第1,269話 「夢の発覚⑰」
東導 号 書籍化作品
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帰宅したレオナールは、妻レティシアとのやりとりで、一気に気分が落ち込んでしまった。
レティシアが、勝手に枢機卿アンドレ・ブレヴァルの宿泊をOKしたからである。
しかし、レオナールはすぐに気持ちを切り替えた。
けして妻が悪いわけではない。
アンドレの宿泊を許可したのは、きっと自分でも行ったであろう、間違いのない対応だった。
冷静になると、レオナールはそう思い直したのだ。
もしも自分が妻の立場だったら……
アンドレを手厚く歓待するのは勿論、泊まりたいと望まれたら、あっさりOKしていたに違いないから。
ブレヴァル公爵家はヴァレンタイン王国において最古参たる貴族家のひとつだ。
カルパンティエ家と同じく旧き家系で、建国の開祖、英雄バートクリード・ヴァレンタインに忠実に付き従った円卓騎士シモン・ブレヴァルの子孫なのだ。
いくら事前連絡なく、いきなり訪れたとしても……
夫と親しく付き合い、愛称で呼び合う仲の相手を追い返す事など、
どうして出来ようか……という事となる。
つらつら考えるレオナールへレティシアが問う。
「レニー」
レオナールがそっと見れば、妻の機嫌は完全に直っていた。
悪戯っぽく笑っている。
「レティ、何だい?」
何が可笑しいのか?とまでは、さすがに聞けない……
笑顔の理由はすぐ分かる。
妻は自分に事後報告した上で、了解を求めているのだ。
「うふふ、宜しいですわね、枢機卿様のご宿泊」
「あ、ああ……無論OKだ、問題ないよ」
「うふふ、レニー。枢機卿様、デデ様から私、伝言を預かっていますのよ」
「伝言?」
「今は我が家で一番の客間にお通ししていますけど、レニーひとりで来て欲しいって。ふたりでじっくりと話したいって」
「俺とふたりで? 枢機卿様が?」
「ええ。仰っていた大切な用事に、関係があるんじゃないかしら」
「ううむ」
「お話が済んだら、枢機卿様と3人で仲良くお食事しましょ。私、凄く楽しみよ」
「わ、分かった!」
「うふふ、じゃあ使用人達と夕飯の準備をしておくわ」
という事で……
レオナールはカルパンティエ家において、一番上客を案内する客間へ赴いた。
使用人達は当然同行せず、ひとりきりである。
しばし躊躇する。
が、意を決してノックした。
こんこんこん!
「はい」
返事があった。
間違いなく重々しいアンドレの声である。
しかし……
「レ、レオナール……レニーです」
とレオナールが返事を戻すと、口調が一変した。
柔らかく温かいものに。
「おお、レニー、デデだ。お疲れ様」
……何なんだ。
戸惑いながら、レオナールは扉を開けたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アンドレは急遽、カルパンティエ邸へ訪問した非礼を全く詫びなかった。
むしろ、「仲間なのだから、気安く接しても当然だ」という態度であった。
常人なら……
いきなり事前連絡もなしに訪問したアンドレの無作法を責めるに違いない。
しかしレオナールも歴戦のつわものである。
怒りや不満をおくびにも出さず、にっこり笑ったレオナールは室内へ入った。
5間続きの客間のリビング、その長椅子にアンドレは座っていた。
レオナールもひと言断って、向かい側の長椅子に座った。
「デデ……お疲れ様です。今日はお会い出来ませんでしたね」
「ああ、そうだな。君も私も多忙だった」
「はい、仰る通りです」
差し障りのない話をいくつかした後、頃合いと見てレオナールが切り出す。
「ところで、デデ。今日お話しされる大切な用事とは?」
「おお、居ても立ってもいられないという気分になってな。思わずレニーの家へ足が向いてしまったよ」
!?
居ても立ってもいられない
とは、どういう事だろうか?
多分、夢で歌う事に関係があると思うが……
軽く息を吐き、レオナールは問う。
「居ても立ってもいられない? デデ、どういう事でしょうか?」
「うむ、レニー! 大事な話だから、君へ直接会って伝えようと思ってな」
「な、何でしょう?」
「ズバリ言おう! 我々デデ&レニーのデビューが決まったのだ」
「ええええええっ!? デ、デビューぅぅぅ!? って!? ま、まさか!!」
ガーン!
と、レオナールの頭がハンマーで殴られたような衝撃を感じた。
大観衆の前で歌うと聞いた時もショックを受けたが……
現実的になるのとは全く違った。
「ははは、そのまさかだ。私達はリアルな世界において、人前で歌うのだ。さすがに驚いたか!」
「ななななな!? お、お、驚きますよっ! 我々はまだ、基礎の発声練習を始めたばかりではないですかっ!」
「うむ。確かにな。私達は駆け出しのデュオに過ぎぬ。まだまだ未熟だ。しかし具体的な目標がなければ、歌うモチベーションが保てんだろう」
「う~ん……」
「それに実戦経験を積んだ方が、練習ばかりより、ずっと良いと思うのだよ」
「確かにデデの仰る通りだとは思いますが……ま、まさか大観衆の前でいきなりとかではないですよねっ!」
「ははははは、さすがにそれはない。そこまで私も大胆不敵ではないよ」
大観衆の前ではない。
ホッと安堵したレオナールではあったが、ではどのようなデビューなのだろう?
「で、では! デデ、ど、どこで! どこで私達はデビューするのですかっ!」
「うむ! 私達が実戦経験を積む為に歌うのは、王都市内の居酒屋だ」
「ビ、居酒屋っっ!?」
「おう! と、ある居酒屋でな。大観衆、とまではいかないが、大勢の客の前で歌うのだ。吟遊詩人のようにな」
「えええっ!? ぎ、ぎ、ぎ、吟遊詩人っ!?」
補足しよう。
吟遊詩人とは、民族伝承などを歌い伝え、諸方を遍歴する詩人や楽師等、芸人の総称である。
かしこまった劇場より街角や、酒場などで歌う事も多かったと伝えられる。
「ああ、そうだ! 日時は1週間ぐらい先の夜。お互い多忙だろうから、スケジュール管理は万全に! 宜しくなっ!」
「えええっ!? い、一週間後ぉぉ!!」
レオナールの脳裏には……
今まで着た事もない出で立ちをして酒場で歌う、自分とアンドレの姿が鮮明に浮かんでいたのである。
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