第1,215話 「学園祭㉕」
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ここは、楽園を模した異界エデン……
オレリーにとって3回目の特別授業が行われている。
否、新たな段階に進んだ授業の初回と言って良いだろう。
今夜からルウとふたりきりではない。
オレリーにとってはフランと並び立つ『憧れの姉』
尊敬し慕う存在のモーラルが参加するからだ。
ルウからモーラルも授業に参加すると聞き、
オレリーはその原因をずっと考え続けていた。
移動中の馬車の中、食事中も、入浴中も……
真面目なオレリーゆえ……
魔法女子学園の授業中やルウの特別『授業七惑星の護符魔法』の際は、
気持ちを集中し、考えないようにしていたが……
結局、答えは、はっきりとは出なかった。
ただひとつ思ったのは、自分とモーラルの共通点のみしか……
それは同じ水属性……水の魔法使いという共通点である。
今夜もルウの授業は変わらない。
まずは基本、そしておさらい……
オレリーはとても不安だった。
自分の身に起こったふたつの奇跡がもしも偶然か、まぐれならばどうしようかと心配だった。
しかしそのような心配は杞憂だった。
呼吸法で心身を整えると、またオレリーの身体は発光を初めており、
足元には完全なる魔法陣が現れたからだ。
『オレリー、早くもコツをつかんだな。制御も上手く行っているようだ』
『はい! 昨日よりもスムーズです。心身が軽い……魔力が満ち溢れています』
『うん、お前は、《邪気を払う清流の乙女》としての立ち位置を確立しつつある』
『はい! 頑張ります!』
もう迷いはない。
確信出来る。
自信を持って言い切れる。
私オレリー・ブランデルは英雄を癒す者――邪気を払う清流の乙女だと!
こうなると……
いっぱいいっぱいだったオレリーの気持ちに少しだけだが、
余裕が生まれて来る。
『旦那様、モーラル姉はまだですか? それに今夜はジェシカを呼ばないのですね?』
『ああ、モーラルはまもなく来る。ジェシカを呼ぶのはその後だ』
ルウの言う通り……
まもなくして、モーラルはエデンに現れた。
『お疲れ様です、旦那様。頑張ってるわね、オレリー』
『ああっ、モーラル姉!』
オレリーは駆け出そうとした。
モーラルに想いっきり甘え、ハグしようとした。
しかしルウとモーラル本人から止められた。
『ちょっと待った』
『そうよ、スタップ!』
『へ?』
『オレリー、忘れたのか? お前は既に破邪の光を放ち、完全なる魔法陣が己を護っている事を』
『ええ、旦那様の言う通り、貴女は邪なる者を退けてしまうわ』
『そんな! モーラル姉が邪なる者なんて……』
『うふふ、忘れたの? 私は人間であると同時に夢魔モーラ……人の子にとっては邪なる者なのよ。だから、貴女を抱き締めるのは魔法を発動していない時限定ね』
『……で、ではどうして、モーラル姉をこの場に……』
呼んだのですか?
という言葉を呑み込み、オレリーは黙り込んだ。
やはり分からない。
ルウの意図が……モーラルを呼んだ意味が……
でも、ルウのやる事に無意味はありえないはず。
だが、散々悩んだオレリーの疑念は、
次に発せられたルウ、そしてモーラルの言葉で、ようやく払拭された。
『モーラルを呼んだのは、オレリーを完全に覚醒させる為、つまりウンディーネ、グウレイグに続き、水属性の頂点たる存在、高貴なる4界王のひとり、水界王アリトンの加護を受けさせる為だ』
『えええええええ~~っ!? わ、わ、私が!? アリトン様のぉぉ!!!!!』
『ええ、オレリー。私は既にアリトン様の使徒だから、貴女の完全覚醒を手助け出来るのよ』
『えええええええ~~っ!? モーラル姉が!? アリトン様の使徒ぉぉ!!!』
オレリーは水界王アリトンの名も知っているし、その存在も感じた事はある。
ルウと家族でロドニアへ旅した時、木霊谷においてその圧倒的な存在に気圧されたのだ。
しかしルウはこともなげに言う。
『よっし、早速アリトンを呼ぼう』
『ええっ!? だ、旦那様! ちょ、ちょっと待って』
『あれ? どうしたこの期に及んで』
『どうしたって! アリトン様をそんなに軽々しく呼ぶなんて! 心の準備が!』
『いや、以前、水界王だからといって、私を特別扱いするな。他の精霊と区別するなと言われた事があった』
『はあ?』
『だから、分け隔てなく対応する』
『分け隔てなく対応って……ふふ、じゃあ仕方がないですね』
『ああ、そうだな、オレリー』
会話の途中で、可笑しくなって……
オレリーは思い出した。
ルウはいつもそうだ。
飄々としてつかみどころがないと。
そういえば、ナディア姉が言っていた。
ボク達の旦那様は……
一緒に居て楽しい。博学で尊敬出来る。
いざという時に頼りになるって。
世間知らずで少しのんびりし過ぎていて、とんでもなく強くて誰にでも優しい。
どうしても自分だけに優しくして欲しくなる。
だから……つい甘えたくなってしまう……って。
完全に賛成! 大いに同意!!
……そういえば誰かからも聞いた。
いつもは冷静沈着で、クールビューティな、目の前のモーラル姉が……
従士という立場ではない時……
つまりプライベートの妻である時は、
『デレの最高位』みたいな超激的な甘えっぷりだって……
うっわ~~~意外!!
どんな感じで甘えるんだろう?
もしかしたら私やジョゼみたいに「旦那様ぁぁ」って抱き着くの?
と、その時。
そんなオレリーの気持ちを見抜いたかのように、
『オレリー』
『は、はい、モーラル姉』
『貴女、何か今……変な事考えてなかった?』
モーラルは勘が異常に鋭い。
妻達の中でもピカイチである。
野生のカンとでも言うのだろうか……
当然オレリーは、必死に否定した。
『い、いえ! か、考えてません。姉の気のせいではないでしょうか?』
『ふ~ん、そう……なら良いわ。貴女は立場上、邪な事を考えてはいけないもの』
ふう~危なかった!
無理に笑顔を作ったオレリーは……
心にかいた『滝汗』を「そっ」とぬぐったのである。
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