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第1,230話 「大破壊④」

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 ヴァレンタイン王国宰相フィリップ・ヴァレンタインは少し落ち着かない様子で執務室の応接用椅子に座っていた。

 

 「大至急!」という緊急要請が、

 姉様と呼ぶくらい個人的にも親しいアデライド・ドゥメール伯爵からあり。

 極めて多忙な中、何とかスケジュールを調整し、ルウと再び謁見するからである。


 これまでにルウとは何回か会ってはいる。

 ルウが転移魔法で、こっそり会いに来てくれた事もあった。


 はっきり言って、フィリップの持つルウの印象は『至極変わった男』である。

 これほどまでに、とてつもない巨大な人脈を作り、勇者に匹敵する功績をあげながら、

 地位は魔法女子学園の臨時教師のまま……

 

 またルウは恩賞や栄誉も求めていない……

 出世欲がある常人なら、全く信じられないと言うに違いない。

 

 王族で公人たるフィリップにプライベートで会う友は殆ど居ない。

 だがルウは、今やその貴重な友のひとりだ。


 しかし今回、アデライドが正式な手続きを経て要請した事もあり、

 正式な謁見という形になっている。


 その証拠に、対面の椅子には王国軍と騎士隊を統括するレオナール・カルパンティエ公爵が座っており、フィリップとは対照的に余裕しゃくしゃくという雰囲気であった。


 最近、王都も含め、ヴァレンタイン王国は平和である。

 隣国ロドニアとも友好関係は上手く行っている。 

 それなのに自分単独ではなく、軍務統括のレオナールまで同席させるとは何用だろう? 


 つらつら考えていたフィリップであったが……

 警護の騎士の声で現実に引き戻される。


「殿下! ドゥメール伯爵他1名、計2名がお見えになっております」


 気が付いたら、丁度約束の時間である。

 訪れたのは、ルウを連れたアデライドに違いない。


「ようし、すぐ通してくれ」


 ルウが今日急ぎ謁見を申し入れて来た理由は?


 フィリップは不安と期待を胸にし、

 少し緊張しながら、アデライドとルウが入って来るのを待ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「フィリップ様、そしてレオナール様、ご機嫌麗しゅう! おふたりともお久しぶりでございます。ルウ・ブランデルです」


 アデライドがまず挨拶をすると、連れられ執務室へ入って来たルウも、

 ひざまずき、はきはきと挨拶をした。


 フィリップはアデライドに挨拶をした後、改めてルウに目を向ける。

 しばしの雑談があった後、話はすぐ本題へ入った。


 それは衝撃的なものであった。


「フィリップ様、母アデライドとは既に話しましたが……近々、この王都に大破壊が起こる可能性があります」


「「大破壊!?」」


 さすがにフィリップとレオナールの声が著しく高くなった。


「ルウ、大破壊が本当に起こるのか?」


 切迫した声でフィリップが尋ねても、ルウの表情は変わらなかった。

 淡々としていて感情に起伏がない。


「いえ可能性なので……絶対に起こるとはいえません」


 ヴァレンタイン、ロドニア両王国の恩人で、桁違いの魔法使い。

 敢えて口には出さない。

 だが、フィリップはルウを伝説の勇者に匹敵する器だと確信していた。

 それは傍らのレオナールも同様であり、

 義理の息子だから思い入れもあるに違いない。

 

 しかし、さすがに事が事である。

 大事な事なので再び言おう。

 未曽有の災厄、大破壊が起こるというのである。


「レオナール、どう思う?」

 

 フィリップは思わずレオナールに声をかけた。

 しかし、


「閣下、まずはルウの話を聞きましょう。その上で検討を!」


 と子供を諭すように言われてしまった。


 苦笑したフィリップは、ルウに説明をするよう求めた。


 ルウは淡々とアデライドにした説明を繰り返した。

 但し、従えた悪魔を使い、王国を守るとは口に出せない。

 リーリャの時同様、王都騎士隊に自分の従士を派遣し、協力するとだけ伝えた。


 フィリップ、そしてレオナールが同意したので、

 ルウは改めて『作戦』を伝えた。

  

 何回か会話のキャッチボールがあった後、

 フィリップもレオナールも納得したようだ。


 10年前に起こった大破壊を改めて認識し、今後不測のに備える為の訓練ならば、

 混乱は起こりにくいからだ。

 有事の際、すぐ対応出来るのも良い。


 納得したフィリップとレオナールであったが……


「と、ところでバートランドのエドモン様には?」

「そ、そうだ。直接大破壊が起こらないとはいえ、一報くらい入れないと」


 フィリップの言葉を聞いてアデライドはハッとした。

 

 気難しい伯父への報告をすっかり忘れていたのだ。

 

 しかしルウは全く抜け目がなかった。

 涼しい顔で答える。


「大丈夫です。エドモン様へは私の方から既に伝えておりましてバートランドでも王都と同じく警戒態勢に入って貰う事で話がついています」


 これで話は決まった!

 ルウの作戦通り、王都は『高レベル』の警戒態勢に入り、

 併せて大規模の災害訓練も実施する事となったのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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