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第1,260話 「夢の発覚⑧」

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 真っ青な空の下、緑の大草原に朗々と響き渡るアンドレの素晴らしい歌声……


 意外にもアンドレが唄ったのは創世神教会の『聖歌』ではなかった。

 少し前に流行はやった一般庶民が唄う叙事詩である。

 

 勇ましい軍歌や英雄譚えいゆうたんが大好きなレオナール。

 ハッキリ言って、聖歌や庶民の歌は好みではない。


 しかし、歌のジャンルは二の次。

 

 言葉の発音、活舌

 そして声量。

 更にリズム感。

 全てが抜きん出ていた。

 

 加えて、単に上手いだけではない。

 アンドレの歌には聴く者の心に深く訴えかける情感もあったのだ。


 聞き惚れたレオナールは思わず手を叩き、大きな声で叫んでいた。


「素晴らしい! 本当に素晴らしいですよ! 枢機卿様!」


「いやいや、下手の横好きだよ、レオナール殿」


 謙遜し、照れたような雰囲気で笑みを浮かべるアンドレ。

 社交界で良くあるおべんちゃらなどではなく、レオナールははっきりと本音で言い放つ。


「そんな! 普段お歌いにならないのが勿体ないですよ」


「そう言って貰えると、とても嬉しい。だが、私も先ほど君の歌を聴いてそう思ったよ」


「え? さっきも申し上げましたが、私の歌など所詮素人。枢機卿様に比べれば天と地です」


 レオナールは恥ずかしかった。

 やはり上には上が居る。

 自分の歌など、児戯に等しいと思う。


 しかしアンドレはひどく真剣な表情をし、首を横へ振った。


「何を言う、レオナール殿。己を卑下するな」


「いえ、正直な気持ちなのです」


「いや! 君が有する才能は勇猛さ、武道、そして戦場、政務の知略だけではないぞ。素晴らしい歌の才能も創世神様から授けられたのだ」


「そんな……枢機卿様からそう仰って頂けると自信になります」


「ふむ、少し話をしないか、座ってくれ」


 アンドレはレオナールへ草原へ座るよう勧めた。

 伝えたい大切な事がある。

 レオナールはそう思ったので、素直に応じた。


「はい」


「先ほどの話の続きだ……私も君も息子が居る。可愛くてしかたがないが……距離を感じる時もある」


「その通りです」


「少し前に息子と腹を割って話した。奴は私の存在をとても重く感じていたようだ」


「マティアス殿が? 枢機卿様の存在をですか? ……分かるような気がします」


 枢機卿アンドレ・ブレヴァルは、傑出した聖職者であると同時に、優れた武人でもある。

 王国において、政務面では最高顧問という位置付けだが、政治家としても有能な才能を見せていた。

 ブレヴァル家始祖シモンの再来とまで言われている。


 そんな英傑を父に持つマティアスの心は、とんでもないプレッシャーが常にのしかかっていたであろう。


 しかしアンドレは苦笑し、言う。


「うむ、だが息子と話してみて良く分かった。奴も私と同じなのだと」


「え? 枢機卿様が、ご子息マティアス殿と同じなのですか?」


「ああ、私はブレヴァル家始祖シモン様を目標に日々、精進して来た。しかし私にはシモン様のように類稀な才能に恵まれなかった」


 アンドレは目を閉じた。

 旧き時代に生きた偉大な祖先を思い浮かべているらしい。

 自分は巷で言われる器ではないと言うのだ。


 レオナールも大いに共感する。


「枢機卿様! わ、私もそうです! 我がカルパンティエ家始祖アルテュール様に追いつき追いつきたいと思い、騎士として毎日必死に修業を積んで来ました。しかし残念ながら私は傑物ではなく、アルテュール様の影さえ踏む事が出来なかった」


「ふむ……そうか。私とレオナール殿は同じだな」


「枢機卿様は私などより遥かに大きな器をお持ちです。だから全然そうは思いませんが、仰って頂けるのは光栄です」


「ふふ謙遜しなくても良い。君は素晴らしい才能に恵まれた男だ……さて、ウチの息子の話に戻そうか。奴はこう言った。私は私なりに自分の持てる才能で人々のお役に立ち、ブレヴァル家に貢献したいと思いますとな」


「私は私なりに……ですか……成る程、分かりますよ」


「うむ……私はな、時が来て後進へ道を譲ったら、好きな学問の研究を始めとして、いろいろな事を楽しみたい。その為に数多なスキルを磨いている。歌もそのひとつだ」


「…………」


 偉大な始祖には及ばないといっても、自分とは違い、アンドレは才能に満ちあふれている。

 そのように人生設計を組むのも、当然かもしれない。

 そう、レオナールは思う。


「レオナール殿」


「はい」


「君は先ほど、私の歌を素晴らしいと言ってくれた」


「仰る通りです」


「まだまだ未熟だが……私はもっと歌を極めたい。自分が楽しみながら、他者をも幸せに出来る。それは素晴らしいと思うからだ」


「そのご意見、私も賛同致します」


「ふむ、だがな……技法を磨く際、励みになる存在、すなわち頼れるライバルが居れば尚更良い、私はそう考えている」


 確かにアンドレの言う通りだ。

 良き強敵ライバルが居れば、励みとなり、己の才能は一層磨かれる。


「そのご意見も、大いに同意です」


「よし、話は決まった」


「え? 話は決まったとは……どのような意味でしょう?」


「ははは、レオナール殿、君と私でデュオを結成するのだ」


「え~~っ!!」


「幸い、ルウが変身の魔法で協力してくれる」


「へ、変身の魔法!? ル、ルウが? 何故!?」


「うむ! 当然、秘密裏に活動するからさ。お互いに公人だからな。 頼むぞ、相棒! はははははっ!」


 先ほどレオナール、アンドレの美しい歌声が響いた緑の草原に……

 今度はレオナールの絶叫とアンドレの笑い声がそれぞれ大きく響いていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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