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第1,244話 「出逢い、そして別れ」

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「皆さん、おはようございます!」

「おう! みんな、おはよう!」


「「「「「「「「「「おはようございます!!!」」」」」」」」」」


 王都を襲った未曽有の災厄、『大破壊』の傷も徐々に癒えつつある。


 フランとルウが挨拶をし、生徒達から元気な返事が戻って来る。

 朝の魔法女子学園の本校舎内、2年C組の教室ではホームルームが行われていた。

 

 時間が経つにつれ、通常の毎日も戻りつつあった。


 毎週月曜日に行われるホームルームでは、週のおおまかな予定を生徒達へ伝えておく。

 最近はこういった実務を徐々にルウが行うようになっていた。

 来年3年C組となる現クラスを、担任に昇格する予定のルウが引き継ぐ為の助走である。


 大破壊というとんでもないアクシデントはあったが……

 魔法女子学園の人事は変わらなかった。


 シンディ・ライアンの夫キャルヴィンは、楓村の管理官赴任の予定を全く変えなかったからである。


 否!

 却って最後の大仕事、王都騎士隊の隊長として……

 「大破壊から王都を守り抜くという大任を果たし、心置きなく新天地へ向かう事が出来る!」そう周囲へ、キャルヴィンは告げているらしい。


 後任の隊長人事も着々と進み、何人かの候補があげられ、絞られているという。

 この人事に伴い、妻のシンディと息子のジョナサンも楓村へ移住する。


 現在シンディが担任を受け持つのが1年A組。

 来年度からは2年A組となるクラスをフランが受け持つ事となるのだ。


 さてさて!

 この現2年C組は、フランが2年弱受け持ったクラスである。

 赴任当初、心のトラウマを引きずっていたフランは教師の仕事に邁進する事が出来なかった。

 表情の変化に乏しいフランを生徒達は『鉄仮面』とあだ名し、陰で笑っていた。

 成績優秀なOGで、魔法大学をトップで卒業しても、教師の適性がなく、

 母アデライドの力で、教職へ潜り込んだと、揶揄やゆされていたのである。


 しかしルウとの邂逅でフランは変わった。

 ルウに癒され、新たな魔法習得に励み、前向きとなって人生のモチベーションを取り戻した。

 生徒達とも触れ合う事により、心の距離を縮めて行った。


 元気に挨拶するミシェル・エストレ、そしてオルガ・フラヴィニーを見て、懐かしくも思う。

 ルウと初めてデートらしき事をした時、ふたりは旺盛な好奇心を発し、後をつけて来た。

 それがきっかけで、フランは2年C組の生徒達と触れ合えるきっかけを作る事が出来た。

 出逢った時は、ジゼルに『淑女不適格』を説教されていたふたりも……

 3年生が引退した魔法武道部の要として、同輩と後輩を引っ張って行く事となる。


「フラン、補足する事はあるかな?」


 ルウが尋ねて来た声で、フランは『想い』を中断された。

 ハッと気が付けば……

 2年C組のクラス全員が真剣な表情で自分を見つめていた。


 以前のフランなら、ここで大慌てするところである。

 しかし自分でも不思議なくらい慌てない。

 息も乱れない。


 うん!

 私もミシェル、オルガと同じ!

 生徒達同様、成長している!


「大丈夫! ないと思うわ」


 晴れやかな笑顔を返す自分を「褒めてやりたい!」

 フランはそう自分に言い聞かせていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 この日の午後……

 1年A組では特別にホームルームが組まれていた。

 シンディが教壇に立ち、A組の生徒達を見つめている。

 後任のフランも同席していた。


 普段顔を見せないフランが居る?

 何があるのか?

 という訝し気な生徒達。


 来年から、2年C組の生徒達とはお別れ……

 1年A組の生徒達を見ると実感が湧く。

 そう思うと、フランはとても寂しい。


 ここで初めて、シンディ自身の口から、魔法女子学園退職が告げられた。

 楓村へ移住するという事も合わせて告げられた。

 唐突、生徒達にとってまさに寝耳に水であった。


 瞬間!


「ええええええええええええええっ!!」


「どうしてどうしてっ!?」

「シンディ先生! 行かないでぇ!」


 退職するだけではない。

 王都からも離れてしまう。

 楓村は近郊とはいっても、気軽に遊びに行ける場所ではない。


 大破壊の傷は徐々に癒えていても、生徒達の不安は完全に拭えたわけではなかった。

 年齢は少し離れていても、生徒達はシンディを実の姉のように慕っていたのだ。


 騒然となる教室ではあったが、さすが百戦錬磨のシンディである。

 頃合いと見たのか、鋭く声を発する。


「静かに!」


「………………」


 教室は水を打ったようになった。


 ここで「はい!」と手を挙げ、クラスをまとめるのが、

 学級委員長のイネス・バイヤールだ。

 彼女は親友のフルール・アズナブールと共に魔法武道部部員でもある。


「いろいろと理由があるはずです。まずはシンディ先生の話を聞きましょう!」


 そう、魔法女子学園退職の理由を聞きたい。

 A組生徒の総意はイネスの言う通りである。


「ありがとう、イネスさん」


 シンディはにっこり笑うと、楓村移住の経緯を話し始めた。

 新管理官として赴任する夫キャルヴィンと共に、難儀する楓村の村民達を支えて行く事を決めたと力強く述べる。

 『戦う者』として現役に戻ると、笑顔で語ったのである。


 そして、自分の後任はフランであるという事も告げた。


「新生2年A組は、来春からフランシスカ先生が担当します。同じく新生3年C組はルウ先生が担任になるのです」


「宜しく、皆さん。来年から皆さんのクラス担当となるフランシスカ・ドゥメールです。宜しくお願い致します」


 フランが深々と頭を下げた瞬間。


「はい!」


 またもイネスが手を挙げた。

 そして立ち上がると、フラン同様、深々と頭を下げる。


「シンディ先生! ありがとうございます!」


「え? イネスさん」


「素晴らしいです! シンディ先生! 私、先生と出逢えて本当に良かった!」


「……………」


「私は地方管理官の娘です。だから管理官の苦労は良く分かります。先生のような立派な方が志を持って地方を支えてくれる! それがとても嬉しい! だから凄く寂しいけど……我慢します!」


「イネスさん……」


「そしてフランシスカ先生がウチのクラスの担任になる……今私達が感じている寂しさを2年C組の先輩達も感じている。フランシスカ先生も寂しいに決まってます」


ここでイネスは拳を突き上げる。


「人生は出逢い、そして別れです。でも私達1年A組の仲間は……離れ離れになってもシンディ先生と、しっかり心はつながっている。そして卒業しても! 同じ時間を過ごした師と仲間として! 一生忘れる事はない! 心の絆はずっと紡がれて行くのです!」


「うふふ、イネスさん、その通りよ! ありがとう!」


 自分の気持ちを代弁してくれた。

 今迄の指導は間違っていなかった。


 心の底から嬉しそうに笑うシンディを見て……


 出逢って良かった!

 生徒から、否、人生において出逢った全ての相手から、

 自分もそう言われるよう、より一層頑張ろう!


 フランは改めて、強く決意していたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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