第1,195話 「学園祭⑤」
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
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悪魔ネビロスが、ルウへの復讐を誓い、
彼の忠実な配下、悪魔グラシャボラスと密談を交わしてから、暫しの時が経った。
ここは魔法女子学園、時間はまもなく午後3時30分……本日の授業は既に終了している。
30分後の午後4時には、理事長アデライドの下へ、
魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワールが打合せの為、来訪する予定となっていた。
打合せの議題は、来たる11月に行われる魔法学園男女対抗戦の詳細な打合せである。
やがて……
約束の時間少し前となり、アルバンがやって来た。
しかしアルバンは『ひとり』ではなかった。
法衣姿の男子生徒を連れていたのである。
その男子生徒が着ている法衣は制服の仕様である。
どうやら……
少年は魔法男子学園の生徒らしかった。
校門でケルトゥリが出迎え、本校舎1階フロアでフランが合流。
簡単な挨拶を交わした後、男子生徒を見て、
訝し気に首を傾げたフランとケルトゥリ。
ふたりは声をかけて、アルバン達と何かやりとりをした。
今更連れて来た生徒を追い返すわけにもいかない……
やがて話はまとまった。
都合4人は、魔導昇降機乗り場へと向かった。
一体何が、あったのか……
魔法昇降機に乗り込んだ4人は無言であった。
4人を乗せた魔導昇降機は、あっという間に5階へ到着。
昇降機を降りると先頭にフラン、後方のケルトゥリにはさまれる形で、
アルバンと男子生徒は歩く。
理事長室入り口にて、フランが室内に居るであろう、アデライドへ呼びかける。
「理事長! 魔法男子学園理事長アルバン・ボーヴォワール理事長と、急遽、同学園生徒会長ユルリッシュ・ビガール様が、お見えになりましたっ!」
「分かりました……どうぞ、お入りください」
アデライドの声があって、ひと呼吸置き、フランは扉を開けた。
アルバンとユルリッシュはまるで自室のように、
良く言えば堂々と、悪く言えば傍若無人な態度で、
「のしのし」と進み、理事長室へ入った。
「ドゥメール伯爵、ごきげんよう」
「伯爵、初めまして」
改めて挨拶をした、アルバンとユルリッシュ。
対して、アデライドは微笑み、ふたりへ長椅子を勧める。
「これはこれはお忙しいがしいところ恐縮です。どうぞ、おかけください」
「失礼する!」
「失礼致します」
ふたりは、ゆっくりと長椅子へ回り込み……
「どかっ!」という擬音が、するが如く乱暴に座った。
アルバンはいつもそうだ。
アデライドには殊更横柄な態度をとる。
爵位の差などお構いなしだ。
何故なら、アルバンはアデライドに大きなコンプレックスがあったからである。
当然そのコンプレックスは、彼の心の奥底へ秘められている。
そもそもアデライドとアルバンは同期で魔法大学へ現役入学した。
しかしアデライドは僅か2年間で大学を卒業。
片やアルバンは4年かかった。
無理もない。
魔法女子学園在籍時から、天才の名をほしいままにし、『舞姫』と謳われていた アデライドが優秀過ぎたのだ。
アルバンのように4年間通学し、卒業するのが普通なのだ。
しかし……
当のアルバンは自分が『普通』であると割り切れなかった。
実は密かにアデライドに憧れていたアルバン。
遅すぎる彼の『初恋』でもあった。
横柄な態度は、アデライドへ醒めぬ好意の裏返しでもあったのだ。
2年間でアデライドが大学を卒業すると、可愛さ余って憎さ百倍。
うつうつとして、いつか見返してやると心に誓い、
彼なりに優秀な成績で大学を卒業、魔法省へ入省した。
その後、いくつかの役職を経て……
5年前ほどに請われて、魔法省を退職し、
魔法男子学園の理事長に就任したのである。
「ボーヴォワール子爵、打合せに入る前にひと言、お礼を言わせてください。ジョルジュがお世話になっております。ありがとうございます」
アデライドは義務的に礼を伝えた。
息子のジョルジュは魔法男子学園の2年生だから。
ジュルジュは魔法使いとして、自分の才能に悩み、無軌道ぶりを発揮した。
授業もろくに出ず、放蕩息子として母アデライドから散々叱責された。
さすがに見放されはしなかったが、落ちて行く一方であった。
しかしルウのケアにより、何とか立ち直り、魔法使いとしての希望を見出し……
アンナと出会った事で、人間的に著しく成長したのである。
「いや、なんのなんの。聞いたところ、ジョルジュ君は先日婚約したそうですな。良き跡取りに恵まれ、ドゥメール家も安泰だ」
「お褒め頂き、恐縮です」
「ふむ……さて、ドゥメール伯爵。事前にお伝えせず、申しわけなかったが……今日は試合の出場者、つまり当事者を連れて来た」
「構いません、打合せがスムーズになりますから」
「ははは、相変わらず寛大な方だ。その寛大さが油断にならなければ宜しいと思うが」
さすがにアデライドは百戦錬磨。
予定外の人物をいきなり連れて来る。
その上『挑発』とも思える暴言。
そのような相手の無礼さに乗せられ、かんしゃくを起こしたりしない。
「ボーヴォワール子爵、心配は無用です。ルール変更の申し入れを頂いた時から、いろいろと生じるケースを想定していましたわ」
「成る程! いろいろと生じるケースとは! 結構、これは結構」
「…………」
「では、ドゥメール伯爵!今回、対抗戦のルールを魔法男子学園側で決めても構いませんな?」
念押しとも言える言葉。
多分アデライドの言質を取るつもりなのだろう。
対して、アデライドはひと言。
「フェアであれば!」
「ははは! 当然だ、卑怯な真似などしない」
「そう願います」
「ふふ、疑り深い方だ。ではこちらで決めたルールをお伝えしよう」
「お聞きしましょう」
「従来の魔法学園男女対抗戦は攻防の魔法の発動、正確さで競って来た。同じやり方では面白くない。だから今回はガラリと趣きを変えたい」
アルバンはそう言うと、にやりと面白そうに笑ったのである。
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最後に、連載中である
「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」
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