第1,199話 「学園祭⑨」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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翌日、午前ブランデル邸……
モーラルが自室へ、ブランデル家の『有志』3人に対し、
緊急召集をかけていた。
ブランデル家の有志とは……
モーラル独自の判断で選ばれた『家族』の内からの3名、
彼女の愛弟子テオドラ、そしてウッラ、パウラのダンピール姉妹都合3名である。
招集の目的は、今回オレリーが魔法男子学園との対抗戦に出場する事に伴う、
ルウから命じられた『付帯業務』である。
モーラルはルウとフランと交わした昨夜のやりとりを含め、
これまでの経緯を3人へ簡潔明瞭に説明した。
当然、3人は憤る。
特に魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワール、甥の生徒会長ユルリッシュ・ビガールの尊大な態度には我慢出来ないようだ。
まず口を開いたのは、テオドラである。
「モーラル様」
「何? テオドラ」
「そいつら……いっそぶっ飛ばしますか? 正々堂々と勝負をする相手に値しないと思います」
すかさず異論を唱えたのがウッラとパウラだ。
しかし、テオドラを制止するとかではなく、
更に厳しい対応を主張する。
「テオドラ、ぶっ飛ばすなんて生ぬるい!」と、ウッラ。
「そうよ、容赦なく、殺りましょう」と、パウラ。
話が、趣旨から外れたとんでもない方向へ行きそうなので、
苦笑したモーラルがストップをかける。
「こらこら、待ちなさい」
だが、珍しく3人は退かなかった。
不満そうに口をとがらせる。
「何故お止めになるのですか? モーラル様」
「そうです、礼儀知らずな外道を生かしておいては為になりません」
「苦しまないよう、一気にとどめを! 地獄へ送ってやりましょう」
「どうどうどう、入れ込まないの、3人とも。もう貴女達の任務は決まってる」
モーラルがきっぱりと言い切れば、3人は目を輝かせ、笑顔となる。
「え?」
「決まってるのですか?」
「一体何を?」
「じゃあ、早速、貴女達の役割を伝えます」
「お願いします!」
「頑張ります!」
「全力を尽くします!」
「まず、テオドラ」
「はい、モーラル様」
「貴女は、オレリーの護衛役よ」
「オレリー様の?」
「ええ、オレリーを棄権させる狙いで相手が正体を隠し、または誰かを雇い、襲撃する事も充分に考えられる。彼女に危害が及ばないよう、しっかりと守って」
「了解ですっ!」
テオドラは気合の入った声で返事をした。
ルウ、モーラルとともに、南方の島へ行き、貴重な経験をしたテオドラは、
心身ともに著しい成長を見せていた。
と、ここでモーラルが、条件を付けた。
「但し」
「但し? モーラル様、何でしょう?」
「襲撃者を絶対に殺しちゃダメ。大怪我させず、戦闘不能にして生け捕りにするのよ、どう、出来るかしら?」
「楽勝でっす」
……以前のテオドラなら、今回のモーラルの指示に対し、
はっきりと不満を見せていたかもしれない。
しかし、テオドラは素直に前向きに、且つ自信に満ちあふれた表情で頷いた。
続いて、モーラルはダンピール姉妹へ、
「では、次。ウッラとパウラ」
「はい!」
「何なりと!」
「貴女達には、魔法男子学園生徒会長ユルリッシュ・ビガールの身辺を洗って貰います」
テオドラ同様、バトル絡みの依頼と思いきや、
ウッラ達への指令は、ユルリッシュの身辺調査依頼であった。
だが……
ルウ達と出会う前、戦いと殺しを生業としていた姉妹は、
調査の経験に乏しい。
少し不安げな仕草と表情で、ウッラとパウラはモーラルへ問いかける。
「身辺調査?」
「モーラル様、一体、どうすれば?」
対して……
モーラルがふたりの不安を解消するように告げる。
「最初だけ、私が手本を見せるわ。良く見て聞いて、コツを掴んでね」
「モーラル様がお手本を?」
「ご一緒ですか、最初だけ?」
「ええ、貴女達ならすぐ習得出来ると思う」
モーラルから太鼓判を押され、ふたりはやる気を見せる。
「習得出来ますか?」
「頑張りますよ!」
しかし……
モーラルは「にやっ」と悪戯っぽく笑う。
そして「しれっ」と言い放つ。
「しつこいナンパの受け流し方を」
しつこいナンパ?
受け流し方!?
想定外の言葉を聞いて、ウッラとパウラは驚き、唖然とした。
「はあ!?」
「ナンパあ!」
「ぷっ!」
ここで噴き出したのが、テオドラである。
必死に笑いをこらえている。
姉妹がナンパされるのを想像したに違いない。
「くくくく……」
なおも笑うテオドラの様子を見て、我に返ったウッラとパウラ。
「こら、笑うな、テオドラ!」
「いいかげんにしろ。ぐ~で、殴るよ!」
ぱんぱんぱん!
場を治める為、モーラルが手を打ち鳴らした。
ケルトゥリから始まり……
次いでフランへ受け継がれ、最近はモーラルも使っている。
「私は真面目よ、ウッラ、パウラ。方法はともかく、大事な任務だから」
「は、はい!」
「分かりました!」
「ま、一緒に任務遂行すれば良く分かるわ。貴女達姉妹には、絶対良い経験になるから」
「はい!」
「頑張ります!」
「全員出撃は明日、今日はいつもの仕事をしっかりね!」
モーラルはそう言うと、今度は優しく微笑んだのであった。
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