第1,212話 「学園祭㉒」
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魔法女子学園生徒会室では、ルウによる『七惑星の護符魔法』の授業が続けられている……
「次に六芒星に関しても説明しておく」
「「「「「「………………」」」」」」
「ペンタグラムと共に、良く使われる魔道具が、六芒星を象ったヘキサグラムだ」
「「「「「「………………」」」」」」
「ヘキサグラムは、星型多角形の一種であり、六角星、六線星、星型六角形ともいう。また、六芒星の中にある六角形を抜いた形を六光星と呼ぶ」
「「「「「「………………」」」」」」
「更に補足しよう。ヘキサグラムは、火、金、光を表すという上向きの正三角形、水、血を表すという下向きの正三角形、ふたつを合わせた六角形とされ、物質と精神、天と地など……相反するふたつの要素の対立と結合を意味している」
「「「「「「………………」」」」」」
「数多のある中でも、有名なのがルイ・サレオンのヘキサグラムだ」
「「「「「「………………」」」」」」
「ルイ・サレオンのヘキサグラムを作る際、ベースの材料は牛革。術者の衣服、特に裾につけて使う。ペンタグラム同様、魔族を従えるのにとても効果があると言われている」
「「「「「「………………」」」」」」
「さあて! 理屈はこれくらいにして、早速実践にとりかかろう」
「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
無言でじっと授業を聞いていたオレリー達であったが……
いよいよ実践にとりかかると聞き、ひと際大きな声で返事が戻された。
「七つの護符のうち、魔法使いにとっては最も重要で人気のある土星の護符から教授しよう」
「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
「何故、土星の護符が重要で人気があるのか、分かるか?」
「「はいっ!」」
ルウの言葉が終わらないうちに、ふたりの生徒が手を挙げた。
やはりというか、オレリーとマノンである。
ほんの少しだけオレリーの挙手が速かった。
「じゃあ、オレリー、答えてくれるか?」
「はい!」
「くっ!」
オレリーは元気良く返事をし、マノンは悔しそうに唸る。
対照的な結果となった。
「術者に眠る能力や才能の開花を、著しく促す効果があるからです」
「正解だ、じゃあ、マノン。護符の作成については分かるか?」
「はい! 理解しておりますわ! まずベースとなる金属板。本来は違うのですが、今回はルウ先生のご指示で特別な魔法加工を施したミスリルの特製金属板を使います。片面にはルウ先生が今、仰ったヘキサグラム、六芒星を刻みます」
「よっし正解! じゃあ次にポレットへ聞こう、ヘキサグラムの中央部分に、ある動物を刻むんだが……知っているか?」
「当然です! 常識です! 女子の牛、つまり牝牛を刻むのです!」
「上出来だ! じゃあジョゼとリーリャに聞こう、もう片面には何を刻む」
「はい!」
素早く手を挙げたのがジョゼフィーヌである。
「よし、ジョゼ、答えてくれ」
「了解ですわ! もう片面にはペンタグラム、つまり五芒星を刻みます」
「正解! じゃあ、リーリャ、五芒星の中央部分には何を刻む?」
「はい! ルウ先生、大鎌を刻みます!」
「OK! 全員、予習はばっちりのようだ。では今、学んだ土星の護符から作ってみよう」
「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
……本来、今ルウが行っている授業は、専門科目魔道具研究の範疇に入っている。
それも才能のある希望者のみが学べる魔道具製作で学ぶ内容なのである。
しかし未知の分野を学ぶ事に臆さない、魔法使いの卵達は……
ルウが行う授業の巧さもあり、目を輝かせて護符作りに臨んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
七惑星の護符製作は魔道具の中でも上級クラスの腕が、
また魔法以外にもいくつかの才能が求められる。
高い魔法の能力は勿論だが……
具体的に言うのなら、必要なのは手先の器用さと芸術的センスだ。
6人は……
抜きんでた魔法の才能を持ち、競い合いたいという気持ちが強い。
そして、このような公の場で恥をかきたくないという気持ちが更に強い。
魔法の才能の差はともかく……
不器用とか、センスがないと、絶対に言われたたくないのだ。
ちなみに……
この授業の少し前から、オレリー、ジョゼフィーヌ、リーリャの3人は、
自宅ブランデルの屋敷の自室にこもる頻度が高かった。
フラン、ジゼル、ナディアあたりが聞いても……
「ちょっと……」
という感じで、口を濁していた。
多分、オレリー達は家族にも知られないよう、加工の練習をしていたと思われる。
授業中に『恥』をかかないように……
さてさて!
護符の形状は、まず金属板をメダル状態にする事から始める。
マノンが述べたように、本来、土星の護符を作る金属板はミスリルではない。
だが、今回は護符の効能効果を高める為、ルウが加工した特製のミスリル金属板を使う事となっている。
やがてメダルが出来上がる。
ここまでは何の問題もない。
しかしメダルの表面を彫り、ヘキサグラムや意匠を刻む段階になると……
思うように上手く行かず、各自から大きな「ため息」が漏れて来た。
しかし6人の中で、マノンだけは余裕であった。
手早く、自分の分を彫り込むと、早速他のメンバーをチェック。
「へぇ、オレリーさん、それは?」
「め、牝牛ですけど……」
「あら、子豚ちゃんかと思ったわ」
「う!」
マノンは更に容赦なく……
「ジョゼ、それは?」
「うう、大鎌ですけれど……」
「ほう、私はてっきり包丁かと!」
「あううう……」
加えて、意外にも手先の器用なポレットも、
「リーリャさん、それは?」
「ヘ、ヘキサグラムなのですが……何か……」
「全然、六角形には見えません、まるで台形みたいですね」
「うう……」
とまあ、散々突っ込んだのである。
ちなみにマノンとポレットに悪気は全く無い。
ルウと共に住む妻達を羨み、『ささやかな反撃』をしたのである。
と、ここで、
「おっと! 少し俺が手伝おう」
ルウがフォローし、全員の護符を上手く仕上げてやった。
こうして……なんやかんやあったが……
全員の護符が完成した。
「よし! 次回は他の惑星の護符製作に挑戦しよう!」
「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
というわけで……
途中まで、微妙な雰囲気だったルウの特別授業も……
最後は全員が立派な土星の護符を手にし、第一段階としては大成功。
誰もがご機嫌のうちに終了したのである。
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