第1,282話 「夢の発覚㉚」
東導号の新連載です。
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』
平凡な苦学生男子が就職活動に失敗。
騙され、弱みにつけこまれた上、パワハラ商会へ就職。
だが強くなった彼は「ざまあ」して、素敵な職場へ転職。素敵な出会いもあり、幸せになる話です。
一気に40話以上読めます。
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デデ&レニー、そしてエレナとリゼッタが熱唱した……
『ヴァレンタインの大地に生まれて』『愛と悲しみの別れ』により……
英雄亭の店内は興奮のるつぼと化している。
初演奏の3曲目は『進め! 円卓の騎士たち』である。
例によって、どこからともなく流れる不思議な伴奏に煽られ、客たちは大興奮。
足で床をダンダン踏み鳴らし、大きな音で拍手した。
この歌はヴァレンタイン王国建国の祖、不世出の英雄バートクリード・ヴァレンタインに付き従い……
共に戦った12名の偉大な騎士達を称え、英雄譚を誇らしく歌ったものである。
ちなみに円卓騎士の総人数は古文書や英雄譚では計12名とされている。
だが『13番目の騎士』が存在している。
バートクリードの親友であった、ルウの師……
アールヴの長たるソウェル、前任のシュルヴェステル・エイルトヴァーラだ。
しかし、アールヴたるシュルヴェステルの名は英雄譚の中にはない。
ヴァレンタイン王国創立直後、異種族である事から、シュルヴェステルはあえて、表舞台から身を引いたからであり、記録にも残さぬようバートクリードへ申し入れをしたのである。
この歌は、男性パートから始まる。
なので、まずはアンドレとレオナールが歌い出す。
歌う曲の順番作戦も大成功。
エレナとリゼッタの歌唱で引き込まれた客たちは、デデ&レニーの実力を思い知っており、大きくどよめいた。
だが、この勇ましい歌にも女性パートがある。
円卓の騎士唯一の女性、オーギュスティーヌ・アルナルディの獅子奮迅の活躍を称える部分である。
既婚のバートクリードに対して、秘めた愛を抱え……
戦鬼のように敵をなぎ倒した女傑オーギュスティーヌは、円卓の騎士の中でも特に人気が高いのだ。
やがて、『進め! 円卓の騎士たち』が終わった。
演奏終了後も、歓声と拍手が終わらない。
そして、当然『お約束のお願い』が叫ばれる。
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
「アンコール!」
この展開も『想定内』である。
用意した対処方法も万全だ。
アンコール曲は、再会を期して、しばしの間、別れる親友へ送る名曲、
『さらば、また会おう、友よ』である。
これは2回目以降のデデ&レニーの演奏時に「またお会いしましょう」という客へのメッセージも込められていた。
『さらば、また会おう、友よ』の演奏が終わり……
アンドレ以下、4名は客席へ大きくお辞儀をし、静かに『バックステージ』へ引き上げて行った。
そして、いつの間にか……
ルウによる不可思議な伴奏も鳴りやんでいたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
デデ&レニー、エレナ、リゼッタのデビュー演奏は、大成功と言って良いだろう。
控室へ入ると……
満面の笑みを浮かべるアンドレ、レオナール、エレナ、リゼッタは拳を軽く合わせた。
いわゆるフィストバンプを行ったのだ。
4名全員が長椅子へ座ると……
ルウがトレイに冷たい果汁の入ったグラスを4つ持ってやって来た。
「皆さん! お疲れ様でっす」
「おお、ルウ、気が利くな」
「うむ、さすがのフォローだ」
「ルウ様、ありがとうございますっ!」
「嬉しいです、感謝致しますっ!」
「焼き菓子もありますから、つまんでください」
ルウの言葉通り、テーブルの上には焼き菓子が皿に盛られている。
「おお、金糸雀の焼菓子か」
「ふむ、女子に人気の菓子店だな」
「レニー、人気、どころじゃないですよ。金糸雀は、お菓子マニアの間では、王都ナンバーワンと言われていますから」
「そうそう、王都どころか、ヴァレンタイン王国いえ、世界でも有数の菓子店なんですよ」
「ははははは、王都ナンバーワンとか、世界でも有数って、それはさすがに大袈裟だろう?」
苦笑したレオナールが、エレナとリゼッタに言葉を戻せば……
アンドレもにっこり笑う。
「レニー」
「はい」
「エレナとリゼッタの話は、けして大袈裟ではない。少し前に、内々でフィリップ殿下がご所望になり、リシャール陛下も召し上がったそうだ」
「へ? デデ、ほ、本当ですか?」
「ああ、へたに王家御用達とかになると、一般客の手に入りにくくなるとの事で、その後も、殿下が内々でお取り寄せされているとの事らしい」
「……………」
「ウチの孫娘ふたりも、毎日のように食べておる。さすがに多く食べる事は許しておらんが、その分、しっかりと運動をするようになったから、まあ良しとしているのだ」
レオナールは知らなかった。
ひと口食べて、美味いとは思ったがそこまでとは思わなかった。
愛息ジェロームが修業していた店が、国王や王弟が愛用する焼き菓子を作っていたとは……
「父上、改めてお召し上がりになってください」
ルウに勧められ、レオナールは焼き菓子を頬張る。
上品な甘さが口の中に広がった。
「美味い!」
「ですか?」
「うむ、確かに美味い」
「ちなみに、殿下が最近お気に入りになったのは、ジェローム兄上が焼いた菓子ですよ」
「な!?」
「陛下もお気に入りとなったそうです」
「……………」
「やっぱり親子ですね」
「何だと?」
「多才……という事ですよ」
「多才?」
「お父上の歌、兄上の菓子、全く同じ、じゃないですか」
「同じ……」
「先ほどの歌で、客席をご覧になりましたか?」
「い、いや、そんな余裕はなかったよ」
「みんな、泣いていましたよ。お父上含めた皆さんの歌で」
「え?」
「素晴らしかったです。次回以降も自信を持って、演奏してください」
いつものとおり、ルウは穏やかな笑顔であったが……
レオナールの顔を見据え、きっぱりと言い放ったのである。
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