第1,253話 「夢の発覚①」
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寒さも一段と増し、冬にさしかかったヴァレンタイン王国王都セントヘレナのと、ある日……
血相を変えたジゼルがブランデル邸へ、飛んで帰って来た。
たまたま家族、使用人がほぼ出払っており……
珍しくルウひとりという状態である。
大広間でくつろぐルウの顔を見て、とりあえずはひと安心。
ジゼルは「ほう」と大きく安堵の息を吐いた。
しかし完全に落ち着く事はなく、発した言葉は大きく噛んでいる。
「だ、だ、旦那様! た、大変だぁ!」
「おいおい、どうした、ジゼル。そんなに慌てて」
「あ、兄上が! 兄上が!」
「ジェロームさんが、どうした?」
「ば、ばれたっ! ち、父上に、あ、兄上の夢がっ!」
説明は極端に短かった。
しかし、今のジゼルの話で全てが分かった。
彼女の兄ジェロームの夢とは……
騎士を辞した後、一流のパティシエとなる事である。
幼い頃……
とんでもなく美味い焼き菓子を食べたのが、ジェロームの夢が生まれるきっかけであった。
それ以来、強き騎士よりも、美味い菓子を作りだす職人になりたかった。
少年の頃から、妹のジゼルにだけは夢を打ち明け、密かに腕を磨いて来た。
自宅で、こっそりカルパンティエ家の料理長から手解きを受けたのを皮切りに……
王都騎士隊入隊後も……
休暇の日には王都内の各店で身分を隠し、地道に修業を続けた。
やがて剣技を教えたジゼルの幼馴染みで親友シモーヌ・カンテと、愛を確かめ合い……
将来の夢を共有し、確かな心の絆を結んでいるはずである。
しかしジェロームは、ヴァレンタイン王国軍統括を務める生粋の騎士、
父レオナール・カルパンティエ公爵へ、自分の夢を一切伝えてはいない。
そもそもカルパンティエ公爵家は、ヴァレンタイン王国では何代も続く伝統的な家柄である。
ヴァレンタイン王国を打ち立てた英雄バートクリード・ヴァレンタイン。
彼に付き従った円卓騎士の子孫にあたる武家系の譜代の重臣なのである。
カルパンティエ家、歴代の長男の将来は、騎士の一択。
ジェロームの祖父オリヴィエールも、父レオナールもそうして家督を継ぎ、
旧き家を守って来た。
カルパンティエ家の長男が騎士をやめ、パティシエに!?
大反対されるのは目に見えて明らかである。
ジェロームは騎士を全うするつもりではある。
それに王国守護の責任を放棄するつもりもない。
ルウの助言により才能豊かな後輩を育てる事を目標とし、パティシエとして働ける年齢で余力を持って引退。
引退後にパティシエとなるつもりなのだ。
その為、ジェロームは騎士として鍛錬も積み、将来の当主を継ぐべく学びながら……
才能ある後輩を育て、密かにパティシエとしての修業も続けて来たのである。
それが、父にバレた?
何故、どうしてとジゼルへ聞く前に、じっく話せる場所へ移動した方が良い。
ルウはそう判断した。
「ジゼル、落ち着け」
「旦那様」
「俺の書斎へ行き、ゆっくりと話そう。状況を全て確認し、共有。その上で対策を相談しよう」
「わ、分かった」
大混乱していたジゼルもルウの穏やかな笑顔を見て、ようやく落ち着いて来た。
ルウは手を差し出し、ジゼルはしっかりと握った。
ふたりの姿は、ゆっくりと書斎へ消えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ブランデル邸書斎。
扉を閉め、ルウとジゼルは応接の長椅子へ座った。
「ジゼル、呼吸法だ」
「は、はい」
魔法使いの精神の安定を図るには使い慣れた呼吸法が基本、そして一番効果的というのがルウの持論である。
何度か呼吸法を行い……
ジゼルはようやく落ち着いて来た。
ルウは改めて、状況を尋ねた。
ジゼルによれば……
ジェロームの夢が父レオナールにバレたのはひょんな事からである。
「お節介な父上の取り巻きが、たまたま金糸雀の厨房で働く兄上を見かけた」
「成る程……」
「そいつは、兄上が真面目に勤務しているのを目の当たりにしながら、父上に気に入られたいが為に、面白可笑しく告げた」
「うむ」
「兄上へのやっかみもあったに違いない」
「その言い方だと、だいぶ誇張して伝えたな」
「ああ、金糸雀のスタッフは女性ばかり……兄上は、女子の菓子職人達と乳繰り合っていると伝えたのだ」
「酷いデマだな……」
「ああ、完全にフェイクな話だ。でも怒り心頭の父上は、兄上が休みの日に、こっそりと金糸雀へ出向いた。そして厨房を覗き、兄上が修業している姿を確認した」
「兄上は、乳繰り合うなどせず、真面目に修業していたはずだ」
「うむ、旦那様の言う通りだ。兄上は懸命に働いていた」
「だが、お父上は受け入れられなかったのだな」
「ああ。女子と乳繰り合うという誤解は完全に解けた。しかし父上が騎士以外の道を認めるはずもなく、後日、兄上をカルパンティエ家の屋敷へ呼び出し、大げんかとなってしまったのだ」
「大げんか、か……兄上も譲らなかったのだな」
「うむ、だから大げんかになった……私はどうしたら良いのだ、旦那様……」
ジゼルは大きなため息を吐き、じっとルウを見つめたのである。
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一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
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