第1,220話 「学園祭㉚」
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午後2時半を少しだけ過ぎた……
本日のエキシビションマッチ。
否、学園祭の実質的なメインイベントたる『魔法女子学園対魔法男子学園対抗戦』開始まで、
あと1時間30分を切った。
対抗戦の会場は、去年同様、今年も屋外闘技場である。
運営委員会とチャリティ企画展――生徒会の業務を無事終えたオレリーは、既に控室へ入っていた。
また超が付く人気イベント天才俳優オーセィこと悪魔オセの独演会とバッティングしていたが……
オレリーを案じる生徒会メンバー達も全員、控室に在った。
更にルウから命じられ、オレリー専任の警備担当として、
テオドラが周囲に鋭い視線を走らせている。
片や対抗戦の主役、魔法女子学園代表として出場するオレリーの様子はといえば、
少し緊張気味のようだが、臆してはおらず、比較的冷静である。
この控室に2年C組副担任且つ生徒会顧問であるルウの姿はない。
だが不安を口にする者は皆無であった。
テオドラ以外の警備担当と連携をとって事に当たると、前もって告げていたからである。
オレリーは最後の確認とばかりに、相手の情報、予想される戦法を再確認。
ルウ、モーラルと3人で練り上げた作戦も復唱していた。
完璧なシミュレーションであったが、所詮予定は未定。
何が起こるか、分からない。
そのような時もすぐ対応可能なよう、いくつもの可能性を想定している。
ひと通り記憶を手繰って、オレリーは「ふう」と息を吐いた。
油断は禁物ではある。
しかし当初のように大きな不安はない。
アリトンの言葉を思い出すと、気力がそして魔力も満ちて来る。
オレリーはメンバーへ言う。
穏やかに微笑んでいる。
「私は準備万端です。相手の方も、既にスタンバイしていますよね」
「多分、そうですわ」
とマノンが返せば、
ジョゼフィーヌも、
「相手の生徒会長……ユルリッシュ・ビガールが自慢する使い魔の犬っていかほどなんでしょうね」
「とんでもなく凄いって噂ですよね」
とリーリャが拳を握りしめれば、ポレットが気合を入れるよう、
どんと床を踏み鳴らした。
「でも! 我がジェシカちゃんも負けていません! 私達と同じ美しく強い素敵な魔法女子ですし!」
と、ここでテオドラが……
「大丈夫です! オレリー様は必ず勝ちます。誰にも文句を言わせないよう、正々堂々と戦いましょう。逆に相手が不埒な行いをしたら、このテオドラが容赦しません!」
最後には……この場の7人全員が拳を軽く合わせる行為、
フィストバンプを行い、結束を図ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
オレリー達のフィストバンプから、30分が過ぎ……
決戦から約1時間前の午後3時……
遂に屋外闘技場の入り口が開かれた。
この日を楽しみにして、ず~っと並んでいた者も、オーセィの独演会を鑑賞した者も、期待に胸を膨らませ、入場して行く。
所持品検査は魔法女子学園事務局員が担当していた
臨時で雇用された警備担当のウッラにパウラ、ミンミにマルガも入場する観客達をチェックしている。
入場者は魔法女子学園の生徒達は勿論、魔法男子学園の生徒達も多い。
ちなみにミンミ達の徹底した警備で『ナンパ』はごくわずかしか行われなかった。
大勢の入場者を横目を見やりながら……
ミンミ、マルガを中心に念話で指示と確認が交錯する。
『ミンミだ! 魔法女子学園生徒、入場者順調に進行中……異常なし!』
『マルガである! 魔法男子学園、入場者順調に進行中……同じく異常なし!』
『こちらはウッラ! 魔法女子学園生徒、入場者……持ち物検査異常なし!』
『こちらはパウラ! 魔法男子学園生徒、入場者……同じく持ち物検査異常なし!』
と、ここでミンミがマルガへ声をかける。
『おいマルガ』
『なあに、ミンミ』
『魔法男子学園の理事長と甥の生徒会長には闇の気配を感じる。だが、無関係な一般生徒には罪がない。勝負には敗れても、気持ち良く帰してやりたいものだ』
オレリーを心配したミンミは、ルウから状況を聞き、安堵。
アリトンの使徒として、覚醒したオレリーの勝利を確信している。
対して、ミンミの言葉を聞き、マルガは苦笑する。
『それを言うのなら、理事長と生徒会長にも大した罪はない。怨念の如き叶わぬ恋心や女子に対する劣等感……弱き心の隙を衝かれ、邪なる者に利用されているだけだ。怪我くらいはしても、最悪、命だけは助けたい』
『うむ、同感だ。私達は無事に対抗戦が行われる事に注力しよう』
『了解!』
『こそこそ動いている黒幕は……旦那様とモーラルが成敗してくれる』
『ああ! しつこいネビロスとグラシャボラスめ、今度こそ思い知るがいいさ』
それぞれ行列の反対側に居るミンミとマルガはにっこり笑い、
見えないフィストバンプを交わしていたのである。
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