第1,273話 「夢の発覚㉑」
東導号の新連載です。
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』
平凡な苦学生男子が就職活動に失敗。
騙され、弱みにつけこまれた上、パワハラ商会へ就職。
だが強くなった彼は「ざまあ」して、素敵な職場へ転職。素敵な出会いもあり、幸せになる話です。
一気に10話以上読めます。
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翌朝……
カルパンティエ公爵邸……
レオナール、レティシア夫妻となごやかに朝食を摂ったアンドレ・ブレヴァル枢機卿は、迎えに来た護衛のテンプル騎士10名と共に、笑顔で帰って行った。
身支度を整え、レティシアへ見送られ、レオナールはいつものように王宮へ出仕する。
昨夜、夢の中で練習は上手く行った。
ニンフのエレナ、リゼットが加わり、4名のコーラスとなったが……
元々ふたりのニンフは歌の師匠でもあり、息がぴったりだったのだ。
いつもの通りに執務室へ入ったレオナールは、ひと息つくと、上席の宰相フィリップの執務室へ顔を出し、挨拶する。
「おはようございますっ! 殿下!」
「おお、……うむ、おはよう、レオナール殿。……どうした? 今朝はここ最近より数段元気だぞ。声に張りがあり、表情も明るい」
「そ、そ、そうですか? 殿下には、私が元気に見えますか? 声に張りがあって、表情も?」
そういえば……
アンドレと歌の練習を始めてから、気分が軽くなっている。
歌が基本好きだから、地道な練習も苦にならない。
これは大好きな武道の鍛錬と同じものがある。
楽な方へ逃避しているわけではないが、ジェロームの事を考え、悩むのも減った気がする。
フィリップは「レオナールの雰囲気が良し」と、しっかり保証した上で尋ねて来る。
「ああ、間違いない。おお……もしやご子息ジェローム君の件で何か、進展があったのか?」
「い、いえ……残念ながら、全く。戦況でいえば、はっきり言って膠着状態です」
膠着状態とは……物事が進まず行き詰まっている状態だ。
ペンディング、進展がない、のっぴきならない、堂々巡り、袋小路という表現もあてはまる。
「膠着状態か……うむ」
「情けない話ですが、殿下のお知恵を少しでも早く拝借出来ないかと心待ちにしている状態です」
「ふむう……私のアドバイスを心待ちか……そこまで言われ、期待されるとこちらも心苦しい。実はまだ良案が浮かんでおらんのだ」
「そうなのですか……」
やはりジェロームの件は、名宰相と称えられるフィリップにとっても難問らしい。
フィリップは少し考え込んでいた。
そして、はたと手を叩く。
「………そうだ!」
「な、何か?」
「レオナール殿の話は聞き、言い分も理解した。だがこのような行き違いは、当事者双方から話を聞くのが必要であり、肝要だと思う」
「は? 当事者双方の話を聞く? と、仰いますと」
「ああ、私はジェローム君とも話をしたいと思う」
「ウチのジェロームと? 殿下が?」
「うむ! 君とジェローム君、両方の言い分を聞いた上で、しかるべきアドバイスをする。これが得策であろう」
「で、ですが! ジェロームは現在、騎士隊の寮を出て、ルウの屋敷へ身を寄せているらしいのです」
「ほう、成る程。ふふ、そうか。いわば敵の要塞に、ジェローム君は、たてこもっているのか……ならば、中立の立場たるアデライド・ドゥメール伯爵へ言伝を頼もう」
「ド、ドゥメール伯爵へ? 言伝を?」
レオナールがブランデル邸へ乗り込むわけにはいかない。
ルウに頭を下げるのも戦いを放棄し降参するようでしゃくだ。
まずは自分と3人でフィリップを交え、話し合いをするのは確かに得策かもしれない。
とりあえずこの膠着状態を打破する為、打つ手としては妥当であろう。
但し、ルウの妻フランシスカの母であるアデライドが完全に中立の立場を取っているのか?
という問題は大いにある。
自分が頼んだら、多分伝言役を受けてくれるかは微妙だ。
しかし、フィリップからの謁見希望という趣旨なら、アデライドも断れまい。
よし!
ここは、ジェロームと連絡を取り、ルウや彼の妻達、そして婚約者のシモン・カンテと引き離し、こちらと同じ舞台に立たせる事を優先しよう。
そして、フィリップとふたりで改めて、ジェロームを説得する。
これが最善策だ!
レオナールはフィリップの提案を含んだ上、素早く戦況を分析し、計算した。
答えはすぐに出た。
「分かりました、殿下! ドゥメール伯爵へ伝言をお願い致しましょう」
「うむ、すぐに手配しよう」
「ありがとうございますっ!」
「それと、念の為に言っておこう」
「な、何でしょう?」
「伝言が通って、ジェローム君が王宮へ来る。私に会いに」
「は、当然そうですが……何か?」
「私に会う。この意味は分かるな?」
「は? わ、分かりますが……」
何故か、フィリップは念を押し、悪戯っぽく笑っていた。
「レオナール殿、名将たる君も、息子の事となると冷静ではいられなくなるようだ」
「ど、どういう意味でしょうか?」
「ジェローム君は、私とだけ会う。つまり私とサシで話すという意味だ」
「ええええええっ? そ、それはっ!」
「当たり前だ。当事者の君が居れば、余計なバイアスがかかり、ジェローム君は本音で話してはくれまい。これは了解して貰うぞ」
「わ、分かりました……」
フィリップとふたりで圧力をかけ、ジェロームを説得し、カルパンティエ公爵家の跡目を継がせる。
そんなレオナールの計算はもろくも崩れ去ったのである。
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