第1,217話 「学園祭㉗」
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『魔法女子学園の助っ人教師』
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『アリトン、どうだい? 水の長たる貴女の目から見て、この子は加護を与えるに値するかな? 俺から見たら文句なしだが』
『ほほほほほ! ルウよ、妾も異論はない! 若輩で未熟ゆえ、まだまだ修養は必要じゃ。だが、モーラルと同じく、我が力を与えようぞ!』
アリトンはルウに同意し、高らかに笑うと……
意外にも人懐こそうな笑顔を、オレリーに対して向けた。
えええええっ!?
認めて貰っただけでも嬉しいのに……
この私が?
畏れ多くも、アリトン様のご加護を受ける!?
先ほどから……
オレリーは驚愕が止まらない。
本格的に覚醒し始めた《英雄を癒す者》《邪気を払う清流の乙女》として……
ルウからは自信を持つように言われても……
ほんの僅かだが実際に自信を持っても……
実際、目の前に在る水の王アリトン自らお墨付きを貰うと、
「自分みたいな小娘が」と謙遜し、凄く違和感を覚えてしまうのだ。
と、その時。
厳かなアリトンの声が、オレリーの心に響く。
先ほどまでルウと話していた時の気安さは、すっかり消えており、
さすがにオレリーは緊張する。
『オレリー・ブランデル! 流麗たる我が水の一族、その端を担う者よ!』
『は、はいっ!』
『妾を前にし、臆する事はない! 礼を守り、堂々と振る舞うが良い! お前は高貴なる水の者として、生まれるべくして生まれた! そして遂に目覚めたのだ!』
『はいっ!』
『夫ルウの言う通り、自信を持ち、目の前に開かれる道をひたむきに進めば良い!』
まるで、オレリーの心中を見抜いたようなアリトンの言葉。
心が震える。
後押しされる。
だから、大きくオレリーも返事をする。
『はい! 仰せの通りに!』
『うむ! オレリー、良いか! 水の王たる妾の姿を! お前の双眼から肉体へ、そして魂へ、しかと刻み込めっ!』
『はいっ!』
『今後、お前が更なる力を望むなら、発動の際、妾の名を呼ぶがよい』
『はいっ!』
『水を統べる妾の名が力となり、お前の後押しをするであろう!』
『アリトン様! 御意っ!!』
『宜しい! オレリーよ、己を信じろ! 自信を持つのだ!』
ぴいいいいいいいいいいいいいいいいんん!!!
異音が鳴り響き……
周囲が眩い白光に包まれた。
眩しくて、思わずオレリーは目を閉じた。
身体が更に……軽くなって行く。
どこからともなく、声が聞こえて来る……
聞き覚えがある。
オレリーの最も好きな、大好きな声だ。
『オレリー……』
『だ、旦那様!』
『大丈夫か?』
『は、はい! だ、大丈夫ですっ!』
『上手く行ったようだ……アリトンはお前を認め、加護を与えてくれ、既に去った……目をゆっくりと開けてみるがいい』
『わ、分かりました!』
オレリーはルウに言われた通り、ゆっくりと目を開けた。
やはり……
アリトンは、目の前から消えていた。
しかし……
オレリーの心には、はっきりと……
アリトンの励ましの言葉が刻まれ、たおやかな姿が焼き付いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今……
オレリーは、草原にモーラルと並んで座っていた。
とりあえず今日の訓練は終わりとルウは告げ、
所用があるから、一旦外す、後ほどふたりを迎えに来ると言い残し、
姿を消している。
姉妹同然である事は勿論、水の魔法使い同士、そしてアリトンの使徒同士……
お互いに忌憚なく話せば良い……という意味だろう。
それがルウの深謀遠慮だと、オレリーは気付いていた。
「つらつら」と考え込むオレリーを見て、モーラルは優しく微笑む。
普段モーラルは、アリスやウッラ、テオドラ達ほどオレリーと話さない。
しかし、貧しい暮らしを撥ね返したオレリーを、
逆境を糧として歩んで来た者同士として認めており、とても親近感を持っていた。
だから今回の事も、素直に祝う事が出来る。
『おめでとう、オレリー。これで貴女も私と同じくアリトン様の使徒ね』
『そ、そんな! モーラル姉! わ、私が! し、使徒なんて、畏れ多いです』
『駄目よ、オレリー。アリトン様から頂いたお言葉を忘れたの?』
『…………』
『貴女はけして驕り高ぶらず、常に謙遜する。それは美徳なの。いわば能ある鷹は爪を隠す……よ。でも過剰な謙遜は、却って嫌味になるわ』
モーラルの言う通りだと、オレリーは思う。
『は、はい……モーラル姉に同意します』
『ならば! 堂々と穏やかに振る舞いなさい! 貴女にはその資格がある!』
『了解ですっ!』
『貴女は魔法女子学園の代表として、勝負に臨む……大丈夫、貴女なら勝てる。旦那様が、私が、家族が、そして仲間がついている』
モーラルの言葉が、オレリーの心に染みて行く……
同じ、水の使徒として素直に受け入れられるのだ。
『はい! 心強いです』
『旦那様や私を始め、全員が貴女の味方よ。奴らの情報も着々と集まってる。臆せず勇気を持ち、従士ジェシカと力を合わせ、邪なる者どもを退けるのよ』
『わ、分かりましたっ!』
『という事で、まじめな話はこれでお終い……』
『え?』
『うふふ……お互い、苦労したけど……よくここまで良くやって来たと思わない?』
『そ、そうですねっ! 今ある幸せは頑張った、自分へのご褒美だと思ってます』
『そうね……頑張ったご褒美。だけどね……』
『だけど?』
『幸運の女神はとてもきまぐれ……単に頑張るだけで幸運はつかめない……』
『頑張るだけでは……幸運はつかめない』
『ええ、そうよ。女神が手を差し伸べてくれた時に、積極的に彼女の手をしっかりつかまないと、幸せにはなれないわ』
『成る程……』
『私もオレリーも、しっかり女神の手を握った。だから今日があり、明日が来る、輝かしい未来があるのよ』
『大いに! 激しく同意しますっ!』
最後は元気いっぱいに、大きく頷いたオレリー。
勝利の予感が、はっきり確信に変わるのをしっかり感じたのである。
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