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第1,259話 「夢の発覚⑦」

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「す、枢機卿様!!」 


「うむ、レオナール君、こうやって話すのも久しぶりだ」


「あ、貴方は本当に枢機卿様なのか!? で、でも! ど、どうして、枢機卿様がこの場に……私の夢の中にいらっしゃるのだ! お、おかしいではないか?」


「………………」


 レオナールは叫ぶようにこの不可思議な事態の理由を尋ねたが……

 枢機卿アンドレ・ブレヴァルは無言。

 柔らかな笑みを浮かべたまま答えなかった。


 ???

 全く意味不明。

 

 枢機卿とはさほど親しくはない。

 むしろ逆。

 

 何かにつけて、うるさい年寄り……だと思い、仕事上必要がない限り、敬遠していた。

 だから夢に出て来た事など当然無い。


 何故、この人が自分の夢に出て来る?

 

 レオナールの頭が混乱する。


 だが……

 徐々に冷静になると、改めて思った。

 

 おかしいとは感じていた。

 明晰夢めいせきむとはいえ、いつも見る夢とは全く違うリアルな夢であったから。


 射す陽の光の温かさも……

 そよぐ風の心地良さも……

 

 また、いつもは曖昧な夢の中の光景が……

 色も質感もはっきりとクリアに見えるのだ。


 レオナールは熱い男だ。

 しかし真逆な部分も持ち合わせている。

 興奮すると却って冷静になる時も多い。

 さすがに愛息ジェロームの反乱?に関しては冷静さを失っていたが……


 もっと頭を冷やせ。

 冷やしてじっくり考えろ。

 自分に会い、話をしたいと望む者がいたはずだ。


 そしてこの不可思議な夢……

 意味不明且つ唐突な枢機卿の登場。


 レオナールが答えを導き出すまで、時間はかからなかった。


「枢機卿様! ルウの! ルウのしわざですなっ!」


 再度問うレオナール。

 対して、アンドレは今度こそ、答えた。

 予想通りの回答を。


「その通りだ、レオナール殿!」


「うぬぬ……という事はっ!」


「………………」


「枢機卿様はっ! ウチの息子の件を! 執り成しをルウから依頼されたのかっ!」


 レオナールの問いに対し、アンドレは、はっきりと答えない。

 

「まあ、そういきり立つな。王国軍統括ともあろう者が見苦しいぞ」


「ぬうう……」


 焦れるレオナールを見て、アンドレは苦笑する。


「だが……そなたの気持ちは良く分かる」


「な!? どういう意味ですか!」


「お忘れか、レオナール殿。我がブレヴァル家にもおるではないか……不肖だった息子がな」


 アンドレが言うのは、愛息マティアスの事であろう。

 しかし、レオナールは違和感を覚える。


御家おんけにも……いや! 枢機卿様!」


「ふむ、何かな?」


「だったとはどういう意味でしょう?」


「ふふふ……貴殿の言う通り、過去形という意味だ。息子は立ち直った。完全にな」


「………………」


「まあ、奴はまだまだ未熟者……発展途上。しかし今までと違い、やる気に満ちあふれておる! だからこそ楽しみだ」


 アンドレが言う通り……

 確かに枢機卿の子息マティアス殿は最近変わった。

 大幅に変わった。


 これまではいかにも自信がなさそうな、そして偉大なる父枢機卿に臆するような卑屈さを感じていた。


 それがここ最近は払しょくされたとレオナールは思う。


 父は父、自分は自分。

 マティアスはそんな顔付きになったし、近い言葉を発したとも聞いた。


 だが……

 他人の息子の自慢話など聞いても仕方がない……

 レオナールはそうも思う。


「ふむ、レオナール殿、変わったのは息子だけではないぞ。私もだ」


「枢機卿様……」


 枢機卿が変わった……

 確かにそうだ。

 以前のアンドレと違い、表情が柔和となった。


 レオナールは、アンドレの言葉を待った。


「我がブレヴァル家は得手たる防御魔法のみ学ぶ……偉大なる始祖シモン様の才能が曲解されて伝えられ、我ら子孫は大きな回り道をした」


「………………」


「私は今、この年になっていろいろ学び、新たなスキルを習得したいと思っておる」


「枢機卿様が……新たなスキルを……」


 意外であった。

 六十の手習いということわざがある。

 しかし、アンドレは70歳半ばを遥かに超えている。


「シモン様と同じく……カルパンティエ家の始祖、偉大なる円卓騎士アルテュール・カルパンティエ様の類稀な才能とは、勇猛さや超越な武技だけではないと私は思っている」


「………………」


「人の子の中には……創世神様から授けられ、隠された数多あまたの才能が眠っている。そう思うのだ」


「創世神様から授けられ、隠された数多の才能が人の子の中に……」


「うむ、そうだ。せっかく授けられた数多の才能を開花させぬまま、この世を去るのは、虚しく勿体ない事。そう思わぬか、レオナール殿」


「………………」


 レオナールは言葉を返す事が出来なかった。

 

 さすが枢機卿……

 絶妙な説教である。

 だが……

 告げているのは、正論だと認めざるをえない。


「人の子の一生は、天寿を全うしても約100年と短い」


「………………」


「学び、磨き才能を開花させるのに、年齢は関係ない。私はそう思っておるよ」


「………………」


 言葉少ないレオナールを見て、アンドレは破顔する。


「レオナール殿。先ほど聞いたそなたの歌は、とても素晴らしかった」


「な! わ、私の歌が……とても? 素晴らしいと? わ、私の、歌は! しょ、所詮素人ですよっ!」


「ああ、確かに発展途上かもしれない。しかしまだまだ伸びると私は思う」


「そ、そんな……」


「それと」


「それと?」


「うむ、私の歌はどうかな、レオナール殿」


「え?」


 アンドレは独特な呼吸法を行った。

 そして息を整えると、凛とした素晴らしい声で歌い出したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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