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第1,268話 「夢の発覚⑯」

東導 号 書籍化作品

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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 その日、公爵レオナール・カルパンティエは、枢機卿アンドレ・ブレヴァルと顔を合わせなかった。


 ルウの使用人たるエレナとリゼッタ、ふたりの謎めいた女子の素晴らしき歌に、あれだけ心を動かされたのだ。

 大の男がふたりとも感動し、目を真っ赤にするくらい泣いてしまった。

 歌声の余韻(よいん)が残っているうちにふたりで大いに語り合おうとか……

 公衆の面前で歌うというだいそれた事についても、いろいろ補足がある、とか…… 


 もしかしたら、アンドレがレオナールの執務室へこっそり訪ねて来るやもしれぬと思ったが、結局姿を見せなかった。

 勿論、レオナールの方からわざわざ出向くつもり……などさらさらない。


 はっきりいって、付き合いの浅いアンドレや趣味レベルの歌などどうでも、良かった。

 それよりもジェロームの跡目問題が最優先。

 カルパンティエ家が直面している家庭内の問題が、ダントツで最重要なのである。


 悩んでいた自分を、一番理解してくれているフィリップが条件付きながら尽力すると約束してくれた。

 なので、アンドレ及び歌の事など、すっかり圏外へ去ってしまったのだ。


 元々、レオナールは多忙である。

 政務に追われ、王都騎士隊、王国軍の訓練にも顔見せし、あっという間に1日が終わった。


 さあて、本日は業務終了。

 残業はなし。

 帰宅するだけだ。


 気分が軽い。

 自分のみならず、上席のフィリップも難題解決を引き受けてくれたのだ。

 作戦立案に行き詰った自分には思い浮かばない『妙案』が出るに違いない。


 こうフィリップは言った。

 与えるアドバイスは自分の意に沿わないかもしれないと。

 

 全然構わない。


 嫡男のジェロームに跡目を継がせる為なら、敢えて妥協もしよう。

 レオナールはそうも考えたのだ。


 この時点で「どんな意見も全く聞く耳なし」と鋼鉄のように頑固だったレオナールの気持ちはだいぶやわらいでいたといえよう。

 全く気付かれていないが、ルウの意図は確実にレオナールへ浸透している。


 さてさて!

 浮き浮きした気分で、レオナールは王宮を出た。

 事前に連絡を入れていたので、帰宅する為のカルパンティエ家専用馬車が待っていた。

 馬車に乗ったら、少し気持ちが落ち着いて来た。

 王国の国益に全く関係がないとはいえないが、跡目問題はやはり私事である。

 いくら信頼しているからといえ上席には、それもやんごとなき王族のフィリップへ丸投げするのは「いかがなものか」とも思う。


 改めて自分でも考えよう。

 知恵を絞ろう。

 レオナールはそう心に決めたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 明るい気分でレオナールが自宅へ帰ると……

 駐機場にカルパンティエ家のモノではない馬車が留められていた。


 どこかで見た事のある馬車であった。


 上機嫌だったレオナールの顔付きが一変した。

 ひどく訝し気となる。


 ……思い出した!

 この馬車はデデ、い、否!

 枢機卿アンドレの、アンドレ・ブレヴァル公爵の専用馬車である。


 周囲に居た騎士達へ理由を聞いたが……

 「奥様がご説明します」と返して来るだけ。

 レティシアが口止めしたらしい。


 一体、どうなってる!

 レオナールは足早となり、自宅へ駆け込んだ。


「ただいま、レティシ、ア……い、いや、レティ!」


 レオナールは、慌てて妻の呼び方を言い直した。

 対して、レティシアは夫より遥かに元気な声で、出迎えてくれた。

 満面の笑みを浮かべて。


「うふふっ、おかえりなさい、レニーっ! 貴方にお客様がいらしているわよっ!」


「客? も、もしやっ! お、お、表の馬車を見たぞっ! ま、ま、まさかっ!」


「うふふっ! どうしたのですか、そんなに慌てて」


「う、うう……慌ててなどおらん!」


「びっくりしたわ。初めて当家へいらっしゃったわよ。枢機卿アンドレ・ブレヴァル様が、わざわざね」


「はあ!? 何だ、いきなり! 何故、あの方がっ!」


「でも枢機卿様は、レニー、貴方とは最近とても親しくしてるって仰ったわ……私、全然存じませんでした」


「う!」


「アンドレ様はレニーに……自分、デデはレニーに凄く大切な用事があるって。何か夜が待てないからって、笑顔で仰っていたわ」


「何ぃ! わ、私に大切な用事ぃ! 夜が待てない!? 何だそりゃ!?」


「ええ、私と同じく、枢機卿様ともレニー、デデと愛称で呼び合うなんて、とても親しくなったのね。でも夜が待てないってどういう意味ですか?」


「ううう、そ、それは……な、何でもないっ!」


 アンドレと親しくなった理由……

 それは、レオナールが妻にけして言えない事情ばかりだ。


 実は、自分は歌が大好きな事。

 寝ている際、見る夢の中で歌を歌っている最中、アンドレと会った事。

 アンドレとふたりでデュオを組み、うら若き女子を交え、歌の練習を行っている事。

 いきなり大勢の公衆の前で歌う事になった事等々……


 そして更に、衝撃の事実が発覚する。


「それと枢機卿様は、今晩お泊りになるそうよ。レニーにもOKを取るって」


「へ? 泊まる!?」 


「はい、はっきりお泊りになると仰いました。同行した護衛のテンプルナイト達も、枢機卿様が命じて、全員お帰しになりましたから」


「な、な、な、何を勝手なぁ!! それと俺にも、とはどういう意味だぁ!!」


「言った通りです。そのままには出来ませんから、まずは私の判断で枢機卿様のご宿泊をOK致しました」


「おいおいおいっ!」


「レニーにも当然、了解を頂きます。ま、今更お帰しするなどありえませんけどね」


「お、お前っ!」


「レニー!」


「お、おうっ!」


「お前ではなく、レティと呼んで下さい。もしも次にお前とか言ったら、即座に離婚します。それと! ブレヴァル家と親しくなるのは私も全く依存はありませんからね!」


 きっぱりと言い切ったレティシアはレオナールを見据え、

 改めてにっこりと笑ったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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