第1,229話 「大破壊③」
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妻達へ、大破壊襲来を告げた翌日の魔法女子学園……
午後の授業終了後、ルウはフランと共に理事長専用応接室でアデライドと話し込んでいた。
最初は笑顔で迎えてくれたアデライドも……
ルウから近日中に『大破壊』が来るかもしれないと聞き、
はっきりと顔色が変わっていた。
あまりにも真剣なふたりの表情を見て、これはただ事ではないと感じたらしい。
アデライドは、しばし無言で考え込んだ後、訝し気な表情で尋ねる。
「ねえ、ルウ、本当に……本当に大破壊が来るの?」
結構緊張気味のアデライドに対し、ルウは穏やかに微笑んでいる。
「いえ、絶対にという確約は出来ません。だが俺とモーラルには、ほぼ90%起こるくらい嫌な予感がしています」
「え? ほぼ90%!?」
「はい」
「う! で、でも! 裏付けのない単なる予感でしょ? じゃあ! 全く何も起こらない可能性だってあるわけよね?」
『大破壊発生』の根拠は、ルウとモーラルの単なる予感にすぎない。
つまりは、何も起こらず取り越し苦労に終わる可能性もある
アデライドは無理やりそう考え、自己完結。
安堵して、軽く息を吐いた。
だがルウはアデライドに同意しながらも、対応の必要性をきっぱりと言い放つ。
「確かにそうですが、いくら楽観的に考えても、単なる気休め、厳しい言い方をすれば現実逃避です」
「むう、現実逃避かあ……はっきり言うわね……きつい言われ方だけど……確かにそうだわ」
「はい、大破壊が起こった時に後悔するだけです。だから出来うる限りの準備だけはしておかなくては」
「ま、まあ……そうね」
確かにルウの言う通りだ。
無理やり現実逃避しようとしても、
大破壊が起こったら否応なしに巻き込まれる。
「アデライド母さんも、10年前に経験済みだからご存じでしょう。大破壊には予兆がありません。いつも唐突に起きる。何か兆しがあったから備えるという対応が出来ないですから」
「重ね重ね、ルウの言う通りね……私も覚悟を決めたわ」
「では、覚悟をお決めになったのなら、ついでにもうひとつ。これは先ほどフランにも告げたばかりです」
ルウがもうひとつ何かあると告げて来た。
彼の傍らではフランが頷いている。
「はい……私もほんの少し前に、校長室で旦那様から聞きました」
「え? もうひとつ!? な、何!」
「はい、先日の魔法学園対抗戦の際、騒ぎを起こした悪魔が倒される間際に言い残しました」
「え? 学園祭の時の魔法学園対抗戦? オレリーが勝った?」
「はい! いずれこの世界には大破壊を超える災厄が襲う。恐るべき悪魔によって………とね。ベタですが、一応大災厄とでも呼びましょう」
「ええええっ~つ! だ、大破壊だけじゃなく、それを上回るいう大災厄まで! それも悪魔が起こすの!?」
「ははは、アデライド母さん、少し声が大きいですよ」
「ご、ごめん! でも本校舎5階はすべて私の占有だから、この場の3人以外は居ない! 大丈夫!」
「了解です! こうなったら、開き直りですね。先にお話しした大破壊と共に備えるしかないのです。両にらみで行きましょう」
「ふうう……両にらみって、ルウの言う通りで本当に開き直り。でも準備って、一体どうするの? 大破壊やそれを超える大災厄が起きるなんて言ったら王都中がパニックになるわ」
「はい、既にいろいろ考えています。まず学園においては教職員、生徒達へ災害訓練の実施を告げ、地下シェルターへの避難訓練を行います」
「え? 災害訓練?」
「はい、前回の大破壊からはちょうど10年経過しています。いきなりではありますけど、訓練の名目としては違和感がないと思います。アデライド母さんから各教師へ指示を出して下さい」
「な、成る程……いざ大破壊や大災厄が起こったらやはりショックで皆パニックになるでしょう。けれど訓練を行えば、少なくとも気持ちの緩衝材にはなるわね」
「はい、その通りです! ちなみに俺やフラン、ジゼル達が学園に居る際、大破壊や大災厄が起こったら、家族を含めた生徒の守護と学園の防衛に徹します」
「それは助かるわ、ルウが居ればとても心強いもの」
「しかし、休日に大破壊や大災厄が起きた場合、俺とフランは自宅でまず家族を守る事に専念します」
「はい! 旦那様の仰る通りです。本当はお母様に我が家へ避難して頂きたいくらいです」
「ふふ、そうね。ま、無理だけど」
「という事で、お母様には申しわけありませんが、私はブランデル家第一夫人として、ウチの家族優先で守るようにします」
「まあ、ブランデル家は国賓のリーリャも居るし……う~ん、仕方ないわね。やはり私は立場上、前回同様に学園へ向かわざるをえないわ」
ルウとフランが家族を守ると聞き……
アデライドは安心しながらも、どことなく不安そうである。
学園防衛において、両名を大いに頼りにしていたのであろう。
しかしルウはしっかりとアデライドのフォローも考えていた。
「でも休日の場合、学園防衛の対策は考えてあります」
「本当? ルウ、教えて!」
「はい! アデライド母さんの下へは、俺とフランの代わりに精強な悪魔従士を派遣します。ちなみに打合せはもう済んでいます」
「え? 悪魔従士を?」
「はい、ロドニア案件の際、王都騎士隊へ派遣した悪魔従士のどちらかになると思います」
「ああ、憶えてる! バルバさんとヴィーネンさんね」
アデライドはすぐに、ドゥメール邸で紹介されたふたりの戦士を思い出した。
人化した悪魔という説明だったが、確かに人間離れした逞しい戦士であった。
世界最強と謳われたロドニア騎士を子供扱いしたと聞いたが、納得出来る。
不安だったアデライドも少しホッとしたようである。
アデライドの不安を打ち消すかのように、ルウは悪魔従士の力を保証する。
「はい! 一騎当千どころか、彼等ひとりで騎士数万人以上の働きをしてくれると思います」
学園防衛の目途は立った。
しかし問題は王家や騎士隊への伝え方や対応である。
「それは心強いわ。でも王家や王都騎士隊へは大破壊の事をどう伝えるの?」
「同じです」
「お、同じ?」
「はい! 魔法女子学園と同じ対応をします」
「…………」
「宰相フィリップ殿下、それに親父さん……いえ、カルパンティエ公爵、このふたりだけには本当の事を伝えます」
「本当の事?」
「はい! それで王都騎士隊や王国軍には緊急警戒態勢に入って貰います」
「緊急警戒態勢? あ、ああ! 成る程!」
「警戒態勢に入る理由は学園と同じ。10年前の大破壊を忘れないよう、防衛兼災害訓練を行うと宣言すれば、騎士も兵士も納得するはずです。どれくらいの警戒レベルにするか、あとはおふたりの裁量にお任せしましょう」
王都騎士隊や王国軍の出撃マニュアルには……
起こりうる災害のレベルによって訓練、警戒、もしくは演習を行うものがある。
騎士や兵士に有事に備えた心構えを持って貰うのは勿論、王都市民にも心構えをして貰うというルウの考えた作戦なのである。
「それと」
「それと? ルウ、まだあるの?」
「はい! 悪魔従士が守るのは魔法女子学園だけではありません。王都騎士隊や王国軍に加勢する形で、ヴァレンタイン王国中に派遣出来ると思います」
「あは! それは凄い! 頼もしい! とても心が軽くなったわ! 了解! とりあえず殿下への謁見のセッティングを私が緊急に手配しましょう。ジゼルのお父上カルパンティエ公爵同席でね! 全て任せて!」
大破壊、そして大災厄……
大きな不安を抱えながら、アデライドは嬉しかった。
大切な家族を守ると言い切ったフランの表情が、
明るく堂々として、自身に満ち溢れていたからである。
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