第1,216話 「学園祭㉖」
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『魔法女子学園の助っ人教師』
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『ふうう……旦那様、心の準備が出来ました。アリトン様をお呼びください』
他愛のないモーラルとのやりとりで……
いくぶん余裕が出たオレリーは、ようやく平静さを取り戻し、ルウへ告げた。
リラックスしたオレリーを見て、笑顔で頷いたルウは、
神速の呼吸法を使い、あっという間に魔力を高めて行く。
精霊の頂点、高貴なる4界王のひとり……水界王アリトン。
水属性の長たる彼女を召喚するのは、大きな意味がある。
アリトンの眷属たる『水の精霊ウンディーネ』『水の妖精グウレイグ』に祝福された、
『英雄を癒す者』『邪気を払う清流の乙女』として……
覚醒を開始したオレリーの能力を、更に更に高め、完全に開花させる為である。
『我は《高貴なる4界王》の偉大な力を欲する者なり! ――気高く、清冽な水の王アリトンよ、我が前に姿を現し、その偉大なる力を与えよ!』
朗々とした張りのあるルウの声。
独特の言霊がオレリー、モーラルの心に響いた。
一瞬の溜め……の後、
ルウの口から更に『決めの言霊』が放たれる。
アリトンを異界から呼び出そうとする強い意思が込められていた。
『召喚!』
びしびしびしっ!
ルウの言霊が終わったと同時に、乾いた異音が鳴り響いた。
ぱきいいいいいいいいいん!
先ほどとは違う異音が鳴り響き、何も無い空間が割れて行く……
やがて……割れた空間の中からは、たおやかな美しい女性がひとり姿を現す。
現れた女性は、ルウへ微笑みかけた。
続いてモーラルへも……
『ほう! 久々に妾を呼んだか』
絶対にそんな事は口が裂けても言えない。
だが、オレリー達の、目の前で宙に浮いているのは……
少々『権高な雰囲気』のある、色白で細身の女性である。
銀色の地に青い模様を配した、独特のドレスを着込む女性は悪戯っぽく笑っていた。
彼女が、高貴なる4界王のひとり水界王アリトンである。
精霊は概して気難しいという。
頂点に位置する者は尚更である。
水界王アリトンは、空気界王オリエンスと並び、折り合うのが難しい相手だ。
ルウだけではなく、使徒たるモーラルを参加させたのは、アリトンに機嫌よく対応して貰うため、
つまり円滑にオレリーへ加護を与える為、ルウが考えた事なのである。
ルウとモーラルへは親し気な態度をとるアリトンではあった。
だが……
初めて対峙するオレリーはさすがに緊張している。
無理もない。
水の魔法使いである彼女にとっては、
主に等しい存在であるからだから。
改めて説明しよう。
水界王アリトンとは、世界の根幹を為す高貴なる4界王のひとりである。
あらゆる水の変遷を管理する存在であり、精霊ウンディーネや水の妖精達、
水の力を源とする者、全ての支配者である。
『ほほ、久しぶりじゃのう、ルウ! おお! そこに居るのは以前、加護を与えし、我が使徒モーラルか』
『はい! アリトン様!』
『モーラルよ、以前お前と会うた時には、魔法により、似ても似つかぬ南の妖精に扮していたのう……』
アリトンが指摘したのは……
以前ルウとモーラルがアリトンを呼び出した時の状況についてである。
あの時は……
南の大神の妻たる女神を出し抜く為、モーラルはルウの魔法により、
エーコーのエレナに擬態していた。
当然、モーラルは潔く肯定、はっきりと大きく返事をする。
『はい! アリトン様の仰る通りです!』
『ふふ、何やらワケアリと思い、素知らぬふりをし、敢えて詮索はしなかったが……』
『あはは、恐れ入ります。アリトン様。お分かりになりましたか!』
『馬鹿者! あれくらいの変身、分からいでか! まあ……妾とオリエンスが去った後、いろいろあったようだが、解決したようで、何よりじゃ!』
いろいろ解決した……
アリトンは、還ってから、その後の推移を見守っていたに違いない。
長き時に亘り、亜空間に幽閉されていたエレナは、想い人ナルキッソスには、
遂に再会する事は叶わなかった。
だがエレナは……妖精の国アヴァロンへ行く選択をせず……
ナーイアスのリゼッタとも邂逅。
全てのしがらみから解放され、今やルウ達と王都セントヘレナにて、
日々幸せに暮らしている。
『はい! 全てがアリトン様のご加護の賜物です』
『ふむ、その心がけ、よしとしよう』
笑顔いっぱいなモーラルの言葉に頷いたアリトン、
次にルウへ向き直る。
『して、ルウよ、こたびは何用じゃ?』
『アリトン、モーラル同様、我が妻オレリーへも加護を与えては貰えないか?』
『ほう、オレリーとな! その者は、あの時にも居た小娘じゃな!』
何と!
アリトンは機嫌がいいだけではなかった。
オレリーを憶えていた。
否、はっきりと認識していたのだ。
『うむ! オレリーよ、お前は水の魔法使いとして、大きく成長したようじゃ!』
えええっ!?
わ、私が!?
お、大きく成長したっ!?
何と!
何と!!
憶えられていただけではなく、アリトンに実力まで認められた!
嬉しい!
嬉しい!
凄く嬉しいっ!!!
ルウに褒められた時とはまた違う、突き抜けるような歓びが、オレリーの心身を満たした。
『アリトン、どうだい? 貴女の目から見て、加護を与えるに値するかな? 俺から見たら文句なしだが』
『ははははは! ルウよ、妾も異論はない! まだまだ修養は必要じゃが、モーラルと同じく、我が力を与えようぞ!』
アリトンは高らかに笑うと……
意外にも人懐こそうな笑顔を、オレリーに対して向けたのである。
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一見超ドライですが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
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コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
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新作「初恋の幼馴染と死に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛と、信長スキルで何でもござれ!」
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