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第1,196話 「学園祭⑥」

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

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※6月6日付けの活動報告に『書影公開』の情報を掲載しましたので、宜しければご覧くださいませ。


何卒宜しくお願い致します。

 魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワールはねめつけるような眼差しで、

 アデライドを見つめる。


「では、ドゥメール伯爵! 今回、対抗戦のルールを我々魔法男子学園側で決めても構いませんな?」


 アルバンが発した、挑発とも、念押しとも言える言葉。

 多分『宿敵』アデライドの確固たる言質げんちを取るつもりなのだろう。


 対して、アデライドはひと言だけ。


「フェアであれば!」


「ははは! 当然だ、私は卑怯な真似などしない」


「そう願います」


「ふふ、疑り深い方だ。ではこちらで決めたルールをお伝えしよう」


「しかとお聞きしましょう」


「従来の魔法学園男女対抗戦は、攻防の魔法の発動の円滑さ、及び精度で競って来た。しかし同じやり方では全然面白くない。だから今回はガラリと趣きを変えたい」


 アルバンはそう言うと、「にやり」と面白そうに笑った。

 やはり何か、『含み』がありそうだ。


「今回の競技課題は、魔法の種類をガラリと変え、上級召喚術にしようと考えておる」


「え? 上級召喚術? ……ですか?」


「うむ! 私が聞いたところ、この度、新生徒会長となったオレリー・ボウ君も使い魔を召喚済みだとか」 


「はい、担任の教師から、報告ではそう聞いております」


 と、ここでフランが挙手をする。


「理事長! オレリー・ボウの担任教師として、発言の許可をお願い致します」


「……ボーヴォワール子爵、彼女の担任教師が発言しても宜しいですね?」


「構わんよ、ドゥメール伯爵。ちなみにオレリー君は、君の愛娘のフランシスカ君は勿論、あのフランソワーズ君、ジゼル君以上の才媛なのかな?」


 まるで……

 値踏みでもするように、前々、前生徒会長の名を引き合いに出すアルバン。

 完全に上から目線、含みのある発言である。


 しかし……

 フランは知っていた。


 同じ屋敷に暮らすオレリーの家族ならではの……

 また、同じルウの妻として……フランはオレリーの持つ秘密を共有しているのだ。

 家族以外誰も知らないが……

 オレリーは回復、防御の魔法にとてつもない才を持つ優秀な癒し手……

『邪気を払う清流の乙女』と称される水属性の上級魔法使いなのである。


 持つ資質の内容は全く違うのだが……

 オレリーの才は、生徒会長を務めたふたりの先輩に勝るとも劣らない。

 フランはそう思う。


 だがこの場で、その秘密を明かすわけにはいかない。

 オレリーが所属する2年C組の担任として、一般的な事実しか言えない。

 しかし、この微妙な雰囲気の中では、

 『何か』オレリーを擁護するコメントを言わないわけにはいかなかった。


「オレリー・ボウさんは、入学以来、学年首席を続けている優秀な生徒です。魔法学の試験はほぼ満点、実践課題も、召喚魔法を含め初回の機会に軽々とクリアしております」


「成る程、『成績の方』は問題ないようだ」


「成績の方? それはどういう意味ですか、子爵」


「ははは、ドゥメール伯爵。あくまで私見であり、単純な比較という事で構わないのなら申し上げよう」


 やはり……

 アルバンの物言いに、アデライドは悪意を感じる。

 以前から、感じてはいたが、今回は特に酷い。


「子爵の私見で構いません、仰ってください」


 当のアデライドは平然と返したが……

 フランは勿論、普段は冷静沈着なケルトゥリさえも不快な表情を見せていた。


「ズバリ言おう。オレリー君にははながない! フランソワーズ君やジゼル君は咲き誇る血統書付きの薔薇とすれば、オレリー君は野に咲く名も無き雑草だ」


「雑草? ……子爵、あまりにも失礼ではないですか? もしかして私へ個人的に喧嘩を売っていらっしゃる?」


「ははは、冷静に冷静に。だからあくまで私見だと言ったではないか」


「私見と言っても……限度がありますわ……」


「いやいや、良く私の話を聞いて欲しい。今回の、私からの提案は伯爵にとっても願ってもない良き話なのですぞ」


「どういう意味ですか?」


「従来の魔法学園男女対抗戦は攻防の魔法の発動、正確さで競って来た」


「その通りです」


「でもそれは表向き。実際は美的評価が8割、いや9割だな」


「何が仰りたいのです?」


「ははははは! 対抗戦における魔法女子学園の勝利は、術者の実力以上に『見た目』が評価されていたという事だ」


「見た目? 子爵! あまりにも失礼です」


「伯爵。冷静に冷静に。だから、同じやり方では面白くない。今回はガラリと趣きを変えたいと、貴女へ先ほど申しあげたではないか?」


「もっとはっきりと! 単刀直入に仰ってください」


「分かった! 召喚魔法で呼び出した対象の能力、その優劣を競うなら、今回は術者の美的評価が少ない分、公平に評価され、審議されるだろう?」


 今回は術者の美的評価が少ない?

 結構、含みのある言葉であった。


 どのような意味にせよ、これまでの魔法女子学園の勝利の価値や評価、

 そして、オレリーの賛辞につながる言葉ではない。

 むしろ逆である。


「それって!」

「本当に失礼ですっ!」


 さすがに!

 「もう我慢出来ない!」という面持ちで、

 フランが、ケルトゥリが勢い良く立ち上がった。


 しかしアデライドが素早く手を挙げて水平にし、ふたりを止めた。


「ストップ! まだ子爵の話は終わってないわ。……さあ、子爵、残りをどうぞ」


「ははは! 伯爵は話が良く分かる方のようだ、おい! ユルリッシュ! 続きはお前から説明してやれ!」


「はい! 伯父上!」


「伯父上?」


「ふふふ、実を言うと、ユルリッシュは私の甥だ。妹の息子にあたる。幼い頃からやんちゃで散々手をわずらわしたが、召喚魔法の腕は中々だ」


「ふふ、伯父上。それほどではありませんよ」


 謙遜する魔法男子学園生徒会長、ユルリッシュの端整な顔には、

 「ぞっ」とするような冷たい笑みが浮かんでいたのである。

東導号の各作品を宜しくお願い致します。


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最後に、連載中である

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