第1,209話 「学園祭⑲」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』
6月27日発売!
大好評発売中!!
ほやほやの新刊です!
書店様で、ぜひお手にお取りください。
※6月29日付けの活動報告に『書影公開』『発売記念フェア開催のお知らせ』等、
『魔法女子』のコミックス第3巻の情報をまとめて掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。
魔法使いは好奇心の塊である。
未知の領域へ踏み込む第一歩にこそ、最上の喜びを感じるのだ。
しかしルウは……
いつもと違い、必要以上に入れ込むオレリーをクールダウンさせるが如く、
『と言っても、次に行う課題も基本に帰るという表現が妥当かもしれない』
『え? 旦那様、基本に帰るって? 応用へ移行しないのですか?』
『ああ、そうだ。オレリー、魔法女子学園で受けた最初の授業を思い出してごらん』
『はいっ!』
元気良く返事を戻したオレリーは、
入学してすぐ受けた、最初の授業の記憶を手繰った。
地道な基礎の積み重ねが、円滑な魔法発動、そして新たな応用の要となると。
ルウが魔法女子学園へ赴任して、誰もが呼吸法の重要性を再認識し、
一からやり直したのは記憶に新しい。
発動する魔法に適性が、得手不得手があるうように、呼吸法もまた然り。
個々に最も適した呼吸法が全てにつながる。
呼吸法から、精神の集中、均衡の維持、そして体内魔力の上昇、
魔法式の言霊を詠唱し、そして発動する……
そんなオレリーの心を見抜いたかのようにルウが告げる。
『ようし! 過去の記憶を手繰り、再認識したようだな』
『はい! 旦那様』
『俺達は、基礎を踏まえた精神の修養、修養に伴う体内魔力の上昇、上昇した充分な魔力を使い、円滑な詠唱による魔法の発動、そして新たな魔法へと進む……ジェシカも同じなんだ』
『え? 使い魔のジェシカも……私と全く同じなのですか?』
『ああ、全てとは言わないが、殆ど同じさ。召喚した魔族に呼吸は不要な者も居る、だが、ジェシカは呼吸をする使い魔だ』
『成る程、確かに呼吸する……使い魔ですよね?』
ルウの言う通り、精神体が実体化したジェシカではあるが、
オレリーの手には、ジェシカの息がかかり、温かい体温が伝わって来る。
そしてルウは「しれっ」と、だが直球を投げ込んだ。
『ああ、そしてオレリー、お前にもまだ未知の能力が眠っている』
『ええっつ!? わ、私に未知の能力がっ!?』
『うん! お前は水の精霊ウンディーネと水の妖精グウレイグ両方の祝福を受けた者だ。《英雄を癒す者》であり、《邪気を払う清流の乙女》なんだよ』
『旦那様……私……』
オレリーは控えめな性格であり『大仰なふたつ名』で呼ばれる事を嫌がる。
しかし……
一体、己が何者で何を為すべきなのか……
以前水の異界で覚醒したように、
今回の勝負で、真の覚醒への糸口をつかめるとも、ルウは考えていたのだ。
『オレリー』
『はい』
『お前が持つ能力を最大限に活かし、眠っているジェシカの能力も目覚めさせよう』
『ジェシカの能力を……』
『ああ、怖れる事はない。お前は、俺も含め、数多の人々へ癒しを与える尊き存在なのだから……大いに自信を持ち、堂々とジェシカを導くんだ』
ルウの優しい、だが熱い言葉はオレリーを力付け、背を押したようだ。
『……分かりました!』
自信を持ち、晴れやかな表情で頷くオレリーは、
魔法使いとして成長への階段を、確実にまた一歩上った。
『という事で、召喚魔法の基礎は終了だが、更に魔法そのものの基礎修練を行うぞ』
ルウに言われ、オレリーにはピンと来た。
『うふふ、というと! 最初は呼吸法ですよね?』
『その通り! 以前、お前が自分に最適な呼吸法を見つけた時の事を思い出してくれ』
『はい! あの時は旦那様がい~っぱい、呼吸法の種類を教えてくれましたっ!』
懐かしい春期講習の記憶がよみがえる。
1年経っていないのに、ひどく懐かしい。
『それを今度はジェシカへ手解きしてやるんだ』
『ジェシカへ?』
『ああ、彼女もオレリーと同じく、まずは最適な呼吸法を習得すれば、体内魔力が質量ともに改善され、隠された能力を引き出しやすく、且つ有効に使えるようになる』
『納得です。呼吸法は能力覚醒の第一歩って事ですね。……でも手解きって?』
オレリーが尋ねると、ルウは優しく微笑む。
『ほら、オレリーは将来、教師になりたいと常々《つねづね》言っているだろう?』
『は、はい! 言ってます! 旦那様は勿論! フラン姉、アドリーヌ姉、ジゼル姉やジョゼとも! 一緒に魔法女子学園で教師をやりたいですから!』
『うん! じゃあ、先日まで来ていたフランソワーズ先生ではないが、ジェシカに対する呼吸法の手解きを教育実習だと思い、やってみてくれ』
『ジェシカに対する呼吸法の手解きを? 教育実習だと思うんですか? ああ、成る程っ!』
フランソワーズが、教師見習いとして、授業を行う様子を思い出し……
オレリーにはルウの意図がすぐ分かった。
『おお、ピンと来たみたいだな』
『はいっ! はっきりと理解しました! 私が「実習」する事でジェシカが実力をつけ、私も「教える」練習になります。それに双方のモチベーションも上がりますねっ!』
『正解! その通り! 納得したら、早速スタートだ。念話で様々な呼吸法を試す事を、ジェシカへ指示してくれ』
『はい!』
『呼吸法の具体的なやり方など、不明な部分があればどんどん俺に聞いてくれ』
『はいっ! 自分が使っている呼吸法以外はうろ覚えです。だから、とても助かりますっ!』
こうして……
オレリーは、かつて自分が学んだように、
ジェシカへ、基礎中の基礎である呼吸法の手解きを始めたのである。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説版第1巻~7巻
(ホビージャパン様HJノベルス)
大好評発売中!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
☆最新刊『第3巻』が、
6月27日発売!
大好評発売中!!
ほやほやの新刊をぜひお手にお取りください。
既刊第1巻~2巻も大好評発売中!
※月刊Gファンタジー大好評連載中《作画;藤本桜先生》
☆7月18日発売の月刊Gファンタジー8月号に『最新話』が掲載されました。
一見超ドライだが、本当は優しいルウ、可憐なヒロイン達の新たな魅力をどうぞお楽しみください。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。
毎週月曜日更新予定です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」
新作「初恋の幼馴染と死に別れた俺は、辺境小国の王子に転生! 戦い、開拓、恋愛と、信長スキルで何でもござれ!」
も宜しくお願い致します。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。




