第1,222話 「学園祭㉜」
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『魔法女子学園の助っ人教師』
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オレリーが厳しい視線で見据える『犬』が……
つまりユルリッシュが召喚した使い魔に、著しく変化が生じていた。
呼び出された『犬』の身体が「ぐんぐん!」大きくなっているのだ。
全身の体毛も不気味に紅く輝いて来ていた。
忌まわしい『禁呪』を詠唱し終わったユルリッシュがニヤリと笑う。
「ふっ、楽しい殺戮ショーの始まりだ!」
はっきりと肉声で、『怖ろしい殺意』を口に出したユルリッシュ。
やはり正気ではないらしく、彼の瞳の焦点は虚ろであり、全く合っていなかった。
「見よ、これが我がしもべの第二形態ブラッドドッグだ!」
ユルリッシュが叫んだ。
召喚した犬が完全に変わっていた。
体高は3mを楽に超えた……
まるで大型牛のような巨躯となっていた。
鋼の如き体毛は赤銅色。
真紅の目は妖しい宝石のように輝き、耳まで裂けた口からは長く鋭い牙が伸び、
焼けるように熱い息を吐き出している。
ユルリッシュが召喚したのは……
ブラッドドッグと呼ばれる魔犬『血の犬』……
否、冥界の『血塗られた魔獣』なのである。
このブラッドドッグは、ヘルハウンドとして良く知られる闇の魔犬を、
遥かに上回る能力を有していた。
一見、巨大な犬の姿をしているが、悪魔の眷属として、
『死の先触れ』や『死刑の執行者』としての側面も持つのだ。
「まずはオレリー・ボウ! 貴様の可愛い犬コロをかみ殺してやる! その後はお前の番だっ! 嬲り殺してくれるっ!」
しかし、オレリーも臆してはいない。
ユルリッシュの魂に邪悪な存在が巣食う事を見抜いてもいる。
「邪なる悪魔よ! 『邪気を払う清流の乙女』として命ずる! 下がれっ! 冥界へ退散せよっ!」
悪魔へ退去を命ずるオレリーは全身が発光していた。
眩く光り輝いていた。
もう自信を持って言い切れる。
けして臆したり、ためらったりはしない!
私は……
私は『旦那様――英雄ルウを癒す者』!
そして『この世界から全ての邪気を払う清流の乙女』なのだと!
オレリーから発する光を見て、ユルリッシュは怖気づく。
「な、な、なにぃ~っ!? は、は、破邪の!? 破邪の光だとぉっ!!」
想定外の事なのであろう。
オレリーが発する破邪の光に相手が驚き臆している。
ここは攻め時だ。
オレリーは再び冥界への退去を命ずる。
「悪魔よ、去れっ!!」
「お、おのれ! こしゃくなぁっ!!」
「しかぁし! この程度の破邪では無駄無駄無駄ぁ! 我が闇の魔力は防げぬわぁ!!」
ユルリッシュはまたも叫んだ。
響き渡ったのは、しわがれた低い中年男の声である。
若いユルリッシュの声では、けしてない。
やはり!
何者かが、ユルリッシュの魂に巣食い操っている!
一方……フィールドに現れた闇の魔獣を見て、
観客達は恐怖で大混乱に陥っていた。
もう対抗戦どころではない!
取り乱し、あちこちで立ち上がる。
このままでは観客全員が出口に殺到し、けが人が出るのは確実だ。
大混乱の中、平然と笑っていたのは……
特別席に座る魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワールだけである。
「はははははは! 良いぞっ! 良いぞっ! 怯えろ! 畏れろ! 恐怖しろ! その調子だ! ユルリッシュ、行け、オレリーボウと、使い魔の犬を喰い殺してやれぃ! 憎きアデライドにほえ面をかかせてやるんだぁ!!」
しかし勝ち誇ったアルバンは夢中になって、周囲を注意していなかった。
いつの間にか、何者かが背後に立っていた。
「ふ~ん、誰を喰い殺せって? ほえ面をかかせてやれって?」
「な? だ、誰だぁ!」
アルバンが振り向くと……
立っていたのは、菫色の瞳、輝き揺れる長い金髪、
独特の整った顔立ちにやや尖った耳……
典型的なアールヴの美しい女性であった。
アールヴ女性はふっと笑い名乗る。
「私はミンミ・ブランデル……炎の飛燕。こんな《おいた》をするなんて、いけない子ね、理事長さん」
「な!?」
「はっ!」
アルバンが驚くと同時に、ミンミは裂ぱくの気合を発し、
鋭い動きで、アルバンの腹を突いた。
不意を衝かれたアルバンは呆気なく気絶した。
そう……
アルバンは死んではいない。
闇を払う、破邪の魔力を込めたミンミの拳を受け、気絶したのだ。
アルバンを殺すな……
ルウとアデライドの意向……である。
倒れ伏したアルバンを見て、ミンミは唄うように言う。
「聞こえてる? アルバンさん。持たざる劣等感に落ち込んでも良い。先が見えぬ未来を怖がっても良い。世間の厳しさから一時的に逃げても構わない……」
「…………」
アルバンはピクリとも動かない。
しかしミンミは構わず話を続ける。
「だけど義務を果たさないと権利は得られない。辛さを乗り越えなければ道は開けないわ。貴方のように人を導く立場なら尚更ね」
「…………」
「私も弱いから……貴方の気持ちは良く分かる……だけど最後に頼れるのは己だけ……」
「…………」
「他人へ八つ当たりするのは愚かだし、人を呪わば穴二つ。因果応報。最後には必ず報いが返って来る」
「…………」
「私と同じ、弱い貴方へアドバイス。……周囲が冷たくとも厳しくとも、自分の心だけは信じ、優しくし、可愛がってあげなさい。麦のように踏まれても踏まれても、黄金色に実りなさい! もっともっと強く逞しくなるのよ!」
最後に『情け』を言い捨てると、ミンミはルウを念話で呼ぶ。
『旦那様、観客全員へ身体強化、低速、鎮静と忘却の魔法を!』
瞬間!
屋外闘技場は巨大な魔力波で覆われた。
大混乱していた人々は気を失い……
その場にスローモーションの如く崩れ落ち、
もしくはゆっくりと椅子へ座り込んだ。
何と!
ルウは同時に4つの魔法を発した。
一時的に頑健になった人々は、気を失い脱力して、怪我もなく倒れ……
悪夢をも忘却したのだ。
危機一髪のところで、大惨事は回避されたのである。
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一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
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毎週月曜日更新予定です。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
新作「初恋の幼馴染と死に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛と、信長スキルで何でもござれ!」
も宜しくお願い致します。




