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第1,222話 「学園祭㉜」

⛤特報! 『重版』決定!!


『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

《スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス》

☆最新刊『第3巻』大好評発売中!


皆様のご愛読と応援により

コミックス第3巻の『重版』が決定致しました!

ありがとうございます。

書店様で、ぜひお手にお取りください。

※宜しければ小説版《ホビージャパン様HJノベルス刊》第1巻~7巻もあわせてお読み下さい。

 オレリーが厳しい視線で見据える『犬』が……

 つまりユルリッシュが召喚した使い魔に、著しく変化が生じていた。


 呼び出された『犬』の身体が「ぐんぐん!」大きくなっているのだ。

 全身の体毛も不気味に紅く輝いて来ていた。


 忌まわしい『禁呪』を詠唱し終わったユルリッシュがニヤリと笑う。

 

「ふっ、楽しい殺戮さつりくショーの始まりだ!」


 はっきりと肉声で、『怖ろしい殺意』を口に出したユルリッシュ。

 やはり正気ではないらしく、彼の瞳の焦点は虚ろであり、全く合っていなかった。


「見よ、これが我がしもべの第二形態ブラッドドッグだ!」


 ユルリッシュが叫んだ。

 召喚した犬が完全に変わっていた。


 体高は3mを楽に超えた……

 まるで大型牛のような巨躯となっていた。


 はがねの如き体毛は赤銅色。

 真紅の目は妖しい宝石のように輝き、耳まで裂けた口からは長く鋭い牙が伸び、

 焼けるように熱い息を吐き出している。


 ユルリッシュが召喚したのは……

 ブラッドドッグと呼ばれる魔犬『血の犬』……

 否、冥界の『血塗られた魔獣』なのである。


 このブラッドドッグは、ヘルハウンドとして良く知られる闇の魔犬を、

 遥かに上回る能力を有していた。


 一見、巨大な犬の姿をしているが、悪魔の眷属として、

 『死の先触れ』や『死刑の執行者』としての側面も持つのだ。


「まずはオレリー・ボウ! 貴様の可愛い犬コロをかみ殺してやる! その後はお前の番だっ! 嬲り殺してくれるっ!」


 しかし、オレリーも臆してはいない。

 ユルリッシュの魂に邪悪な存在が巣食う事を見抜いてもいる。


「邪なる悪魔よ! 『邪気を払う清流の乙女』として命ずる! 下がれっ! 冥界へ退散せよっ!」


 悪魔へ退去を命ずるオレリーは全身が発光していた。

 眩く光り輝いていた。


 もう自信を持って言い切れる。

 けして臆したり、ためらったりはしない!


 私は……

 私は『旦那様――英雄ルウを癒す者』!

 そして『この世界から全ての邪気を払う清流の乙女』なのだと!


 オレリーから発する光を見て、ユルリッシュは怖気づく。


「な、な、なにぃ~っ!? は、は、破邪の!? 破邪の光だとぉっ!!」


 想定外の事なのであろう。

 オレリーが発する破邪の光に相手が驚き臆している。


 ここは攻め時だ。

 オレリーは再び冥界への退去を命ずる。


「悪魔よ、去れっ!!」


「お、おのれ! こしゃくなぁっ!!」


「しかぁし! この程度の破邪では無駄無駄無駄ぁ! 我が闇の魔力は防げぬわぁ!!」


 ユルリッシュはまたも叫んだ。

 

 響き渡ったのは、しわがれた低い中年男の声である。

 若いユルリッシュの声では、けしてない。


 やはり!

 何者かが、ユルリッシュの魂に巣食い操っている!


 一方……フィールドに現れた闇の魔獣を見て、

 観客達は恐怖で大混乱に陥っていた。


 もう対抗戦どころではない!

 取り乱し、あちこちで立ち上がる。

 このままでは観客全員が出口に殺到し、けが人が出るのは確実だ。


 大混乱の中、平然と笑っていたのは……

 特別席に座る魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワールだけである。


「はははははは! 良いぞっ! 良いぞっ! 怯えろ! 畏れろ! 恐怖しろ! その調子だ! ユルリッシュ、行け、オレリーボウと、使い魔の犬を喰い殺してやれぃ! 憎きアデライドにほえ面をかかせてやるんだぁ!!」


 しかし勝ち誇ったアルバンは夢中になって、周囲を注意していなかった。

 いつの間にか、何者かが背後に立っていた。


「ふ~ん、誰を喰い殺せって? ほえ面をかかせてやれって?」


「な? だ、誰だぁ!」


 アルバンが振り向くと……

 立っていたのは、菫色の瞳、輝き揺れる長い金髪、

 独特の整った顔立ちにやや尖った耳……

 典型的なアールヴの美しい女性であった。


 アールヴ女性はふっと笑い名乗る。


「私はミンミ・ブランデル……炎の飛燕。こんな《おいた》をするなんて、いけない子ね、理事長さん」


「な!?」


「はっ!」


 アルバンが驚くと同時に、ミンミは裂ぱくの気合を発し、

 鋭い動きで、アルバンの腹を突いた。


 不意を衝かれたアルバンは呆気なく気絶した。

 そう……

 アルバンは死んではいない。


 闇を払う、破邪の魔力を込めたミンミの拳を受け、気絶したのだ。

 アルバンを殺すな……

 ルウとアデライドの意向……である。


 倒れ伏したアルバンを見て、ミンミは唄うように言う。


「聞こえてる? アルバンさん。持たざる劣等感に落ち込んでも良い。先が見えぬ未来を怖がっても良い。世間の厳しさから一時的に逃げても構わない……」


「…………」


 アルバンはピクリとも動かない。

 しかしミンミは構わず話を続ける。


「だけど義務を果たさないと権利は得られない。辛さを乗り越えなければ道は開けないわ。貴方のように人を導く立場なら尚更ね」


「…………」


「私も弱いから……貴方の気持ちは良く分かる……だけど最後に頼れるのは己だけ……」


「…………」


「他人へ八つ当たりするのは愚かだし、人を呪わば穴二つ。因果応報。最後には必ず報いが返って来る」


「…………」


「私と同じ、弱い貴方へアドバイス。……周囲が冷たくとも厳しくとも、自分の心だけは信じ、優しくし、可愛がってあげなさい。麦のように踏まれても踏まれても、黄金色に実りなさい! もっともっと強く逞しくなるのよ!」


 最後に『情け』を言い捨てると、ミンミはルウを念話で呼ぶ。


『旦那様、観客全員へ身体強化、低速、鎮静と忘却の魔法を!』


 瞬間!

 屋外闘技場は巨大な魔力波オーラで覆われた。

 大混乱していた人々は気を失い……

 その場にスローモーションの如く崩れ落ち、

 もしくはゆっくりと椅子へ座り込んだ。


 何と!

 ルウは同時に4つの魔法を発した。

 

 一時的に頑健になった人々は、気を失い脱力して、怪我もなく倒れ……

 悪夢をも忘却したのだ。

 

 危機一髪のところで、大惨事は回避されたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


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一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。

WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」

「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」

新作「初恋の幼馴染と死に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛と、信長スキルで何でもござれ!」


も宜しくお願い致します。

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