放っていたのである。
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