第1,278話 「夢の発覚㉖」
東導号の新連載です。
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』
平凡な苦学生男子が就職活動に失敗。
騙され、弱みにつけこまれた上、パワハラ商会へ就職。
だが強くなった彼は「ざまあ」して、素敵な職場へ転職。素敵な出会いもあり、幸せになる話です。
一気に㊵話以上読めます。
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最後にレオナールが擬態し、4名全員の変身が完了した。
自分で姿身を見直しても、互いに改めて確認し合っても……
元の容姿とは全く異なっている。
同じなのは背丈、そして体重だけ。
それらでさえ、微妙に異なっているのだ。
全員がルウの行使した魔法に感嘆した。
気分を良くしたメンバー全員は、ヴァレンタイン王国の旧めかしい民族風の衣裳に着替え、改めて気合を入れ直す。
これからこの屋敷で、開演開始までの時間を使い、リハーサルを行うのだ。
そもそも……
英雄亭においてリハーサルが行えない事には、はっきりとした理由があった。
その理由とはふたつだ。
ひとつは開店前の時間帯がランチと夜の仕込みを一緒に行うという超の付く多忙さである事。
無理に強行すれば、てんてこまいの店主とスタッフたちに迷惑をかけてしまう。
だからNG。
そしてふたつめ。
英雄亭は開店から閉店まで、『通し営業』なのである。
通し営業……
つまり昼のランチ営業と夜の居酒屋営業の間に休憩を取らずに『通し』で営業するのだ。
それゆえ、店内に客が皆無という状況がほぼ0に近い。
「客が食事をする場所で、リハをやるのはいかがなものか」という方針がアンドレ達『デデ&レニー』にはあるのだ。
だったら!
「演奏をするこの日だけ通し営業を中止したら良いのでは」という意見があるやもしれない。
しかし、それもNG。
何故ならば、ランチ時間終了間際に来て、一杯飲みながらの食事を楽しみにやって来る者も結構居るらしいのだ。
そのような客は夜通し働いて、いわゆる夜勤明けで来訪する場合も多いという。
「そんな客の、ささやかな楽しみを奪いたくない」という店主ダレン・バッカスの意向で……「演奏現場でのリハは受けられない」という結果となった。
もしも以前のアンドレやレオナールだったら、立場的な強権を発動し、無理やりでも『リハ』を行っていたかもしれない。
しかし、ルウが創り出した夢の中の亜空間エデンで練習を重ねるにつれ……
ふたりの心からは傲慢さ、頑固さが著しく和らいでいた。
ルウ経由でダレンの言い分を聞き、もっともだと思ったのである。
第一、こちらから無理を言い、ルウに頼み込んで貰い、客が居る演奏場所を提供して貰う立場なのだ。
わがままなど言えない。
という事で、今居るアンドレの借りたこの屋敷でリハを行うのである。
各自が深呼吸とストレッチをした。
準備運動をいう趣きである。
ここでアンドレが問う。
「確認したい、ルウ。外部に音声が漏れないよう魔法はかけたかな?」
「はい、デデ。音声遮断の効果がある強力な魔法を発動しました。バッチリです」
ルウが大きく頷くと、アンドレの表情は晴れやかとなる。
無理もない。
本番前のリハとはいえ、遂にリアルな『現実世界』で歌うのだから。
「うむ、ありがとう。これで近所に気兼ねなく思い切りリハーサルが出来るな」
近所に大きな歌声が聞こえたら、迷惑になるだけではない。
下手をすれば家主へ直接苦情が伝わり騒ぎが大きくなる可能性もある。
何せ、身分を隠しての秘密のミッションなのだ。
余分なトラブルは避けなくてはならない。
ず~っと考え込んでいたレオナールが挙手をした。
アンドレに何か意見を進言したいようである。
「デデ、宜しいですか?」
「おう! 何だ、レニー」
「今回の公演に関して、いろいろ考えていましたが。私からふたつ提案があります」
「うむ、提案がふたつか? ぜひ言ってみてくれ」
「はい! ひとつは、最初に演奏する1曲めは女子パートから始まる曲が宜しいかと」
レオナールの提案のひとつ目とは、エレナとリゼッタに先行して、唄って貰うというもの。
アンドレは満足そうに頷いた。
「ふむ、成る程。英雄亭の客は殆どが男だ。という事は、我々男の声よりもエレナ、リゼッタの美声を聴かせた方が、より注目して貰えるという事か?」
「はい! デデの仰る通りです。まずファーストインプレッションが重要かと」
「うむ、さすが連戦連勝の名将にして王国軍統括。道理だ。その作戦は文句なく採用! エレナとリゼッタもOKかな?」
「はい!」
「OKでっ~す!」
「うむ! だそうだ。レニー、もうひとつは?」
「はい、曲目も悲恋は後にして、まずは明るく希望が持てる、ノリの良い曲を歌ってはいかがかと。その後は……状況を見て、選曲しましょう」
「ふむ、これも納得だ。英雄亭がどのような居酒屋かは知らぬが、酒場では基本明るく酒を飲むのが普通だろう。ここは英雄亭の雰囲気を知るルウにアドバイスして貰おう、どうだルウ?」
「ええ、俺も最初に明るい曲を歌うのは大賛成ですよ。英雄亭は冒険者の客が多い店です。苛酷な依頼に挑む彼等を勇気付ける、明るくノリの良い歌詞と調べに喜ぶ事でしょう」
「だそうだ。という事で、こちらも採用。よし、他にはないか?」
「はい、とりあえずは。後は現場を見てからですね」
「了解だ。ではルウ、いつものように魔法で伴奏を頼む」
「はい、お任せください」
いつものように伴奏を……
実はこれまで亜空間エデンでは、ルウの魔法により伴奏が流れていた。
現実世界でも幻の楽団をバックに歌おうというのだ。
「よし、ルウ。最初の曲はヴァレンタインの大地に生まれて、だ」
「了解!」
ルウは微笑むとピン! と指を鳴らした。
すると、どこからともなく美しい音色が部屋に流れ込んで来た。
間違いなく『ヴァレンタインの大地に生まれて』のイントロだ。
デデことアンドレ、レニーことレオナール。
そして、エレナ、リゼッタ、ふたりのニンフは大きく頷くと、朗々とした声で歌い始めたのである。
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