表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1256/1391

第1,256話 「夢の発覚④」

☆1月18日に、スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」2月号が発売されます!

東導 号 書籍化作品

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版《藤本桜先生作画》最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。


Gファンタジーコミックス

☆最新刊第4巻1/27発売予定! 

※予約受付中です。ぜひご購入を!


第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

何卒宜しくお願い致します。

 愛娘ジゼルが今回の事情を全て話し、懇願した。

 それで、すぐルウは動いてくれたのに違いない。


 多分、王都騎士隊の寮に居るジェロームの下へ既に行き、いろいろと話したのだろう。

 そしてカルパンティエの屋敷にも、来てくれた。

 夫レオナールへ会いに来てくれた。

 私にも優しく気遣いをしてくれた。


 レティシアはとても嬉しくなり、家令が去る前にと、扉越しに声をかける。


「待って! 私も行きます。ルウがわざわざ来てくれたんだもの。ちゃんとお出迎えしなきゃ」


 ジゼルは『父親の自分似』だと、しょっちゅう夫は言う。

 敢えて反論はしない。


 だが違う。

 そう確信している。


 娘のジゼルが男子の好みにうるさいのは、母親の私譲り。

 尊敬出来る事。

 強い事。

 当然、誠実な事。

 私もルウと同じタイプの男子が好きだもの。

 

 そうレティシアは思う。

 ルウは娘の命の恩人以上に、ず~っと好ましいと思うから。


 レティシアは家令と共に1階へ向かう。

 別の使用人に付き添われ、ルウは大広間に控えていた。


 迎えに来たレティシアを見て、破顔する。


「レティシア母上、お久しぶりです」


「ルウ、ありがとう! 良く来てくれたわ。もう母上なんて呼ぶのはやめて。出来ればアデライド殿と同じく、母さんでお願い」


 少しルウに甘えているかもしれない……

 と、レティシアは思う。

 自分の声の調子で自覚する。


 対して、ルウは知ってか知らずか笑顔で爽やかに言葉を返した。


「了解です。レティシア母さん。まずはご報告。ライアン伯爵と話した上で、ジェローム兄上はウチに、ブランデルの屋敷におります。ジゼルは勿論、シモーヌも一緒ですよ」


 レティシアは聡明な女性である。

 今のルウの言葉で、彼が対応した全てを理解した。

 やはり!

 想像していた通りだったと。


 ルウはジゼルから話を聞き、夫と大喧嘩した息子をすぐ迎えに行き、自宅へ来るよう説得したのだろう。


 そして息子の上司であるライアン伯爵へ断りを入れたのは……

 夫と息子の和解に協力するようルウが頼んでくれたのだろう。


 そして頭からパティシエの夢を否定され、元気がなくなった息子と、同じくショックを受けた婚約者のシモーヌを引き合わせ、ふたりが支え合うようにしてもくれた。


 このようなルウの対応を、ジゼルも承知のはず。

 今頃は、ルウを信じて待っているに違いない。


 後は……

 息子の夢を許すよう、夫を説得するだけ。


 でも……

 どうやって?

 夫はとても頑なになっている。

 さすがに、ルウでも難問だろう。


 つらつらと考えたレティシアであったが……

 ルウがじっと自分を見ているのに気づき、改めて笑顔を見せる。


「あ、ありがとう! わ、私の居間へ、ゆっくりと話しましょう」


「はい」


 レティシアは家令へ、自分の居間へ紅茶と菓子を運ぶように命じ、

 ルウをいざなったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ルウはまず現状を改めて説明した。

 

 ジゼルから今回の話を聞いた事。

 ジェロームを王都騎士隊の寮へ迎えに行き……

 その際ライアン伯爵に会い、レオナールとジェロームの和解について全面協力の了解を得た事。

 ジェロームとシモーヌをブランデルの屋敷へ迎えた事。

 

 その上で、レティシアへ経緯を確認する。

 ジゼル、ジェロームの話と相違点がないか、確認する為だ。


 結果、ジゼルとレティシアの話は、若干主観の相違はあるにせよ、ほぼ同じ事だと理解した。


「レティシア母さんにお聞きしたいのですが」


「何かしら?」


「レオナール父上は、何か趣味のようなものはおありですか?」

 

 え?

 何?

 いきなり、ルウったら……


 夫に趣味?

 結婚以来、いや、知り合ってから、見た事も聞いた事もない。


 夫は子供の頃から武道ひと筋。

 馬術も大好き。

 でもそれはカルパンティエ公爵家の当主たる務め。

 強靭な騎士になる為、遠き先祖から受け継いだ素養を磨き、高める為だ。

 趣味……ではないだろう。


 普段、夫は政務に忙しく、王宮か騎士隊本部に詰めており、屋敷には不在だ。

 屋敷に居る夜間、休日でも険しい表情でほぼ書斎にこもっている。

 つまり今と同じ状態だ。


 何とか収束したとはいえ、大破壊の被害が王都へ及んだ事に大きな責任を感じているようだ。

 今回の衝突も、そんなうつうついらいらとした気分が拍車をかけてしまったかも……


 大きなため息を吐いたレティシア。

 そういえば……

 ひとつだけ思い出した。

 ルウの質問に対する答えではないが……


「そうだ!」


「どうしました?」


「夫は……歌が好きね」


「歌?」


「ええ、と言っても鼻歌レベル……たまにふんふん言ってるわ。まあ、癖ね。趣味には到底程遠いわ」


「鼻歌……」


「夫が歌ったまともな歌は……結婚したばかりの若い頃、創世教会で一緒に歌った聖歌くらいしか記憶にない」


「成る程……聖歌ですか」


「ええ、その聖歌は結構上手いと思ったわ」


「成る程、レオナールお父上は聖歌が上手い」


「ええ、まともに歌えば他の歌だって上手いかも……武道ひと筋のあの人が……凄く意外だったわ」


「分かりました」


 単に了解の返事をしたが……

 ルウは何かを考えているようだ。


 話が終わった後……

 ルウとレティシアは、レオナールの書斎へ赴いた。

 だが……

 「今はひとりにしてくれ」と言われ、結局ルウはレオナールに会う事が出来なかった。


 しかし「うんうん」と頷くルウの表情は意外にも明るい。


「レティシア母さん。レオナール父上とジェローム兄上の双方から話を聞いた上で事態を収束させたい。そうじゃないと不公平になります」


「そ、そうね」


「近いうちにジゼルと共に伺うと、レオナール父上へ伝えてください」


「分かったわ。ルウとジゼルが近々来ると伝えておきます」


「ありがとうございます。それとレオナール父上が自暴自棄にならぬよう、気を付けてください」


「ええ、さすがに自暴自棄はないと思うけど……充分に気を付けるわ」 


「じゃあ、母さん、これで失礼します」


「ルウ、わざわざ来てくれて本当にありがとう。ジゼル、ジェローム、そしてシモーヌにも宜しくね」


「了解です。……俺にちょっと考えがありますから、その際は全面協力してください」


「分かったわ……頼りきりで申しわけないけど、宜しくお願いします」


 笑顔で辞去するルウに対し、レティシアは、深々と頭を下げていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版第1巻~7巻

(ホビージャパン様HJノベルス)

大好評発売中!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆第4巻発売決定! 2021年1月27日発売予定! ※予約受付中! 何卒宜しくお願い致します。

第1巻、第3巻重版!

※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》

1月18日発売の月刊Gファンタジー2月号に『最新話』が掲載されます。

一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《完結!》

「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」

「辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」

『迷宮下層へ置き去りにされた底辺冒険者が裏切者へざまあ!銀髪美少女に救われ、成り上がる冒険譚』


も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ