第1,292話 「近況報告」
セリア・ビゴー、モニク・アゼマ、そしてメラニー・バラボー。
この3人はヴァレンタイン王立魔法女子学園2年C組の生徒。
ルウの妻となったギャロワ伯爵家令嬢ジョゼフィーヌの『元取り巻き』である。
しかしジョゼフィーヌは、ルウと結ばれてから、生活の拠点をギャロワ邸からブランデル邸へ移し……
同じ妻であり共にブレンデル邸で暮らすオレリー、リーリャと親しくなり、いつも3人で固まるようになった。
生徒会でも一緒であるし、同級のセリア達とはやや疎遠となった。
またブランデル邸には第一夫人で2年C組担任教師のフラン、同じく教師のアドリーヌ、そして先輩のジゼル、ナディアも居るから、やむを得ない部分もある。
またセリア達は、上級貴族の令嬢であるジョゼフィーヌには大いに気を遣っていた。
それゆえ、ようやく解放されたという感もあり、のびのびしていたのである。
そのセリア達はとある土曜日の午後……
3人は、今や王都でナンバーワン菓子店の呼び声高い『金糸雀のカフェでお茶を楽しんでいた。
当然焼き菓子とのセットである。
当然、全員は満面の笑みとなっている。
メラニーが嬉しそうにに舌鼓を打つ。
「やっぱり、美味しいわね!」
お約束という事で、モニクとメラニーも続く。
「本当に!」
「最高!」
土曜日なので、いつも込み合うカフェは更にお客でいっぱいだった。
3人の会話はプライベート的なものなので、他の客に聞こえないよう、さらに声を潜めて行く。
モニクが問う。
「セリア、最近調子はどう?」
「うん! まずまず……かな」
「うふふ、確か貴女、魔道具を造りたいって言ってたわね」
「ええ、自分で作ったお洋服や小物に回復治癒系の魔法を付呪したいのよ」
付呪とは、付呪魔法の事である。
補足すれば、魔法効果を物体に宿らせる魔法なのだ。
たとえば炎の剣があるとする。
これは通常の剣に火の魔法が付呪されている事が多いといえよう。
そもそも魔道具とは、文字通り魔法効果のある道具の事。
最初から魔法効果のある道具は神器以外、殆ど無い。
大抵の魔道具は術者が付呪魔法をかけてあるのだ。
「セリアは昔からお裁縫が凄く得意だったから……ルウ先生に紹介して貰って、有名な洋品店へ弟子入りしたのよね?」
「ええ、モニクの言う通りよ。ルウ先生とキングスレー商会へ行って、商会の職人さんから、彼女の師匠マルエル・コクトォさんをご紹介して頂いたわ」
ここで反応したのがメラニーである。
「あ、私、そのお店知ってる。マルエルさんって、結構、年配の方よね。修業……厳しくない?」
「うん、メラニー、厳しいよ。最近ようやくギリギリで合格点が貰えるようになったかなぁ……」
「ギリギリで? 合格?」
「うん。ず~っとダメ出しの連続だったから。でもね厳しいけど優しいの。だから頑張れる」
「そっか~」
「うん。これからは付呪の修行もあるから、もっともっと頑張るわ」
セリアは晴れやかな表情で、焼き菓子を「ぱくっ」とかじったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
いろいろと自分の話をしたセリアが問う。
「モニクはどう?」
「う~ん。私はまだいろいろ迷ってる」
「迷ってる?」
「うん。でもね。この前、メラニーと一緒に行った孤児院の慰問で、ちょっと良いかなって思った」
「あ、それ私が別件で行けなかった慰問だね。ええっと、良いかなって、どういう事かしら?」
「子供って……可愛いなって」
反応したのは一緒に慰問へ行ったメラニーである。
「うん、すっごく可愛いよね」
「でしょ? 私、専門科目で治癒魔法を習ってるから、創世神教会孤児院の職員になって、子供達を癒してあげたいかなって」
「素敵ね、それ」
「ありがと、メラニー。それで貴女はどうなの? 例の年上彼氏は? この前、孤児院の慰問で一緒だったよね?」
「うふふ、順調……かな?」
「わあ」
「良いなぁ」
セリアとモニクが羨ましそうに言う。
ふたりには『彼氏』が居ない。
ちなみに、メラニーの彼氏は、鋼商会会頭、リベルト・アルディーニである。
「それで、メラニーは? 将来どうしたい?」
「ええっと。私は決めてる」
「え? もう?」
「うん、鋼商会の社員一択。彼と一緒に王都の街の人の役に立ちたいわ」
鋼商会は元愚連隊の『鉄刃団』
しかし現在はカタギとなり、警備の仕事を中心にまじめに仕事をし、多くの人たちから頼りにされている。
メラニーもリベルトと交際する事で、彼と鋼商会の仕事ぶりを知り……
ぜひ『彼氏』と一緒に仕事をしたいと希望しているのだ。
「ねぇ、私たち魔法女子学園を卒業してからも、ず~っと仲良くしようね」
「うん」
「おばあちゃんになってもね」
3人は各自が近況報告をした後、軽くハイタッチ。
友情を確かめ合ったのである。
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