第1,210話 「学園祭⑳」
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……現世での時間に換算して、約30分が過ぎていた。
しかし今ルウとオレリーが存在する世界は異次元の亜空間。
異界における時間の進みは、現世の1/10程度に過ぎない。
オレリーは既に、ジェシカに最適な呼吸法を確信していた。
いくつかの呼吸法を試して貰った結果、そのうちのひとつに著しい効果が認められたのだ。
様々なオレリーの指示に対し、ジェシカは全く逆らわない。
すなわち全幅の信頼を置いていた。
さすがは主たる召喚者と従士たる使い魔、特にオレリーとジェシカは親友同士以上ともいえる、
ルウとはまた違った、一心同体に近い間柄である。
呼吸法が適性な証に、ジェシカの体内魔力には大幅な上昇が感じられ、発動に最適な精神の平衡値も伝わって来た。
『旦那様! もうジェシカに最適な呼吸法が判明しました。凄く気分が良いと、彼女が意思を伝えて来ます』
『おっし! 心と心の折り合いも上手く行ってる! 上出来だ。じゃあ早速試そうか』
『試す?』
『先ほどの、使い魔への基礎的な指示を出してみてくれ』
『使い魔への基礎的な指示……了解です!』
先ほど2回の指示限定にしたのは、そのせいかと、オレリーは納得した。
しかし新たな呼吸法を試し、実践したジェシカからはこれまでとは比べものにならない魔力量を感じる。
集中した精神も、何の迷いもなく、素晴らしく均衡を保っており、
モチベーションも著しく上がっていた。
これならば、どのような指示を出しても楽々クリアしてくれる、
そんな確信がオレリーにはあった。
さあ、いよいよ基礎訓練の3回目の開始である。
オレリーの心の声が、ジェシカへ届く。
『ジェシカ! 走れ!』
「わうっ」
『止まれ!』
「わうっ」
『戻れ!』
「わうっ」
オレリーの指示に対し、ジェシカは迷うことなく応じ、即座に対応して見せた。
驚いた事に先ほどと動きが全然違う。
走行速度、敏捷さが段違いである。
著しい進歩を目の当たりにし、
思わずオレリーは肉声で、それも大声で叫ぶ。
「よしっ!! 凄いわっ、ジェシカぁ!」
「わうっ」
『OK。オレリー、良くやった』
『はい! 旦那様、ジェシカは本当に凄いです。ありがとう、ジェシカ』
「わうっ」
元気に返事を戻すジェシカを見て、オレリーは目を細める。
ルウの僅かなアドバイスのみで、ジェシカは容易く、
能力を大幅に向上させた。
しかし心の絆を深めたオレリーには分かる。
ルウが言う通り、ジェシカの器は、相当である。
秘める能力はまだまだこんなものじゃないと。
そうはっきりと言いたい。
とても彼女が誇らしいのだ。
『旦那様! つ、次はどうしますか? 何をすればいいですかっ!』
オレリーは勇んで、ルウに尋ねた。
まだまだ自分もジェシカも充分、余力がある。
更なる段階へ、進むのが楽しみでたまらない。
しかし……意外な事に、
『いや、今夜はこれでおしまいだな』
とルウは、笑顔で返して来た。
今夜の授業が終了……という事であろう。
『えええっ? おしまいって? ど、どうして?』
気色ばむオレリーを見て、ルウは優しく微笑む。
そして、入れ込む仔馬をなだめるかの如く、言う。
『焦るな、オレリー。今夜はこれで充分、次回、明日の晩に余力とやる気が十分な状態で、挑んだ方が効果的さ』
『……で、でも』
『ははは、そこまでのやる気があるなら、その元気を明日の午後に回そう』
ルウの言葉を聞き、オレリーは戸惑った。
この特別授業の続きは、夜に自宅にて、異界へ移動して行う。
そう認識していたからだ。
『え? 元気を? 明日の午後って? 個人授業の続きは、夜ではないのですか?』
『ああ、明日、いやもう日付けが変わったから、今日か』
『…………』
『今日の午後は、学園において、生徒会が行う学園祭の出展企画、七惑星の護符魔法の授業を行うぞ』
おおっと!!
いきなり、ルウからのサプライズプレゼントである。
生徒会の誰もが楽しみにしていた『七惑星の護符魔法』を遂に教授して貰えるのだ。
『えええっ! 七惑星の護符魔法の授業ですか!! や、やったあ!!』
歓声をあげるオレリーに対して、ルウは悪戯っぽく笑う。
『という事で、1日中、結構なハードスケジュールだぞ』
『全然大丈夫ですっ! 護符魔法の授業、頑張りますっ!』
やっぱり私は旦那様が大好き!
そして魔法を学ぶ事も大好き!
目を輝かせて頷くオレリーは、
愛と勉学の充実感に心身を満たしていたのである。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
新作「初恋の幼馴染と死に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛と、信長スキルで何でもござれ!」
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