第1,261話 「夢の発覚⑨」
東導 号 書籍化作品
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「はっ!?」
ぐっすりと眠っていたレオナールは、いきなり目が覚めた。
目が覚めたら、夢の内容を綺麗に忘れる事が多い、レオナール。
しかし今回は憶えていた。
はっきりと鮮やかに……
起こった不可思議な出来事はやはり夢……
それも、夢だと自覚出来る明晰夢だったのだ。
しかし……
「頼むぞ、相棒! はははははっ!」
真っ青な空の下、緑の大草原に朗々と響き渡るアンドレの高笑いが……
はっきりと耳に残っていた。
レオナールは顔をしかめ、「ぶるぶる」と首を振った。
せっかく、気持ち良くエデンの如き地で歌っていたのに、全てが台無しだと思った。
あれはやはり夢だ。
それもとびきりの悪夢という奴だ。
改めて、レオナールは周囲を見回した。
自分が今居る場所を改めて認識した。
己の書斎に備えつけられた、仮眠をする為の予備寝室である。
一瞬、どうして?
と思ったが、すぐに思い出した。
ジェロームの件で腹を立て、自分の書斎に閉じこもり、そのまま寝てしまった。
妻レティシアとは一緒に眠らなかった。
そして見た夢の記憶が甦って来る。
最初に感じたのは……
馬鹿馬鹿しいという事だった。
いくら自覚出来る明晰夢とはいえ……
あまりにも荒唐無稽、現実にはありえない事だと考える。
俺があの……頑固な爺さんと、デュオを組む?
一緒に歌う!?
ありえん!
絶対にありえん!
レオナールは再び、ぶるぶると首を振った。
まあ、良い。
昨日早く帰宅した分、面倒な事務仕事が溜まりに溜まっている。
王宮に出仕し、今日中に「ちゃっちゃ」と処理しなければならない。
そして宰相フィリップ殿下とも大事な打合せを持たねばなるまい。
ああ、そうだ!
さりげなく、娘婿のルウをカルパンティエ家の『跡取り』へという話を殿下へしてみようか?
レオナールは一旦そう考えたが、顔をしかめ、大きなため息を吐いた。
……いや、駄目だ。
事が事だ。
あの方は、勘も鋭い。
「ジェロームと何かがあったのか?」と、散々、突っ込まれるに決まっている。
そうなると、『全て』を話さねばならなくなるだろう。
ふうう……どうしたものか。
まあ、良い。
とりあえず朝飯だ。
腹が減ると思考も鈍るし、いらいらする。
レオナールは「のろのろ」と起き出し、ガウンを脱ぎ捨て、出仕用の服へ着替えた。
そして扉を開け、階下へ降りて行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
心配する妻の声に対し、生返事したレオナールは王宮へ出仕。
宰相執務室のフィリップを一旦訪ね、挨拶した後……
与えられた王国軍統括の執務室へ入り、溜まりに溜まっていた事務仕事をこなした。
何とか事務仕事を終わらせると、再びフィリップの下へ赴き、王国軍と騎士隊の現状報告、及び改善への提案を行った。
何回か、会話を交わした後、いきなりフィリップが尋ねて来る。
「レオナール殿、どうした? 顔色が悪いが、何かあったのか?」
「い、いえ、特に何もありません」
「そうか、ならば良いが」
「は、はい。ご心配をおかけし、申しわけありません」
そんな会話の後、いくつかのやりとりがあり……
打合せは無事に終わった。
「では、失礼致します」
宰相執務室を辞去したレオナールは、一旦自分の執務室へ戻る事にした。
王宮の長い廊下を歩いていると……
反対側から、誰かが歩いて来る。
もしや!
と思い、立ち止まると……
やはり、アンドレ・ブレヴァル枢機卿である。
遠目からでも分かる。
相変わらず気難しく、厳めしい表情をしていた。
そんな枢機卿に「昨夜夢でお会いしましたよね?」などと聞く事は出来ない。
「いきなり何を言っている?」とか、「君は寝ぼけているのか?」と叱責されかねない。
とりあえず挨拶し、やり過ごすのが賢明だろう。
「枢機卿様」
「……………」
「お疲れ様です」
「ふむ………」
アンドレは短く言葉を返し、僅かに頷いただけであった。
やはりいつもと同じ態度。
頑固でとっつきにくい事、この上ない。
悟られないよう、わずかに苦笑したレオナールの脇をアンドレは通り過ぎて行った。
小さくため息を吐いたレオナールが再び歩き出したその時。
「レオナール殿」
呼び止める声がした。
あれ?
枢機卿が俺を呼び止める?
何だろう?
と思い、レオナールが振り返れば……何と!
アンドレは、こちらを向き満面の笑みを浮かべていた。
「今夜から……改めて宜しく」
え?
今夜から?
改めて宜しく?
「は?」
「ふふふ、昨夜約束しただろう?」
「ま、まさか!」
あ、あれは!?
ゆ、夢ではなかったのか?
「ははははは、どうした? びっくりして。まずは基礎の発声練習から始めよう。我が相棒よ」
「ななななな!?」
「では、またな!」
呆然とするレオナールを置いて……
アンドレは「すたすた」と足取りも軽く、去ってしまったのである。
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