第1,256話 「夢の発覚④」
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愛娘ジゼルが今回の事情を全て話し、懇願した。
それで、すぐルウは動いてくれたのに違いない。
多分、王都騎士隊の寮に居るジェロームの下へ既に行き、いろいろと話したのだろう。
そしてカルパンティエの屋敷にも、来てくれた。
夫レオナールへ会いに来てくれた。
私にも優しく気遣いをしてくれた。
レティシアはとても嬉しくなり、家令が去る前にと、扉越しに声をかける。
「待って! 私も行きます。ルウがわざわざ来てくれたんだもの。ちゃんとお出迎えしなきゃ」
ジゼルは『父親の自分似』だと、しょっちゅう夫は言う。
敢えて反論はしない。
だが違う。
そう確信している。
娘のジゼルが男子の好みにうるさいのは、母親の私譲り。
尊敬出来る事。
強い事。
当然、誠実な事。
私もルウと同じタイプの男子が好きだもの。
そうレティシアは思う。
ルウは娘の命の恩人以上に、ず~っと好ましいと思うから。
レティシアは家令と共に1階へ向かう。
別の使用人に付き添われ、ルウは大広間に控えていた。
迎えに来たレティシアを見て、破顔する。
「レティシア母上、お久しぶりです」
「ルウ、ありがとう! 良く来てくれたわ。もう母上なんて呼ぶのはやめて。出来ればアデライド殿と同じく、母さんでお願い」
少しルウに甘えているかもしれない……
と、レティシアは思う。
自分の声の調子で自覚する。
対して、ルウは知ってか知らずか笑顔で爽やかに言葉を返した。
「了解です。レティシア母さん。まずはご報告。ライアン伯爵と話した上で、ジェローム兄上はウチに、ブランデルの屋敷におります。ジゼルは勿論、シモーヌも一緒ですよ」
レティシアは聡明な女性である。
今のルウの言葉で、彼が対応した全てを理解した。
やはり!
想像していた通りだったと。
ルウはジゼルから話を聞き、夫と大喧嘩した息子をすぐ迎えに行き、自宅へ来るよう説得したのだろう。
そして息子の上司であるライアン伯爵へ断りを入れたのは……
夫と息子の和解に協力するようルウが頼んでくれたのだろう。
そして頭からパティシエの夢を否定され、元気がなくなった息子と、同じくショックを受けた婚約者のシモーヌを引き合わせ、ふたりが支え合うようにしてもくれた。
このようなルウの対応を、ジゼルも承知のはず。
今頃は、ルウを信じて待っているに違いない。
後は……
息子の夢を許すよう、夫を説得するだけ。
でも……
どうやって?
夫はとても頑なになっている。
さすがに、ルウでも難問だろう。
つらつらと考えたレティシアであったが……
ルウがじっと自分を見ているのに気づき、改めて笑顔を見せる。
「あ、ありがとう! わ、私の居間へ、ゆっくりと話しましょう」
「はい」
レティシアは家令へ、自分の居間へ紅茶と菓子を運ぶように命じ、
ルウを誘ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ルウはまず現状を改めて説明した。
ジゼルから今回の話を聞いた事。
ジェロームを王都騎士隊の寮へ迎えに行き……
その際ライアン伯爵に会い、レオナールとジェロームの和解について全面協力の了解を得た事。
ジェロームとシモーヌをブランデルの屋敷へ迎えた事。
その上で、レティシアへ経緯を確認する。
ジゼル、ジェロームの話と相違点がないか、確認する為だ。
結果、ジゼルとレティシアの話は、若干主観の相違はあるにせよ、ほぼ同じ事だと理解した。
「レティシア母さんにお聞きしたいのですが」
「何かしら?」
「レオナール父上は、何か趣味のようなものはおありですか?」
え?
何?
いきなり、ルウったら……
夫に趣味?
結婚以来、いや、知り合ってから、見た事も聞いた事もない。
夫は子供の頃から武道ひと筋。
馬術も大好き。
でもそれはカルパンティエ公爵家の当主たる務め。
強靭な騎士になる為、遠き先祖から受け継いだ素養を磨き、高める為だ。
趣味……ではないだろう。
普段、夫は政務に忙しく、王宮か騎士隊本部に詰めており、屋敷には不在だ。
屋敷に居る夜間、休日でも険しい表情でほぼ書斎にこもっている。
つまり今と同じ状態だ。
何とか収束したとはいえ、大破壊の被害が王都へ及んだ事に大きな責任を感じているようだ。
今回の衝突も、そんなうつうついらいらとした気分が拍車をかけてしまったかも……
大きなため息を吐いたレティシア。
そういえば……
ひとつだけ思い出した。
ルウの質問に対する答えではないが……
「そうだ!」
「どうしました?」
「夫は……歌が好きね」
「歌?」
「ええ、と言っても鼻歌レベル……たまにふんふん言ってるわ。まあ、癖ね。趣味には到底程遠いわ」
「鼻歌……」
「夫が歌ったまともな歌は……結婚したばかりの若い頃、創世教会で一緒に歌った聖歌くらいしか記憶にない」
「成る程……聖歌ですか」
「ええ、その聖歌は結構上手いと思ったわ」
「成る程、レオナールお父上は聖歌が上手い」
「ええ、まともに歌えば他の歌だって上手いかも……武道ひと筋のあの人が……凄く意外だったわ」
「分かりました」
単に了解の返事をしたが……
ルウは何かを考えているようだ。
話が終わった後……
ルウとレティシアは、レオナールの書斎へ赴いた。
だが……
「今はひとりにしてくれ」と言われ、結局ルウはレオナールに会う事が出来なかった。
しかし「うんうん」と頷くルウの表情は意外にも明るい。
「レティシア母さん。レオナール父上とジェローム兄上の双方から話を聞いた上で事態を収束させたい。そうじゃないと不公平になります」
「そ、そうね」
「近いうちにジゼルと共に伺うと、レオナール父上へ伝えてください」
「分かったわ。ルウとジゼルが近々来ると伝えておきます」
「ありがとうございます。それとレオナール父上が自暴自棄にならぬよう、気を付けてください」
「ええ、さすがに自暴自棄はないと思うけど……充分に気を付けるわ」
「じゃあ、母さん、これで失礼します」
「ルウ、わざわざ来てくれて本当にありがとう。ジゼル、ジェローム、そしてシモーヌにも宜しくね」
「了解です。……俺にちょっと考えがありますから、その際は全面協力してください」
「分かったわ……頼りきりで申しわけないけど、宜しくお願いします」
笑顔で辞去するルウに対し、レティシアは、深々と頭を下げていたのである。
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