第1,280話 「夢の発覚㉘」
東導号の新連載です。
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』
平凡な苦学生男子が就職活動に失敗。
騙され、弱みにつけこまれた上、パワハラ商会へ就職。
だが強くなった彼は「ざまあ」して、素敵な職場へ転職。素敵な出会いもあり、幸せになる話です。
一気に40話以上読めます。
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「ランチタイム入ったばっかで、バタバタしてるけど、厨房行ってダレン爺呼んで来る! 座って待っててね」
一行を控室に案内すると、ニーナはそう言い残し、急いで出て行った。
ニーナに案内された控え室は、従業員の休憩室らしかった。
そこそこ広い部屋に大きなテーブルがひとつ。
木製の丸椅子が5つほど置いてある殺風景な部屋である。
全員が椅子に座り、待っていると、バンダナを被り、厚い布地のエプロン姿。
「むきむき」のたくましい身体つきをした、ひとりの巨漢男がやって来た。
老齢らしいが、そんな事はみじんも感じさせない。
男はいかつい顔付きをほころばせながら言う。
「おう、お疲れさん。俺が英雄亭の主ダレン・バッカスだ。今日は宜しく頼まぁ!」
「ダレンさん、本日は宜しくお願いします」
ルウが元気にあいさつし、アンドレ、レオナール、エレナ、リゼッタの4名も続く。
「宜しく!」
「宜しく!」
「宜しくお願い致します!」
「宜しくお願い致します!」
「何か文句やら野次が飛んで来るやもしれんが、気にせんでやってくれ。ま、ルウが上手くやってくれるだろ」
「はい、任せてください」
「じゃあ、忙しいから俺は戻る。あまり構えんが頑張れよ。何かあったら、スタッフに言ってくれや」
「了解です」
ダレンは手を振りながら去って行った。
アンドレが問う。
「ルウ、我々の名を確認しなかったが、ダレン……殿は、我々の正体を知っているのだな」
「はい、伝えてありますよ。その方がスムーズですから」
「ふうむ、それにしては……まったく遠慮のない物言いだった」
アンドレは苦笑した。
ダレンの気安い『態度』が気になったようだ。
但し、怒ってはいない。
「ええ、ダレンさんはエドモン様の冒険者仲間でしたから」
ルウが答えれば、アンドレ、レオナールともびっくりする。
「何! エドモン大公閣下の!?」
「そ、それは本当か?」
「はい、本当です。俺も話を聞いただけですが、ダレンさんは、エドモン様率いるクランの一員として、ともに世界各地を冒険したそうです」
「成る程」
納得したように頷いたアンドレ。
しかし、レオナールには別の心配が湧き出て来たらしい。
「ルウ」
「はい」
「あの……彼と、我々の守秘義務の順守は徹底されるのか?」
「大丈夫です。ダレンさんには、主筋のエドモン様を含め、誰にも言わないと約束して貰いました。俺を信じてください」
「分かった」
ルウがそこまで言うのなら、これ以上疑ったり追及するのは宜しくない。
レオナールは引き下がった。
改めてルウは全員へ声をかける。
本番前の最後の打合せである。
「さあ、事前の打合せをしますよ。打合せが終わったら、通路からお店を見ておいてください。店内を見るだけでも雰囲気が分かって、だいぶ落ち着きますから」
ルウの言う通りであった。
確認を主体にした簡単な打合せの後、店内を見たメンバーは入れ込み気味の心が鎮まり、穏やかになる事が出来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
なんやかんやで、あっという間に午後2時10分前となった。
英雄亭の片隅には、小さな梯子付きの簡単なステージが設けられている。
そしてステージ背後の壁には、デデ&レニーの大きな文字が躍ったポスターが貼られていた。
デュオ名の下には日付と3回の演奏時間も記載されている。
このポスターはルウが魔法を使い、作成したものである。
店内にも何枚か同じポスターが掲出されていた。
そのせいか、ランチのピークはとっくに過ぎていたが、店内はほぼ満席である。
「さあ、出撃です」
ルウに先導され、アンドレ、レオナール、エレナ、そしてリゼッタがステージに上がった。
メンバーへ目くばせしたルウは声を張り上げる。
「英雄亭でお食事をお愉しみ中の皆様! たいへんお待たせ致しましたっ! スーパーデュオ、デデ&レニー本日デビューです。ゲストにエレナ、リゼッタという美女も加わり、4名で楽しいひと時をご提供致します」
対して、昼間なのに酒が入っている者も多く、メンバーには痛烈な野次が飛ぶ。
「上手く歌えよぉ!」
「歌詞、間違えるなよぉ!」
「姉ちゃん達だけでいい、おっさん要らん!」
「姉ちゃんたち、こっち来て、しゃくしろぉ!」
エレナとリゼッタは慣れたものなのか、全く動じていなかったが、
アンドレとレオナールは少しこたえたようである。
「ううう」
「結構、来るな」
「全員、ダレンさんが言ったように野次はすべて雑音。一切、スルーです。じゃあ行きます、伴奏スタート」
ステージから降りたルウが、ピンと指を鳴らせば、どこからともなく……
楽団らしき複数の楽器が奏でる美しいメロディーが聞こえて来た。
これは異界エデンで聴いているいつもの伴奏であり、先ほどもアジトで流れたものである。
曲目は、間違いなく本日最初に歌う『ヴァレンタインの大地に生まれて』のイントロだ。
アジトのリハーサルで行ったから、全くノープロブレム。
ルウがイントロのタイミングをはかり、手を挙げると……
まずエレナとリゼッタが歌い出し……引っ張られるように、アンドレとレオナールも歌い出したのであった。
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最後に、連載中である
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