第1,235話 「大破壊⑨」
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巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。
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ルウとモーラル、そして同行を志願、戦う覚悟を決めたフランの3人は……
ブランデル邸の避難用地下室から地上階大広間へ転移した。
幸い、ブランデル邸の大広間は無傷であった。
邪竜が破壊したような形跡はない。
外観が無事なのか気にはなるが、とりあえずフランはホッと安堵して、軽く息を吐いた。
「良かった! 我が家は無事なのね」
「ああ、今のところは大丈夫だ。ケルベロスが身体を張り、ずっと屋敷を守ってくれている」
いつもおとなしく、庭先に鎮座しているケルベロスがたった一頭で奮闘、
邪竜どもを撃退していると聞き、フランは胸が熱くなった。
そう……
いつまでも弱気ではいられない。
皆が頑張っている。
弱音を吐かず、自分もやれる範囲だけで良い。
頑張らねばと思う。
「そうなの! ケルちゃんが、ひとりで頑張ってくれているのね! 早くフォローしなくちゃ! ようし、旦那様、絶対に王都を守り抜こう」
「ああ……」
フランの明るい声に対し、ルウは少し口ごもり、
「フラン、いよいよ外に出るぞ。心の準備はいいか?」
「はい! 大丈夫です! 私の爆炎を思いっきり、邪竜へお見舞いしてあげます!」
しかし!
玄関の扉を開け、周囲を見回したフランの目に、
飛びこんで来たのは衝撃的な光景であった。
……確かにブランデル邸はケルベロスの頑張りで無事である。
だが、隣接するフランの実家ドゥメール伯爵邸は邪竜の攻撃により、半壊していた。
ルウが少し口ごもった理由は『これ』だったのである。
「あ、ああああああ! わ、私の! 私の生まれた家がぁ!!」
フランは、大きく目を見開き叫んだ。
自分が生まれ育った屋敷の無残な有様を見て、
「戦う」と決意し、前向きだった気持ちは、ショックで一気に吹っ飛んでしまった。
「あああ、だ、旦那様ぁ!!!」
動揺するフランをルウは労り、励ます。
「フラン、気をしっかり持て!」
「う、うううう……」
「大丈夫! アデライド母さんは魔法女子学園で防衛にあたっていて無事だ。バルバトスを赴かせ、護衛につけている」
「……………」
「それに波動で分かる。ジーモンさん達使用人もドゥメール邸の地下室へ避難していて怪我ひとつない」
「ううう……」
ルウの励ましを聞いてもフランは言葉が出て来ない。
そんなフランをルウは叱咤激励する。
「フラン、お前は決心したはずだ。もう守られるだけの存在ではないと」
「…………」
「先の大破壊で受けたショックを跳ね返し、弱さを克服、今度は自らが、愛する家族、大事な仲間を守るとな」
「旦那様……」
「前を向け、フラン! 勇気を出すんだ! 辛い逆境を跳ね除け、限界を超えようと懸命に努力する者に道は開けるんだ」
「…………」
「憶えているか? 出会って間もない頃、俺は言った。フランはもっと凄い魔法使いになれる。眠ったままの才能があると」
「は、はい! はっきりと! はっきりと憶えています!」
「フラン、お前は俺や家族とともに切磋琢磨して来た。そして目覚めた。精霊、火蜥蜴を呼び、冥界の魔獣オルトロスまで従えた」
「私が……火蜥蜴、オルトロスを……」
「そうだ、フラン! 今がその真の目覚めの時だ。さあ! 出でよ、高貴なる4界王パイモン!」
「え? パ、パイモン?」
「ああ、火界王パイモンだ。彼がフランを導いてくれる。安心して心身を委ねるんだ」
ルウがそう言った瞬間。
不思議な事にどこからともなく荘厳な演奏が大音量で鳴り響いていた。
これはある上級精霊が現れる前兆、『見えない楽団』の演奏である。
「だ、旦那様! あ、あれはっ!?」
フランが指さした方向には……
一見人間族と思しき男がひとり、宙に浮いていた。
色とりどりの豪奢な、まるで王族が着るような凝った趣きの衣装に、
全身を包んだ美しい優男が浮いており、
柔らかく微笑みながら、こちらをじっと見下ろしていたのだ。
世界の根幹を為す高貴なる4界王のひとり火界王パイモン……
高貴なる4界王とは……
火界王パイモン、空気界王オリエンス、水界王アリトン、地界王アマイモンの4人だ。
彼等彼女達は、世界の根幹を支える4大精霊、火蜥蜴、風の精霊、水の精霊、地の精霊を更に統括する伝説の存在ともいえる上級精霊なのである。
彼にはいくつかの顔がある。
元々は創世神へ仕えていた主天使……
そして精霊、火蜥蜴達を統括する火界王。
西方を治める事から、西界王とも呼ばれる。
しかし、天使長を務めていたルシフェルが創世神へ反旗を翻した時……
天使長の側近中の側近だった彼もルシフェルに従い、共に戦った。
そして、ルシフェルと共に最後まで行動し、天から堕とされたのだ。
『ルウ様、貴方様の召喚により、そしてあの方の命により、火界王パイモン参上致しました』
パイモンは念話でルウに挨拶すると改めてフランに向き直る。
『ルウ様の妻たる人の子フランシスカよ、私は高貴なる4界王のひとり、火界王パイモン! 火の属性を持つ者達を束ねる存在だ』
『高貴なる4界王……火界王パイモン』
『うむ、フランシスカ・ブランデル! 今こそ汝の眠れる力が真に目覚める時』
『私の……眠れる力が真に目覚める』
『うむ! ルウ様の仰る通り、辛い逆境を跳ね除け、限界を超えようと懸命に努力する者に道は開けるのだ』
『努力する者に……道は開ける』
『そうだ! 私は以前、汝の仲間たるニンフへも告げた。たとえ圧倒的な力に蹂躙されようとも、けして意志を曲げず、正しき己を貫き通す事は……まさに真理なのだ』
『圧倒的な力に蹂躙されようとも……けして意志を曲げず、正しき己を貫き通す』
パイモンの言葉を聞いた瞬間!
フランの心の中にあった固く閉ざされていた扉が、大きな音を立て思い切り開いたのである。
『フランシスカよ! 今、私が汝に加護を与えた! 汝に眠りし力を揺り動かし、目覚めさせた』
『え? 私に眠りし力が』
『ああ、汝がルウ様と運命の邂逅をした時の事を思い出すがよい! お前を救った際の言霊をな』
『こ、言霊……は、はいっ!』
フランは自分を助けてくれた際、ルウの詠唱した言霊をけして忘れない。
深夜の森に朗々と響いた聖なる言霊を……
それにいつの間にか……
フランの魔力が驚くほどに漲っている。
『さあ、お前は既に我が眷属を召喚した。改めて言霊を詠唱せよ、フランシスカ!』
『はい!』
フランは呼吸法で集中力をあげると、火蜥蜴召喚の言霊を詠唱する。
不思議な事に……
無理やり記憶を手繰らずとも、自然と言葉が心身に満ち溢れて来る。
まもなく明けようとする王都の空に……
凛としたフランの声が響いた。
「火蜥蜴よ! 大地の血脈にして偉大なる火の精霊よ! 人々に生きる力と恵みを与える神の使いよ! 我が故郷を襲いし邪なる者共を討て! 怒れる炎の力で浄化し、この聖なる大地より奴等を消し去るがよい!」
詠唱が終わった瞬間!
フランは生まれて初めて経験する、不思議な感覚に全身を包まれた。
すると!
フランの遥か頭上に火蜥蜴の形をした巨大な炎の渦が出現し、
雄々しく舞い上がったのである。
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一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《完結!》
「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
◎新作「辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」
も何卒宜しくお願い致します。




