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第1,243話 「来年は一緒!」

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 ここはヴァレンタイン王立魔法女子学園、事務局の受け付け窓口……

 土曜日の午後なので、部活動の生徒も退き上げつつあり、キャンパスに人影はまばらである。


 と、ここにひとりの小柄な少女が現れた。

 法衣ローブ姿である。

 魔法女子学園の制服を着用していないので、生徒ではないらしい。

 少女はカウンターの学園職員へ、元気に挨拶をする。


「おっはよ~ございま~す!」


「ええっと、……ああ、貴女は確か……オープンキャンパスの時……」


「は~い! アニエス・ブレヴァルで~す! 母に頼まれて、2年B組の姉ステファニーの荷物を届けに来ましたぁ!」


 ……少女は、枢機卿アンドレ・ブレヴァルの孫娘ステファニーの妹、アニエスであった。

 天真爛漫で可憐な美少女という趣きである。

 彼女の『本質』を良く知る人へ尋ねたら、否定するかもしれないが……


 当然、職員は当たり前の対応をする。


「お疲れ様です。じゃあ、お届け物はここで預かりましょう」


 しかしアニエスは「ぶんぶん」首を横へ振った。


「い~え~。ごめんなさ~い! 母からは、直接姉に渡すよう言われてま~っす」


「で、でも……通常の日は、部外者は寮へは立ち入り禁止……」


「大丈夫で~す。姉に了解を貰っていますし、もし何でしたら祖父から、アデライド理事長へ申し入れして貰いま~す」


 速射砲のように繰り出される物言い。

 超が付く、立て板に水。

 『枢機卿の孫』という肩書きも、職員を脅すのには充分である。


「す、枢機卿様へ!? わ、分かりました!」


 しかし、これで終わりではない。

 更に輪をかけたずうずうしさ、大胆さ。

 それがアニエス・ブレヴァルなのだ。


「あ、すいませ~ん。本校舎地下の学生食堂で待ってるって伝えて貰っていいですかぁ? ステファニーの妹だし、来年入学しますから大目に見てくださいなぁ!」


「は、はあ……」


「何か、問題があれば姉が全て対処しますからぁ」


 ……15分後。

 学生食堂で、姉妹は対峙していた。


「……と、まあ、こんな感じでお姉様へ会いに来たのよ。元気ぃ?」


「もう! 適当にいろいろ話をでっちあげて! それに、まだ貴女は生徒じゃないわ。いくら私の妹とはいえ、部外者よ。単独で校舎へ入る事は禁じられてるのに」


「あはは、固い事言わない、言わない。何かあったらお姉様、対応を宜しくね」


「もう! 貴女は相変わらずね。でもよりによってお祖父様をダシに使うなんて、いけないわ」


「もうもう言って、お姉様ったら牛みたい。きゃは!」


「誰が牛よ! はあ……」


 どっと疲れたステファニーは、大きくため息を吐いた。

 懐かしさ以上に、気疲れが先に来る。


「お姉様! 話を戻しますね! いいええ、私はお祖父様をダシになんか使ってないわ。お姉様の様子を見て来るよう指示したのはお祖父様ご自身なんだもの」


「どうして? 私は元気だって、お祖父様、そしてお父様とお母様連名宛で手紙を出したじゃない」


「うふふ、そんな紙切れ一枚で家族が安心するわけないじゃない。何といっても大破壊の後なのよ」


 そう、大破壊の後も、ステファニーは実家へ帰らなかった。

 祖父と両親から家族全員の無事を知らせる手紙が来た。

 なので、自分の無事を知らせる手紙だけを送った。


 寮は無事であった。

 更に慣れて来た寮生活が凄く楽しい。

 それに、何より妹が居ない!


 最後の理由は口が裂けても言えない。

 ステファニーはポーカーフェイスを心がけた上で、「しれっ」と告げる。


「だって! どうせそっちは、強力な防御魔法をかけた地下室へ避難でしょ?」


「うん、そうよ、お祖父さまが魔法をかけたお屋敷の地下室へ避難したわ。地上のお屋敷はテンプル騎士団が守ってくれたし」


「私も、学園本校舎の地下室へ避難して、全然安全だったわ。アデライド理事長とケルトゥリ教頭が防衛したのよ、頼もしかったぁ!」


「そうみたいね。ルウ先生は出張らず、自宅みたいだったけど……ま、家族が多いから仕方がないわね」


「ええ、ルウ先生の依頼で、代わりに魔道具店の店主さんが加勢してくれたからね」


「バルバさんでしょ?」


「知ってるの?」


「ええ、記憶(メモリア)の店主でしょ? いかにも強そうだものね、あの人」


「ええ、強いと思う。理事長と教頭がえらく褒めてたもの」


「ねえ、お姉様ぁ!」


「何よ! いきなり甘えた声出して!」


「アニエス、ここのケーキ食べたぁい! ごちそーして! あ、勿論、紅茶付きのセットで!」


「な、な、何で、私が貴女へご馳走しなきゃいけないの!」


「あらぁ、ひどぅい! こんなに可愛い妹いじめて楽しい?」


 どこがじゃ!

 どこが可愛い妹じゃ!


 と言い返そうとしたステファニーであったが、思いとどまった。

 そんな事を言えば、100倍で返されるのが確実だからだ。


 魔法女子学園のケーキセットは大銅貨1枚。

 少なくともアニエスがケーキを食べている間は、うるさく言われないで済む。

 安いものだ。


 再び大きくため息を吐いたステファニーは、カウンターへ行き、

 『可愛い妹』の為に、ケーキセットをふたつ頼んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ケーキを完食し、紅茶を飲み干した姉妹は、学生食堂を後にした。

 ア二エスが、姉の部屋を見たいと望んだのである。


 「ずかずか」と部屋へ入ったアニエスはぐるりと室内を見回した。

 大袈裟に肩をすくめる。


「素敵な部屋ね。でも、もう少し片付けた方が良いわよ、お姉様」


「か、片付けてるわ! き、気が付いたら散らかってるのよ!」


 ステファニーは反論したが……

 使用人が居ない寮生活では、部屋がすぐ散らかるのは否定出来ない。


 しかしその後、アニエスから怖ろしいセリフが出た。


「もっと綺麗に使ってくださいね。この部屋、来年はお姉様だけの部屋じゃないですから」


「は? 何それ!」


「決まってるじゃない。私も入学したら寮に住むのよ。また一緒に暮らせるわね」


「えええええ~~!!」


「学園の規則で1年生は相部屋でしょ? 姉が居るのに見知らぬ先輩と住みたくないじゃない」


「ああああああああああっ!!」


「嬉しいでしょ? 来年からは姉妹水入らずで暮らすのよ」


「ノオ~~っ!!」


 頭を抱えて叫ぶ姉を、妹は「ぺろっ」と舌を出し、面白そうに見つめていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

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毎週月曜日更新予定です。

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「辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」

『迷宮下層へ置き去りにされた底辺冒険者が裏切者へざまあ!銀髪美少女に救われ、成り上がる冒険譚』


も何卒宜しくお願い致します。

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