第1,264話 「夢の発覚⑫」
東導 号 書籍化作品
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見渡す限りの緑濃い大草原。
ところどころに、点在する大小の森。
目の前の森の木々には、色鮮やかな果実が実っている。
見上げる空には、雲が全く無く、今にも吸い込まれそうな紺碧の大空。
吹き抜ける風は清々しく、身も心も一気に軽くなる……
まるで楽園が如き、美しい異界に……
ふたりの麗しき女子、南の妖精たるエーコーのエレナ、そしてナーイアスのリゼッタの歌声が朗々と響いていた。
彼女達が唄う歌は……
レオナールが全く関心が皆無な恋の歌である。
それも生まれて初めて聞いた異国情緒たっぷりな、古の英雄と妖精の哀しい愛を歌った恋歌であった。
空と大地へ……
切々と訴えるように響く歌声は、レオナールの心を打った。
熱く切なく、懐かしく……
呆然として、無言で聞いていれば、いつの間にか目の奥が熱くなり、涙が流れ出ていた。
否、流れ出るなどと生易しいモノではなかった。
とめどなく、あふれ流れ出て来たのである。
やがて……
ふたりの女子による恋歌は終わった。
ハッと我に返ったレオナールが慌てて手で涙を拭けば……
傍らで歌を聴いていたアンドレが話しかけて来る。
「どうだ、相棒、心に響いたか? 彼女達は我々の師に相応しいだろう?」
感極まったという表情にレオナールが驚くと同時に……
更に驚愕したのは、アンドレの目が真赤だった事だ。
「す、す、枢機卿様! そ、それより! ど、ど、どうされました!? め、目が真赤ですぞっ!」
「ふっ、愚問だな、相棒よ」
「な! 何ですと? ぐ、愚問!?」
「うむ! 気付かんのか? 君の目も同様に真赤なのだよ」
「はっ……」
言われるまでもなく、レオナールも自覚していた。
自分は先ほど大泣きした。
当然目は真赤なのだろう。
一瞬混乱した。
という事は……
「枢機卿様」
「何だ?」
「よ、よ、良い年をした大人の男ふたりが! わ、若い女子の唄う、こ、恋歌を聴き、ふ、不覚にも! な、泣いた! ……という事でしょうか?」
「ははははは、そう、うろたえ慌てぬでも良い。ここは夢の世界だ。過去の旧い想い出に浸り、つい涙する事もあろう」
アンドレの言う事は尤もだ。
しかし……
「そ、それと、これとは!」
「違わぬ。全く違わないのだよ、相棒」
アンドレはきっぱりと言い切った。
反論の余地を許さぬくらいに。
「す、枢機卿様」
「相棒! 恥ずべき事ではない。むしろ逆……君は人を思い遣り、涙する事が出来る優しい男だ。誇って良いのだよ」
「で、ですが、枢機卿様! 私は武人! 武人たる者非情であれ! 涙や情けは不要! カルパンティエ家は、そう代々、教えられて来ました」
レオナールは必死に反論を試みる。
だが、思い切り笑い飛ばされてしまった。
「ははははは! 武人には涙や情けが不要か……それこそ曲解されて伝えられた偽り、当家の防御魔法と全く同じだ」
「枢機卿様の御家の防御魔法と……同じ」
「うむ、相棒、君は武人である前に人間、人の子なのだから」
「私は……人の子」
こういった説法は得意中の得意。
アンドレの弁悦が冴えわたり、レオナールに付け入る余地はない。
「うむ! 人の子ゆえ、涙を流す、情がある。相手を思い遣り、共感。そして感謝し、労わり、支え合うのが、まずありきだ……私はそう思う」
「枢機卿様……」
たびたびレオナールが呼ぶ教会の役職名……
アンドレは、眉間にしわを寄せる。
「おいおい、その枢機卿様は、このシチュエーションではいい加減にやめてくれ」
「ですが……相棒もいかがなものかと」
ようやく、レオナールの声が届いた。
アンドレは妥協してくれそうだ。
というか……レオナールは完全にアンドレのペースへ、はまっていた。
「ははは、そうか。では仕方がない、愛称で呼び合おう」
「あ、愛称?」
「おう、レオナール殿はレオ……いや、レニーと呼ぼう」
「はあ!? わ、わ、私が? レ、レニー!?」
「うむ、レニー。私の事はデデと呼ぶが良い」
「デデ……ですか?」
「おう、デデとレニーというデュオ名が良い。これで行こう!」
「デデとレニーって……お互いにすぐ本名が分かる愛称ではありませんか?」
「まあな、だが名前など同じ者が五万といる。枢機卿と王国軍統括の重職にある者が、大勢の観衆の前でデュオを組み歌うなど、誰が想像するものか」
アンドレはとんでもない事をしれっと告げた。
レオナールは、さすがに聞き流せない。
「す、す、枢機卿様!」
「何だ、レニー。今、合意しただろう? デデと呼べ!」
「デ、デデ! い、い、今何と! 何と仰いました!? 大勢のとか何か仰いました?」
「おう! 言った! 枢機卿と王国軍統括の地位にある者が、大勢の観衆の前でデュオを組み歌う! そう、はっきり言ったぞ」
「ば、馬鹿なぁ! な、な、な、何をぉ! 仰っているのですかぁぁ!! そ、そんなの!! む、む、無理に決まってるぅ!!」
気が付けば……
とんでもない事態になっている。
レオナールは頭を抱え、大声で叫んでいたのである。
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