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第1,289話 「占術の復権①」

 と、ある休日。

 フランとアドリーヌはふたり、テオドラが御する馬車に揺られていた。

 気になる行き先は……同じ貴族街区に屋敷を構えるシャルル・グリモール子爵邸である。


 ふたりが訪問する用事はふたつあった。

 教育実習を終えたグリモール子爵のひとり娘、魔法大学4年生にして、魔法女子学園OGフランソワーズに対し、先日、採用の決定が出たのだ。


 用事のひとつは、母アデライドの名代となった、校長代理のフランが採用の決定を告げ、フランソワーズから内諾を取り、雇用契約書にサインして貰う事。


 もうひとつは、占術の不人気を挽回しようと……

 占術を最も得意とするフランソワーズの担当教師への勧誘である。


 魔法女子学園に限らず、最近巷では……

 専門科目で最も勢いがあるのは魔道具研究である。

 理由は簡単、魔道具研究が、人気ナンバーワン職業、魔法鑑定士の資格取得を目指すものだからだ。


 王国公務員、冒険者と商業の両ギルド、大手商会等々、魔法鑑定士は引く手あまたである。

 その波をもろに喰らったわけというではないが、最近占術志望の生徒が激減していた。


 これまで2クラスあった占術のクラスがひとつに統合されてしまう始末。

 副担当を務めていたオルタンス・アシャールも、他の専門科目担当へ異動を命じられたのだ。

 占術を愛するフラン、経済的な理由から仕方なく占術師への夢を諦めたアドリーヌにとっては……

 強力な援軍、天才フランソワーズに加わって貰う事で、なんとか『形勢の逆転』を狙いたいのである。


 やがて馬車はグリモール子爵邸へ到着した。

 テオドラは馬をなだめた上で、御者台から飛び降りる。

 素早く、客室の扉前に駆け寄りた。

 フランとアドリーヌの降車準備が整っている事を確認した上で、扉を開ける。


 事前に連絡しておいたので……

 子爵邸の玄関前には家令ウスターシュを従えたフランソワーズが待っていた。


「先輩方! ようこそいらっしゃいました!」


 先述したので、簡単に触れておこう。

 フランソワーズには、重大な秘密がある。

 彼女は純粋な人間ではない。


 フランソワーズの心に宿っているのは……(いにしえ)の魔法王ルイ・サレオン72柱のひとり、悪魔グレモリーの魂なのである。

 天才フランソワーズは悪魔グレモリーが人間に転生した稀有な存在。

 美しい少女は、仮初かりそめの姿なのだ。

 ちなみに彼女の傍らに控えた家令ウスターシュも、忠実なグレモリーの従者たる悪魔ウヴァルである。


 この王都、セントヘレナでその事実を知る者は、ルウとマルコシアスを含めた数名の悪魔のみ。

 フランとアドリーヌはまったく知らないのだ。

 だが……

 フランソワーズに人間に対する害意はない。

 人間との暮らしを楽しみ、ルウとの友だち以上、恋人未満の関係を楽しんでいた。

 だからこそ、ルウはテオドラだけを護衛兼務で付けたのである。


「ごきげんよう、フランソワーズ」

「元気におすごし?」


 馬車を降りた、フランとアドリーヌは後輩に向け、晴れやかな笑顔を見せた。


「ええ、ごきげんよう。すこやかに過ごしておりますわ」


 フランとアドリーヌへ挨拶を戻した後、フランソワーズは、テオドラへ目を向けた。


「うふふ、貴女、名は?」


 フランソワーズから、名を問われたテオドラ。

 少し間を置き、短く答える。


「……テオドラです」


「うふふ、貴女……私の知る者に体さばきが似ているわ」


「体さばき? …………どういう事でしょう?」


「別に……ただ、貴女の師匠に言っといて。元気そうで何よりとね」


「師匠へ……」


 テオドラの(あるじ)はルウである。

 だが戦闘の師匠は、現冒険者マルガことマルガリータ。

 その正体は、ルウに仕える悪魔従士『天狼』悪魔マルコシアス。


 今でこそ(たもと)を分かったが……かつてマルコシアスは悪魔グレモリーの騎乗獣、すなわち忠実な従士……であった。


 フランソワーズとテオドラが、意味ありげに言葉を交わしているのを見て、


「あら? ウチの使用人に何か?」

「テオドラと知り合いかしら?」


 訝し気な表情のフランとアドリーヌ。


「いえ、初対面ですし、特に何も……」


 フランソワーズは、曖昧に且つあでやかに笑う。

 そして家令ウスターシュこと、悪魔ウヴァルへ、


「ウスターシュ! 御者と馬車をお願い」


「はい、お嬢様」


 ウヴァルが微笑み答えると、フランソワーズは大きく頷いた。

 そして、


「さあ、参りましょう!」


 フランとアドリーヌへ向かい、共に屋敷へ入るよう、促したのである。

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