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第1,234話 「大破壊⑧」

☆10月17日土曜日に、

スクウェア・エニックス様の刊行雑誌

月刊「Gファンタジー」11月号が発売されました!

『魔法女子学園の助っ人教師』コミカライズ版最新話が掲載されております。

ぜひ読んでみてください。

巻末目次ページには、東導のコメントもありますので何卒宜しくお願い致します。


東導 号 書籍化作品⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》

第1巻~7巻大好評発売中。


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第1巻~3巻大好評発売中!

※第1巻、第3巻は『重版』


☆書籍小説版、コミカライズ版ともども、書店様、通販サイト様でぜひお取り寄せください。

 ブランデル邸地下室……

 『大破壊』が遂に発生、邪竜の襲来による危険から逃れる為、フラン達は身を潜めていた。

 大地を揺るがすズシン、ズシンという不気味な振動も伝わって来る。


 地上では、襲来した邪竜共が破壊の限りをつくしているに違いない。


 ブランデル家の私達は大丈夫だが……

 実家は無事だろうか?

 両親、兄弟、親族は果たして……

 

 仲の良い級友達は元気にしているだろうか?

 もしや!

 母校、魔法女子学園に大きな被害は出ていないだろうか?

 想い出がいっぱい詰まった教室は?

 緑一面のキャンパスは青々としているだろうか?


 様々な不安が頭の中で飛び交う中……

 フラン達が最も気にしているのは出撃した夫ルウの安否である。

 

 「地下室に避難するように」と指示されてから、全く連絡がない。


 誰もがやきもきしていた時、共に出撃したモーラルが『戦場』から戻って来た。

 

 心配していた妻達は詳しい状況が知りたくて、一斉にモーラルへ駆け寄った。

 赤帽子ことアルフレッド以下、使用人達は妻達の背後に控えている。


 妻達から迫られたモーラルは、現状を淡々と話し始めた。


「旦那様はまだ悪魔従士4名と、都合5名で邪竜どもと戦っておられます」


 驚いたのはフランである。

 『大破壊』『竜』と聞くだけで、身体がガチガチ震え、すくんでしまうのに、

 数百頭の邪竜に対し、ルウはたった数名の寡兵で立ち向かっていたのだ。


「え? モーラルちゃん! たった5名で!?」


「フラン姉、皆、大丈夫です、悪魔従士ひとりが数万の騎士と同等の力を持っています。ルウ様の実力は更に更に上ですから」


「で、では旦那様はご無事なんですね?」


「はい、怪我もされておりません。私にはひと足先にこの屋敷へ戻り、家族を守るよう命じられました」


「よ、よかった!」


「さすが旦那様だ」

「ボク、ほっとした!」

「良かったぁ!」

「旦那様が負けるわけありませんわ!」

「そうです! 私達の旦那様は無敵です!」


 フランの声をきっかけに妻達は安堵し、歓びの声をあげた。

 ジゼル、ナディア、オレリー、ジョゼフィーヌ、リーリャ、ラウラ、アドリーヌ。

 全員の顔がぱっと明るくなった。


 モーラルは更に話を続ける。


「皆様、ご安心を! 旦那様は、討ち漏らした邪竜どもを掃討する為、王都へ戻って来られるはずです。行きと同様、転移魔法を使い瞬時に!」


「え? モーラルちゃん、本当!?」


「はい、旦那様と悪魔従士達、そして及ばずながら私も戦い……約400頭以上居た邪竜は殆ど討たれ、数十頭に減りました。これでも相当な脅威ですが、当初の400頭強から比べれば、だいぶリスクは減ったでしょう」


「…………」


 モーラルの話を聞き、妻達はあまりのスケールの違いに黙ってしまった。

 邪竜が400頭以上!?


 そして……

 ひとりで凶悪な邪竜を何十頭も倒すなど、想像も出来ない。

 妻達の中で、唯一戦いに参加したのは、『師範代』たるモーラルのみ……

 自分達が異界で行っている魔法や武道の訓練などは、まるで児戯のように思えて来たのだ。


 そんな妻達の気持ちを読んだのか、モーラルが再び口を開く。


「皆様、落ち込む事はありません。ルウ様が規格外過ぎるのです。私もずっとお傍に居て、自分の才能の無さに何度悩み落ち込んだか分かりませんよ」


「え? モーラルちゃんさえ!?」


 妻達の中で、最も驚いたのは、フランである。

 

 常に沈着冷静、完璧ともいえる自信に満ち溢れたモーラルが?

 自分のように悩み葛藤していた?

 フランにとって思ってもみなかった本音の吐露である。


「フラン姉、そして皆、ルウ様はルウ様、私達は私達です……」


 モーラルは真剣な表情を一変させ、にっこりと笑った。


「競争心や向上心を忘れてはいけません。ですが、焦らず、慌てず、妬まず……常に穏やかで堂々としましょう……私達は与えられた才能を開花させ、自身の限界を超える事を目標に日々切磋琢磨琢磨すれば良いのです」


 モーラルの言葉を聞き……

 フランは今迄心に重くのしかかっていた黒雲が、

 一気に晴れて行くのを感じていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 モーラルの言う通り、まもなくルウは戻って来た。

 

 妻達が一斉に駆け寄った。

 使用人達も笑顔である。

 全員が改めて安堵した。

 

 ルウは怪我ひとつ負ってはいない。

 卓越した能力は勿論だが、装着した真竜王の鎧もだいぶ役に立っている。

 そう、フランは思う。

 

「旦那様!」

「無事で良かった」

「モーラルから聞いていたけど、ボク、改めて安心したよ」


 しかしいつまでも束の間の幸せを喜んではいられなかった。

 

 王都へ入り込んだ邪竜の残党を完全に殲滅しなければならない。


「よし、じゃあ行って来る。絶対に地下室から出るんじゃないぞ」


「「「「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」」」


「屋敷の外ではケルベロスが、地下では赤帽子、ウッラ、パウラ、テオドラがお前達を護る。まずは身の安全を優先するんだ」


「ま、待ってください」


 ルウとモーラルが出撃しようとすると「待った」がかかった。

 

 声をかけたのはフランである。

 彼女の表情はいつもの柔らかさと違い、怖ろしいくらいに真剣だった。


「お願いします! 私も一緒に連れて行ってください。サラマンダーを召喚します! 魔力が足りれば、オルトロスも!」


「フラン……」


「旦那様、お願いです。もう克服したと思っていたのに、まだ私の心には弱さが残っています。邪竜に一撃を加えれば、自分の弱さが克服出来るような気がするのです」


 思いがけないフランの申し出に地下室は静まり返った。

 

 誰もがフランの抱えたトラウマを知っている。

 そのトラウマを失くす為に、敢えて危険に身を投げ出そうとフランは決意したのだ。


「私は完全に変わりたい! いえ、絶対に変わります! 自分の為に、そして家族の為にも!」

 

 フランは力強く言い放つと更に叫ぶ。


「私はもう……10年前のあの日、地下室で膝を抱え震えていたフランシスカではないのです!」


「旦那様、お願いだ。どうかフラン姉を連れて行ってやって欲しい。」


 ここでフランを擁護したのはジゼルである。

 フランの切なる『決意』を聞き、意気に感じたらしい。


「分かった! フラン、行こう」


 ルウの承諾を聞き、フランは力強く頷いたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


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WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


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毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


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「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」

◎新作「辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」

も何卒宜しくお願い致します。

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