第1,254話 「夢の発覚②」
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大事件が起こった。
ジゼルの兄、ジェロームの夢が発覚したのだ。
ジェロームは密かに将来の夢を描いていた。
王都騎士を引退後、パティシエとなる夢である。
その夢が、お節介な輩の密告が原因で発覚。
猛反対する父レオナールと激突、大げんかとなってしまったのである。
事情を知ったジゼルのショックは相当なようだ。
彼女は普段、けして弱みを見せない。
なのに、辛そうな表情で頭を抱えてしまった。
「旦那様も知っての通り、カルパンティエ公爵家は建国の祖バートクリード様に付き従った円卓騎士の直系。王国でも有数の武家だ。父上は伝統を重んじる。騎士以外の道へ進みたいという兄上のわがままなど聞く耳も持たぬ……」
「……………」
「だが、兄上も簡単には退かぬ。パティシエとなるのは子供の頃から持ち続けた長年の夢だからな。
となれば父上は、兄上をすっぱり勘当するだろう」
カルパンティエ公爵家の嫡男に生まれたジェロームは幼い頃から、剣の腕を磨いて来た。
妹思いの兄であり、ルウと出会ってから精神的にも成長をしている。
現当主のレオナールは勿論、周囲や他家の者達からも素養を認められ、次期当主として確定していた。
そんな彼が、あっさり勘当となるのは最悪のシナリオであろう。
絶対に避けなければならない。
ルウは渋い表情で、首を横へ振った。
「勘当はまずい。何とか双方の歩み寄りをはかるしかない」
「ど、どうやって?」
蒼ざめたジゼルに、ルウはジェロームの騎士への思いを伝える。
「ジゼルには分かっているだろう? ジェローム兄上は、騎士という仕事を嫌っているわけではない。むしろ好きだ。そこを突破口にしよう。ふたりが折り合う着地点を見出すんだ」
「そ、それは確かにそうだ。だが……兄上は、騎士よりもパティシエへの道を歩みたい。意思は曲げないと思う」
「諦めては駄目だ。まずは双方から話を聞く。俺達がどう協力し、対処するかはそれからだ」
「そ、そうだな」
「ジゼル。現在ふたりの状況は?」
「ええっと……兄上は、王都騎士隊を休職扱いにされたらしい。当然父上の命令だ。今は寮暮らしだが、退寮すると言っていた。父上は、カルパンティエの屋敷にこもっている」
「そうか! じゃあ父上には後で話を聞くとして、まずは兄上の落着き先だ。カルパンティエの屋敷には戻れないだろう?」
「ああ、勿論だ。それに今回の騒動で、婚約したシモーヌの実家カンテ子爵家へも密かに一報が行った。婚約は白紙になったそうだ……シモーヌが気の毒でならない」
「そうか! となると、兄上はカンテ子爵家へも身を寄せる事は不可能だな」
「ああ、カンテ子爵家は忠実なウチの寄り子だ。父上には絶対に逆らえない」
「成る程。じゃあ、兄上は?」
「うむ、まずはどこかの宿屋に部屋を借り、長期逗留すると言っていた。賄い付きなら食事の心配がないからな」
「……そうか! なら、いっそ以前のようにウチへ来てもらおう」
「え? このブランデルの屋敷へ?」
「ああ、宿代わりにしばらく滞在して貰おう」
「旦那様……」
「ジゼル。ジェローム兄上は家族だ。部屋も空いているし、食事の心配もない。ウチに居るのなら、お父上も安心だろう」
「おお、名案だ! 私も安心だ! 旦那様、ありがとう!」
「すぐに念話で兄上に連絡を取り、王都騎士隊の寮へ迎えに行く。これがあれば荷物も全部入る。引っ越しも楽勝だ」
ルウは左腕に装着した腕輪をジゼルに見せ、にっこりと笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ルウは、すぐにジェロームと念話で連絡を取った。
いきなりの連絡にジェロームは驚いた。
しかし、ルウがジゼルから「全てを聞いた」と告げれば、苦笑いの声が伝わって来た。
これまで……
ルウはジゼル同様、ジェロームと夢を語らい、先日の男子会も含め、出来うる限りサポートして来た。
ジェロームの本音だって聞いている。
騎士の職務を全うし、カルパンティエ家嫡男としての義務を果たし、
引退した上でパティシエへ転身すると。
その為、後進を育てる事に生き甲斐を感じると張り切っていた。
そんなジェロームの夢を、思いを壊すわけにはいかない。
しかしレオナールの思いもルウには理解出来る。
師シュルヴェステルから、アールヴ族の長ソウェルに指名されたルウであったが……
人間が跡を継ぐ事による混乱を回避する為、固辞し、旅に出た。
選択の余地はなかったとはいえ、師の思いを継ぐ事が出来なかった引け目を感じる事はある。
師とレオナールが重なる部分もあるのだ。
転移魔法を使い、王都騎士隊本部へ到着したルウは、まっすぐ寮へ行かずに、
まずは、レオナール直属の部下、キャルヴィン・ライアン伯爵を訪ねた。
当然ながら、キャルヴィンは『騒動』を知っており、ルウと同じく双方の気持ちが分かると内々で告げて来た。
ルウが上手く着地点を探り、穏便に済ませたいと告げると、大いに同意。
協力を惜しまないと言ってくれた。
キャルヴィンとしばらく話した後、ルウは王都騎士隊の寮、ジェロームの部屋へ向かった。
部屋でジェロームは待っていた。
既にいくつかの荷物は引っ越しの為、梱包されていた。
「おお、ルウ。心配をかけて、すまん!」
「俺への気遣いは無用だ、兄上。それより、今ライアン伯爵に了解を取った。この部屋はそのままにしておいてくれ」
「ど、どういう事だ?」
「当座の生活に必要なものだけ、選んでくれないか。俺の腕輪へ収納する。そして俺の屋敷へ行こう」
「な?」
「案ずるな、兄上。俺が上手くやる。レオナール父上と話をつける」
「ルウ……」
「兄上が騎士をやめる事はない。騎士隊の籍はそのままだ」
「え?」
驚くジェロームに対し、ルウは「任せろ」というように穏やかに微笑んだのである。
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