第1,284話 「夢の発覚㉜」
東導号の新連載です。
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』
平凡な苦学生男子が就職活動に失敗。
騙され、弱みにつけこまれた上、パワハラ商会へ就職。
だが強くなった彼は「ざまあ」して、素敵な職場へ転職。素敵な出会いもあり、幸せになる話です。
一気に㊿話以上読めます。
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手早く着替えた、デデ&レニーこと、枢機卿アンドレ・ブレヴァルと王国軍統括レオナール・カルパンティエは……
ひと目につかないよう、こっそりと、居酒屋英雄亭の裏口から出た。
今の時間は午後5時を少し回ったところ、午後6時よりだいぶ早く帰宅出来るはずだ。
ルウが言う通り、シルバープラチナの髪をなびかせた美しい少女モーラルが御者台に乗るブランデル家の漆黒の大型馬車が待機していた。
ルウが扉を開け、まずレオナールが次にアンドレが乗り込む。
この順番は、自宅に送り届けるのが、アンドレが先の為である。
最後にルウが乗り込み、扉を閉める。
全員が乗り込んだので、ルウが念話でモーラルへ出発の指示を出した。
応えたモーラルが鞭を馬に打たず、音だけ「ぴしり」と鳴らし、馬車は発進した。
念の為、ルウとモーラルは索敵の魔法で周囲を警戒する。
気安い付き合いとなっているが、何といってもヴァレンタイン王国のVIP、万が一の事があってはいけないのだ。
ゆっくりと走る馬車は、貴族街区へ入った。
カーテンを閉めた馬車の内部で、アンドレとレオナールは、ルウの変心魔法を解除して貰い、元の姿へと戻った。
そうこうしているうちに……
アンドレの自宅、ブレヴァル公爵邸の付近である。
屋敷から少し離れた場所に馬車を停め、ルウが降り、扉を開ける。
このままルウが、正門の詰め所まで同行し、護衛にあたるテンプル騎士へアンドレを「引き渡す」のだ。
ちなみにアンドレの息子マティアスの一件で、警護担当のテンプル騎士達はルウを見知っており、咎められる事はない。
ルウと歩きながら、笑顔のアンドレは手を大きく打ち振った。
「ははは、ルウよ、感謝するぞ。ではレニー、またな」
「はい、デデ、また」
本日の大成功により、エレナ、リゼッタを加えたメンバー全員の士気は上がり、近いうちに再公演をしようという話になっている。
「またな」というアンドレの言葉はそういう意味なのだ。
ルウはアンドレを送ると、馬車へ再び乗り込む。
次は、レオナールをカルパンティエ公爵邸へ送るのだ。
再び馬車が走り出すと、レオナールはルウへ呼びかける。
「ルウ」
「はい」
「今日はいろいろ世話になった。本当にありがとう」
「いえ、俺は大した事をしていません。それより帰宅されたら、レティシア母さんとお話しくださいね」
「む? 妻とか?」
「はい、お疲れでしょうが、嫌がったりせず、必ずお話し、してください。そして、その時、何を言われても、けして怒ってはいけませんよ」
「??? ……意味が良く分からんが、お前の言う通りにしよう」
そう言いながら、レオナールは自分でも驚いていた。
頑なになっていた自分の気持ちがほぐれ、素直になった事に、である。
やがて……
馬車はカルパンティエ公爵邸へ到着した。
こちらはブレヴァル邸以上に、ルウは近しい存在である。
護衛の王都騎士達はルウとはたまに訓練もする間柄、全く問題はない。
ルウはレオナールを正門の騎士に「託す」と去って行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
レオナールが帰宅した時刻は午後5時40分過ぎである。
夕食前に戻って来たからなのか、出迎えてくれた妻レティシアはたいそう機嫌が良かった。
カルパンティエ公爵家はいつも午後6時前後に夕食を摂る。
なので、まもなくである。
準備は整っているようだ。
しかし……
「レニー、夕食の前に大事なお話があります。ふたりきりでお話ししたいのです」
ルウから、レティシアと必ず話をするよう念を押されている。
それに回復魔法をかけて貰っていたから、レオナールに疲労感は全くない。
ここは快く「OK」した方が良いだろう。
「ああ、レティ、構わんよ。では俺の書斎へ行こう」
「はい!」
「うふふ」
ふたりはレオナールの書斎へ移動……
扉をしっかり閉め、じっくりと話が出来る状況となった。
笑顔のレティシアが先に口を開く。
「レニー、凄く素敵でしたよ」
「は?」
凄く素敵?
妻は何を言っているのだろう。
レオナールは意味が分からなかった。
だが……すぐに気付いた。
「レティ、もしやあの場に居たのか? ……英雄亭に」
「はい、居ました。目立たないよう、ルウの魔法で男性の冒険者に、英雄亭のお客様に変身し、紛れていました」
……ルウの魔法、か。
という事は、『今回の経緯』も全てルウから聞いて知っているという事だな。
妻に全てを知られ、歌まで聴かれてしまったという事か。
「ははは、少し照れくさいな」
苦笑したレオナールが言葉を戻すと、レティシアはひどく真剣な表情となる。
「レニー、貴方は本当に素敵な男性です。私は貴方の妻である事を誇りに思います」
「レティ……」
「貴方は身体を張って戦い、国を守るだけの人ではないのですから」
「……………」
「レニー、貴方は素晴らしい歌で、人々の心を癒し、明日への活力、希望も与えてくれるわ!」
「お、おいっ! レティ!!」
レオナールが驚くのも無理はなかった。
真っすぐにレオナールを見つめる妻の美しい瞳には、大粒の涙がたまっていたのである。
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